火のスカイス 2
ランラはスカイスを連れて訓練場の入り口へ戻ると、ステイティア王に尋ねる。
「王よ。このような強者が南ステイティアにいることを、私は知りませんでした。いったい、どのようにして見つけたのですか?」
「余の人脈と情報屋だ。スカイスは魔法の研究ばかりしており、実戦経験はあまりない。だが、火の魔法に関しては、どれほど手加減しても相手を殺してしまうほどの火力を出すらしい」
え、そんなやつと僕、戦いたくないんだけど。
ステイティア王がスカイスについて説明すると、スカイスは静かに口を開く。
「我は勇者というものに、別に興味はない。だから、好きにやってくれと言いたいところだが……選別された貴様らは、おそらく我と同等、あるいはそれ以上の実力を持っていると見た。ならば我も、選別戦を快く受けよう」
スカイスはそれだけ言うと、訓練場の入り口付近に置かれていた椅子へ座った。
「では、次に行こうか。アゲル・カスケル」
ステイティア王がアゲルの名を呼ぶ。
するとアゲルは、ステイティア王の近くへ移動した。
「こいつの次の相手を見繕ってくれ。ランラ」
「この人の相手は……」
ランラが考えていると、赤髪のショートヘアーの男が手を挙げる。
「騎士団長! 自分が行くっす!」
「ゴウ。お前にはまだ早い。下がっていなさい」
ゴウと呼ばれた赤髪ショートヘアーの男は、ランラに下がるよう言われても動こうとしない。
「嫌っす!自分は、ウォーンのせいでこの騎士団がなめられるのには耐えられないっす!だから、自分が行くっす!」
「……いいんだな?本当にそれで」
「かまわないっす!」
ゴウはアゲルの前に立つ。
するとアゲルは、ゴウの姿をじっくりと見つめた。
「君。騎士なんてやめて、私に雇われないか?私は商人だから、戦闘はあまりしたくないんだ」
「戦闘はしたくない?それに、自分を雇いたい?あんた、自分のことを馬鹿にしてるっすね」
ゴウは訓練場の中へ入っていく。
そしてアゲルを睨みつける。
「さっさと来るっす。自分、騎士ですから、あんまり下品な言葉は使いたくないっすけど……あんたは痛めつけてやるっすよ。二度と人のことを馬鹿にできないように」
「こわいこわい。でも私は商人だから、口だけは負けたくないのよね」
アゲルも訓練場へ入る。
その後に続くように、立会人を務めるランラも中へ入っていった。
アゲルとゴウは互いに向かい合う。
ゴウは武器である双剣を抜き、アゲルは両腕に何かを装着する。
「あんな、なんっすか、それ?」
「これが私の武器だから、気にしなくていいよ。それじゃ、さっさと商いを終わらせましょう」
「商いじゃなくて戦闘っすよ!」
ゴウは双剣を構えると、一気にアゲルへと接近する。
その瞬間――
アゲルは指をパチンと鳴らした。




