ザドゥル・ルー
「どうですか?素晴らしいでしょう?私の紳士的な異能、手から刃が出る異能は」
「紳士的かは知らないけど、僕は嫌いだな」
僕はザドゥルの攻撃を避けた後、影の手でザドゥルの片腕を握り潰す。
「痛いではありませんか!」
ザドゥルは僕に叫んでいた。
だが、その表情は痛がっている人間のものではない。どちらかといえば、喜んでいるようにすら見える。
「とても痛そうには見えないけど」
「いやいや、ちゃんと痛いですよ。ですが、痛みがなければ生を感じられない。それが紳士である私ですよ」
ザドゥルはそう言うと、握り潰したはずの腕を振り回し、手から刃物を飛ばしてきた。
「そんな使い方をするのか」
「腕が使えないなりに、どうとでもするものです。私は紳士ですからね!」
紳士は関係ないだろ。
僕はザドゥルが投げてきた刃物を避け、シャドウトルーパーの弓兵で応戦する。
「影の兵士、弓兵!」
シャドウトルーパーの弓兵が放った矢は、次々とザドゥルの体に突き刺さっていく。
というか、ザドゥルが矢を避けない。なんでだ?
「あぁ!この死ぬかもしれない攻撃!これを受けてこその紳士!そして、これを受けたからには私の紳士的な攻撃は当たる!」
ザドゥルは再び僕に近づき、接近戦を仕掛けてくる。
手のひらから刃物を出してくるせいで、動きが読みにくい。
やりにくいから、あんまり接近戦はしたくないんだよな、こいつとは!
「さぁさぁ! 私が君を紳士的に殺してあげるから、避けないで受けなよ!」
「避けられる攻撃を受けるバカがどこにいるんだよ」
僕はザドゥルの攻撃を避けながら言う。
すると、ザドゥルは一旦動きを止めた。
「あなたがあまりにも私の攻撃を避けるので、私も戦い方を変えます。私は紳士ですので」
ザドゥルは動きを止めたかと思えば、急に両手のひらを僕へ向けた。
次の瞬間、手のひらから刃物が何本も飛んでくる。
「近距離がダメなら遠距離って話なんですよ!」
「僕からすれば、接近戦よりありがたいけど」
僕はザドゥルの攻撃を避けながら、シャドウトルーパーの弓兵でザドゥルを攻撃する。
だが、ザドゥルは手のひらから刃物を次々と飛ばし、影の弓兵が放った矢を弾いていた。
「遠距離で攻撃すれば、それは当たらない。やはり紳士な私は応用が利いて、頭が――」
ザドゥルが喋っている隙に、僕はシャドウトルーパーの剣士を召喚する。
そして、剣士にザドゥルの片腕を斬り落とさせた。
「な、な、な、この……この私の紳士的な片腕が!」
紳士的ってなんだよ。紳士って言えば紳士っぽいと思ってるだろ。そろそろ終わらせようか。
僕はシャドウトルーパーの剣士をザドゥルに近づけ、首元に剣を当てる。
「ふっ。殺すなら殺せ。紳士である私は、死ぬ覚悟などとうに――」
「聞きたいことがあるから、それを聞いてからだよ」




