トラブル後
バルトスをグラウが気絶させた後、Eランクへの昇格試験は順調に進んだ。
今回受験したFランク冒険者は、みな無事に合格し、Eランクへと昇格した。
もちろん、ミサキもだ。
「ツブキ!やりました!」
「昇格おめでとう。よくやったね」
僕がギルドでミサキの頭を撫でていると、サランドさんが僕のもとへやってきた。
「サランドさん。どうしたんですか?」
「お前に話がある。あと、ミサキの頭を気安く撫でるんじゃない」
「撫でるんじゃない」のほうに、ものすごい殺意を感じたんだが……ダメだったのか?
僕はミサキといったん別れ、サランドさんと一緒にギルドマスター室へ向かった。
部屋の中には、ナグモ、セツ、アスベルもいた。
「まずはミサキの護衛の件、よくやってくれた。一応、試験官にはグラウも呼んでおいたが、あいつはクセが強いからな。護衛なんてできないと思っていた」
「まぁ、護衛というより、冒険者たちに何かされたら面倒だから、という理由でしたけどね」
僕がサランドさんにそう言うと、サランドさんは呆れたように笑った。
「グラウはああいう性格だが、実力だけは折り紙付きよ。だから特例ランクなんだ」
確かに、終始バルトスを圧倒していたからな。
実力だけで言えば、すごいのはよく分かる。
「それで、アマイを殺したブンドルはこちらで処理するとして……別枠でこいつらだ」
サランドさんは、ギルドマスター室に拘束された状態で床に転がっているバルトスとザドゥルを指差した。
「この紳士である私に、このようなプレイなど……」
「プレイとかじゃないわ、アホ。お前らはこの南ステイティアで何がしたいんだ?それになんでミサキを狙った?目的を吐け」
サランドさんが二人に問いかけると、二人は沈黙を貫いた。
「黙るか。まぁいいだろう。別に一人は死んでもいいやつだからな」
サランドさんは指をパチンと鳴らした。
すると、ザドゥルの体がまるで箱に包まれたかのように、徐々に圧縮されていく。
「う、あ……やめ……この……紳士……な、私……が……」
「私達は極道だ。死ぬ覚悟くらいはできているだろ?」
サランドさんは手のひらをぐっと握り、拳へと変えた。
すると、ザドゥルの体は一気に圧縮され――小さな四角い真っ赤な箱だけが、地面に落ちた。
「な……なんなんだ、その異能は……」
「敵に教える必要はない。こいつみたいに、こんな小さい四角い箱の中で潰されて死にたくなければ、情報を吐け」
サランドさんはバルトスにそう言った。
バルトスは少し考えた後――
「情報を吐いたら、殺さないんだな?」
「ああ。私は極道だ。お前らサング組と違って、仁義外れじゃないからな。嘘はつかんさ」
サランドさんがそう言うと、バルトスは南ステイティアに攻めてきた理由を喋り始めた。




