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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第三章 勇者選別編

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王の護衛

「こやつの名はガー・マンガン。余の護衛だ。余の護衛は四人いるが、そのうちの一人である」


 ステイティア王は、隣に現れた金髪の男――ガーについて説明する。

 ガーは両手斧を片手に一本ずつ持っていた。


「主人。俺はやつを殺せばいいのか?」

「違うぞ、ガー。お前には、やつと余の命を狙う輩を探してもらう」

「なぜ俺なんですか? 他の護衛の方が……」

「余はお前だから頼みたいのだ。ダメか?ガーよ」


 ステイティア王がそう言うと、ガーは背負っていた斧を戻した。


「……主人が言うのであれば従います。ですが、どこぞの馬の骨かもわからないやつを信用できません」

「そうであるな。では――」


 ステイティア王が指をパチンと鳴らす。

 その瞬間、僕とステイティア王、そしてガーの三人は、別の空間へと転移した。

 これは……転移の異能?

 ステイティア王は、そんなに強力な異能まで持っているのか?


「これは王の間からつながる、王族にだけ伝わる別空間。この空間へ転移できるのは、王の血族、または王となった者だけだ。余の異能ではない」


 ステイティア王はそう説明する。


「余は異能持ちではあるが、便利屋のような異能ではないのでな」

「……」


 王の血族にしか使えない空間。そんなものが存在するのか。

 僕が考えていると、ガーが両手斧を手に取った。


「主人よ。感謝します」

「では貴様。やろうか」


 ガーが僕へと接近してくる。

 両手斧を片手で軽々と振り回すその姿からは、明らかな殺気が感じられた。


「っ!」


 僕は咄嗟に影の異能を使い、ガーを拘束する。


「これは……貴様の異能か?」

「そうだよ。僕の異能」


 僕が答えた、その直後――

 ガーは拘束された身体を無理やり動かした。

 そして――

 僕の影による拘束が、力づくで引きちぎられる。


「……え?」

「この程度、話にならん」


 ガーは僕を睨みつける。


「王に死んで詫びろ。自分はザコでした、と」

「まじかよ……」


 ガーが両手斧を振り下ろす。


「っ!」


 僕は間一髪で攻撃を避ける。

 そして、距離を取るために影の異能を使った。


「影の兵士――剣士!」


 僕の影から、シャドウトルーパー――影の剣士が姿を現す。

 影の剣士はガーの前に立ち、僕を守るように剣を構えた。


「邪魔だ!」


 ガーが斧を振るう。

 影の剣士が斧を受け止める。

 だが――


「なっ……!」


 影の剣士の身体が、徐々に押し込まれていく。

 そして次の瞬間。

 影の剣士は力で押し切られ、一瞬で吹き飛ばされた。


「異能に頼りきりでは、俺には勝てんぞ」


 ガーは斧を構え直す。


「どうする!」


 確かに、このままじゃガーには勝てない。

 下手をすれば……殺される。

 ガーが両手斧を振り上げる。


「死ねぃ!」

「まだ死ぬ気はないよ!」


 ガーが斧を振り下ろす。

 避ける時間はない。

 なら――

 これしかない。

 まだ未完成の技だけど、やるしかない。

 僕の影の異能は、本来なら影の中に入るための異能だ。

 召喚は、たまたま使えるようになった力にすぎない。

 それに――僕には、あの魔法がある。

 死ぬような思い。

 いや、ほとんど死んだと思うほどの痛みを感じる。

 それでも――


「これしかないよね!」


 僕は、ガーの攻撃をまともに受けた。


「これで護衛、そして王を狙う不遜なやつは――」


 ガーが斧をしまう。

 その瞬間。


「ふー……痛かった」

「!?」


 ガーが振り返る。

 しかし、そこに僕の姿はない。

 僕はガーの油断した隙に――

 ガーの影の中へと潜り込んでいた。

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