ブンドル 3
ブンドルという男は、僕――チェイサーがサング組に入ってから一年後に入ってきた男だった。
ブンドルはサング組に入った頃、まっとうなことをして評価されようとしていた。
だが、ブンドルは平凡な男だった。
異能は使える。だが、武闘派の極道として特別強いわけでもない。頭が良いわけでもない。
よく言えば悪知恵が働く。その程度の男だった。
だからこそ、バララという組の中堅の男が頭角を現してから、ブンドルは変わった。
仁義外れなことを、さも当たり前のようにするようになった。
最初の頃は僕もカエンドの兄貴も、ブンドルを止めようとしていた。
だが、ブンドルは僕達にこう言った。
「お前らみたいな才能のある奴に我の気持ちなどわからん。我は凡庸なりに上手くやるのみ。たとえ組のやつを殺すことになろうともな」
この言葉を聞いたとき、特に仲間である僕達を殺すという点においては、ブンドルもそこまで落ちてはいないと思っていた。
だが――まさか、やつが……。
やつがカエンドの兄貴を遠回しに殺すとは思わなかった。
「お前は間抜けなことしかしないよな。入りたての頃はまだよかったというのに」
僕は地面に拘束されているブンドルを見ながら、そう思った。
バルトスが逃げた後、セツはゆっくりとブンドルに近づく。
「こいつはサランドさんのところまで持っていくわ。このまま殺せないのはムカつくけど」
「好きにしてくれて構わない。うちに仁義外れのクソ野郎はいらない。更生もしないだろうからな」
チェイサーがそう言うと、セツは異能を使って縄を作った。
そして、その縄をブンドルの体に巻きつけると、引きずって連れて行こうとする。
すると、チェイサーが口を開いた。
「今回の件はお前らに迷惑をかけた。だから一つ教えておこう」
チェイサーはセツを見る。
「サランドの姪っ子は狙われているぞ。ただ、誰がサランドの姪っ子なのかは、僕達の組員にはわかってない。だけど、単独で知っているやつもいると思う。気をつけておいてくれ」
チェイサーはそれだけ言うと、セツの前から去っていった。
セツはブンドルを引きずりながら運び、タケイサ組の事務所まで連れて行った。
「冒険者ギルドだと目立つし、ここが一番よね」
セツは組の事務所がある場所で、ブンドルを下ろした。
「お前はしばらくここにいろ。変なことはされないようにな」
セツは異能で銃を作り、ブンドルの両腕と両足を撃ち抜く。
「ん!んー!」
「これで両腕両足に力は入らないだろ。そこで寝てろ」
セツはブンドルにそう言うと、彼をある場所に閉じ込め、その場を後にした。
「これで終わるよ、姉さん。姉さんは私に復讐なんて望まないかもしれないけど……これは私にとって大事なことなんだ。ごめんね」
セツはそう独り言を呟いた後、冒険者ギルドへ向かった。




