バルトス
「私の異能、斬撃を受けてみろ!」
バルトスはグラウに向かって斬撃を飛ばす。
するとグラウは、もはや避けようともせず、その斬撃を蹴りだけで無効化した。
え?異能をあんな無効化の仕方ができるの?
「つまらんし、ほんとだるい。無駄なことするくらいなら寝ていてくれ。頼むからさ」
グラウがバルトスに言うと、バルトスはさらに斬撃を飛ばしてくる。
「私をなめるなよ。私はサング組の武闘派なんだ。そこらへんの雑魚とは違うんだよ!」
バルトスは再びグラウに向けて斬撃を放つ。
しかし、グラウはその場から動かない。
「なっ!当たるよ!」
僕は少し離れたところから見ていたが、動きを止めたグラウを見て、思わず二人に近づく。
「大丈夫。心配しなくていいよ、ツブキ。俺はこんなザコには負けないし、この斬撃は俺には当たらない」
グラウがそう言うと、バルトスは驚いた表情を浮かべる。
「私の斬撃が当たらない?そんなはずはない。私の斬撃は――」
「そうだな。当たるとすれば、まさに不意打ちとかだな。でなければ、馬鹿正直にお前の斬撃をくらうバカはいないだろ。それに俺には絶対に当たらん。不意を突かれてもな」
グラウがそう言った直後、バルトスはグラウからミサキへと狙いを変える。
「なら私も、馬鹿正直にやる必要はありませんね。やることを終わらせて帰らせていただき――」
バルトスが異能を使う前に、僕は影でバルトスを拘束した。
「なっ!」
「グラウ!今のうちに!」
「いや、ツブキが手を出すなら、あとは頼むよ。俺、休むから」
グラウはバルトスに背を向ける。
すると、バルトスはグラウを睨みつけた。
その瞬間、グラウの真横に斬撃が飛んだ。
「油断したね!これでお前は死――」
バルトスが言い終わる前に、グラウはすでにバルトスの目の前に立っていた。
「え?」
「お前の行動、俺には読めている。というか、俺も異能使いでな。しょーもない異能さ。相手の行動を先読みできるだけのな。それだけに、弱いやつとの戦闘はつまらないから、だるいんだよ」
先読みって、軽く未来が見えるって感じか?
十分強い異能だと思うけど。
「先読みとか、そんなんじゃ、私は勝てないなぁ」
「そんなことはないさ。お前が強ければ俺には勝てるよ。ギルドマスターも俺には勝てるし。それじゃ、さっさと寝てろ」
グラウはバルトスの腹部を蹴る。
するとバルトスは腹を押さえながら、仰向けに倒れた。
「ふぁー。そんじゃツブキ、そいつ拘束しといてくれ。あと、さっきのあれは俺がやる気をなくすから、やめたほうがいいぞ。やる気のないやつが、さらにやる気をなくすのは終わってるけどな」
グラウはそれだけ言うと、あくびをしながら持ち場へ戻っていった。




