ツブキの異能と魔法
「どこに消えた! それに貴様は今、俺が――」
「僕の異能は影。影を使う異能だよ。影を使って影の兵士を召喚したり、影を纏って自分の身体能力を何倍かに上げたりすることもできる。でも、一番得意なのは――他人の影に潜むこと」
僕はガーの影に潜みながら、ガーに語りかける。
するとガーは、自身の影を両手斧で斬りつけた。
狙いは悪くない。でも――。
「影を斬ったくらいで、僕をどうにかできるとでも?」
僕はガーが攻撃を終えた瞬間、影から姿を現し、影の剣でガーの腹部を斬りつける。
「がっ!」
「影の剣。まだ未完成だけど、鎧とか着ていても意味はないよ。完全に切断することはできなくても、ダメージはあるはずだから」
「う、ぐっ……。この、俺が……。だが、さっき完全にお前の体を俺は斬った……はずだ。なの、に……なぜ……」
「あれは僕の魔法だよ。僕、前はディアモのパーティーにいたんだけどさ。何もしないでくれって言われてたんだ。でも、自分の身を守ってくれる保証もないから、自分が何回か死んでも大丈夫な魔法を作ったんだ」
僕はそう言って、少し笑う。
「ちなみに、これは僕にしか使えない魔法だよ」
「死なない……だと。そんな……魔法……。ほぼ無敵……では……」
そんな都合よくはないんだよなぁ。
回数制限もあるし。
でも、そこまで説明する義理もないかな!
「これで僕の実力は一応示したけど、どうする? 組みたくないなら、僕は僕で調べるけど」
正直、そのほうが楽だし。
ガーは我が強すぎるから、あんまり一緒にいたくないんだよな。
悪いけど。
すると、ガーはステイティア王へと近づく。
「主人よ。俺は自惚れていたようです。俺が護衛の中で一番強いという考えは変わりません。ですが、もう少し人を見る目を養ったほうがいいとわかりました」
「ふむ。そうか。それでガー。貴様はどうするのだ?」
「俺は、ツブキ殿が俺の無礼を許してくれるのであれば、彼と共に王を狙う者の調査をしたいです。ですが、ツブキ殿が断るのであれば、俺は一人で王の命を狙う者を探します」
ガーがそう言うと、ステイティア王は僕のほうへ近づいてくる。
「すまないが、こいつの面倒を見てくれぬか。余はガーに期待しているのだ。余の護衛として、もっと腕を上げることをな。それに、ツブキは強いと友であるサランドから聞いていた」
サランドさん。
僕のこと、過大評価しすぎだよ。
僕はそれなりに強いだけなんだけどな。
んー……。
ガーはどうしようか。
んー……。
んー……。
僕はかなり悩んだあと、ガーに声をかける。
「わかった。ガーがいいなら、一緒に行こうか」
組むのはあんまり嫌だけど、やっぱり人手は多いに越したことはない。
この城の中や周囲だと、ナグモやアスベルたちには頼れないからな。




