勇者選別戦
ステイティア王にそう言われた後、僕の隣にいた男?が名乗り始めた。
白い仮面を顔につけ、赤いロングヘアーをした男......なのだろうか。
「我はスカイス・ズゥル。騎士には勇者候補だと言われ、ここへ連れてこられた」
「それは皆同じよ。得意なこと、それから異能を言え」
ステイティア王がそう言うと、スカイスは王を指差した。
「ならば最初からそう言え。我に異能はない。得意なことは……そうだな。魔法が得意だ。特に火属性魔法だな」
「ふむ。スカイス。貴様の情報は確かにその通りだ。虚偽の報告をすれば、貴様らは死ぬぞ。余の異能によってな」
ステイティア王は淡々と言葉を続ける。
「これは自己紹介でもあり、貴様らの情報確認でもある。虚偽の報告は許さんぞ」
嘘の情報を言ったら死ぬのか。
もはや拷問だな、この時間。
「スカイスの次は貴様だ。自己紹介せよ」
スカイスの隣にいた男が一歩前に出る。
見た目は天然パーマの黒髪に赤いパーカー。下は黒い長ズボンを穿いている。
「私はアゲル・カスケルと言います。商人です。異能は『代償取引』です」
「ふむ。アゲル。貴様の『代償取引』とやらは、今使えるのか?」
ステイティア王に聞かれたアゲルは、頬を軽くかいた。
「恐れながら、そんな簡単には使えません。それに、下手をすれば王を殺してしまうかもしれません」
「そうか。ならば仕方あるまい。次は貴様だ」
アゲルのさらに隣にいる女性へ、ステイティア王が視線を向ける。
茶髪のポニーテールで、学生服……というのだろうか? そんな服を着ている。
両手には赤いグローブ。
そして、とにかく若そうな女性だった。
「あたいはシムラ・ナサギ。異能は『コンボコンボ』。よろしく頼むぜ」
「ふむ。シムラ。お前さんはあまり名を馳せていないのだが、なぜ勇者候補に選ばれたのかわかるか?」
「そりゃ、あたいは名を馳せることに興味がないからな。あたいは強くなりたいだけさ。誰よりもね」
シムラは腕を組む。
するとステイティア王は、最後に隣にいた人物を指差した。
その人物は、黒いロングヘアー。
髪は地面に垂れるほど長く、顔はほとんど隠れている。
ただ、口元だけが不敵に笑っていた。
「ふ、ふふ……。ぼ、僕はカゲヤ・ホウリ。異能は……相手を暗くするんだ。気持ちをね」
「よし、わかった。では最後にツブキ・ドゥン。貴様の異能を答えよ」
僕は名乗らなくてもいいのか。
しかし、なぜだ?
「お前は余の理解者であるサランドのダチである。だから異能だけで構わん」
「僕の異能は、影を操る異能です」
僕がステイティア王にそう答えると、王は立ち上がった。
「皆、正直によく答えた。では、選別戦の会場である騎士団の訓練場へ向かう」
ステイティア王はゆっくりと歩き出す。
僕たちは王の後に続いていく。
しかし、王自らが案内するなんて……。
なかなか肝の据わった王だね。




