火のスカイス
ステイティア王の後に続き、僕達は騎士団の訓練場へとやって来た。
訓練場に到着すると、ステイティア王が僕達に向かって口を開く。
「では、まず候補者同士で争う前に、余の自慢の騎士団と戦ってもらう」
王がそう言った直後、背中に二本の剣を背負った、茶髪で整った顔立ちの男がステイティア王へと近づいてくる。
「王よ。騎士達の準備はできております」
「ご苦労。騎士団長、ランラ・サンサ」
ステイティア王がそう呼ぶと、ランラは僕達のほうへ振り向く。
「では、まずは誰が来るのだ?」
ランラが僕達に問いかける。
すると、白い仮面をつけた男――スカイスが手を挙げた。
「我からいかせてもらおう。構わぬか?」
スカイスが僕達に尋ねる。
僕達は顔を見合わせた後、スカイスを先に行かせることにした。
「スカイスか。ならば、こちらはウォーン! ウォーンはいるか?」
ランラが大声で叫ぶ。
すると、やる気のなさそうな顔をした騎士が、ランラのもとへ歩いてくる。
水色の長い槍と盾を持ち、白い鎧を身につけている。
「なんですか、団長? おいら、まだ訓練が……」
「貴様はいつもサボっているであろう。訓練なら、こやつと組み手をすればよい」
ランラはスカイスを指差す。
すると、ウォーンはスカイスの仮面を見て笑い出した。
「仮面してる!だっさい仮面!」
ウォーンが笑っていると、スカイスはランラへ尋ねる。
「騎士団長さん。我はこいつを殺してしまっても構わんのだな?」
「イラつくのは構わないが、できるだけ殺さないでほしいかな。こんなやつでも、騎士団の中ではなかなか使えるやつなんだよ」
ランラがそう言うと、スカイスは真顔のまま答える。
「いや。我は手加減するつもりだ。ただ、殺してしまったら……ごめんな」
「なめてるねぇ……」
ウォーンは槍を構えながら、ニヤリと笑う。
「おいら、なめられるのめちゃくちゃ嫌いなんだよねぇ。団長。ぶっ殺してもいいよねぇ?」
「待て待て。やるなら、まず訓練場に入らぬか。話はそれからだ」
ランラに言われ、二人はすぐに訓練場へ入る。
ウォーンは槍を構えた。
しかし――スカイスは構えない。
ただ、その場に立っているだけだった。
「ただ立っているなんて……おいらを完全になめてるね」
ウォーンは槍を構え直す。
「なら、一撃で終わらせてやるよ!」
ウォーンが槍をスカイスへ向ける。
すると、槍の先端へ水が集まり始めた。
「ウォーターランス!」
水が槍を包み込み、巨大な水の槍となってスカイスへ向かって放たれる。
「ふん」
スカイスが片腕を軽く振る。
その瞬間――
ウォーンの足元から、巨大な火柱が立ち上った。
「なっ――」
次の瞬間、ウォーンの姿は、炎に飲み込まれた。
一瞬にして炎が消える。
そこに残っていたのは、黒く焦げた鎧だけだった。
「……は?」
ランラが呆然と呟く。
スカイスは何事もなかったかのようにランラへ振り返る。
「だから言っただろ?我は加減するつもりだ。ただ多分殺してしまうとな」
「君……今のは火属性魔法か?まさか、上級魔法……?」
ランラが驚いた表情で尋ねる。
するとスカイスは、真顔で答えた。
「違うよ。今のは初級魔法だ」
「初級……?」
「我がアレンジしたものだ」
スカイスはそう言って、何事もなかったかのように立っていた。
ランラは言葉を失う。




