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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

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初依頼

 依頼を受けて魔物や魔獣が住む場所は、ダンジョンと呼ばれている。そして今回、僕たちがやってきた悪夢の森は、王都の近くにある小さな森だった。

 こんな小さな森にクロウルフがいるなんて、正直信じられない。でも、依頼が出ているってことは、本当にいるんだろうな。

 僕はミサキと合流した後、森の中を数分ほど探索していると、体毛が黒いのが特徴的な魔獣、クロウルフを見つけた。

 まさか、本当にいるなんて。

 僕が腰に装備していた剣を抜こうとした、その瞬間。


「せやぁぁぁ!」


 ミサキが背中に装備していた長剣を抜き、クロウルフへ斬りかかった。


「ガゥ!」


 しかし、クロウルフはミサキの攻撃を素早く避けた後、そのままミサキへ体当たりを仕掛けた。


「うぐっ!」


 ミサキの身体が大きく吹き飛ばされる。

 やっぱりクロウルフは知性があるから厄介だな。ミサキが倒せるなら、僕は手を出さないつもりだったけど仕方ないか。

 僕は一瞬でクロウルフの背後へ回り込み、剣を振るう。


「ガッ!」


 剣がクロウルフの背中を斬り裂いた。


「ありゃ? 浅かったかな?」


 僕はクロウルフから距離を取るとクロウルフは、こちらを睨みながら警戒するように身構えた。

 一回斬られただけで、そこまで警戒するか。


「あんまり時間はかけたくないんだけどな」


 僕は手を前に出し、クロウルフへ向ける。

 すると、クロウルフは僕の手を噛み砕こうと、一気に飛びかかってきた。


「遅いかな」


 僕は指をパチンと鳴らす。

 次の瞬間――


「ガッ……!」


 クロウルフが僕のすぐ近くまで迫ったところで、突然その動きを止め、口から大量の血を吐き出す。

 ドサッ。

 クロウルフはそのまま地面へ倒れた。


「す、すごい! ツブキ、すごいですね!」


 ミサキが僕のところへ喜びながら近づいてきた。

 でも、クロウルフを討伐したことに対し、僕にはそこまで驚くことなのか分からなかった。

 勇者パーティーにいた頃は、これくらい当たり前のことだったからだ。


「ありがとう。クロウルフを倒しただけで、そんなに褒められるとは思わなかったよ」

「だって、私には倒せませんから! 今のって異能ですか?」

「そうだね。僕の異能は、影を使う異能でね」


 僕は自分の異能について説明する。


「相手の影へ瞬時に移動したり、相手の身体の中に影を入れたりできるんだ。それで、身体の中をめちゃくちゃにしたりとかね」

「身体の中に……?」


 ミサキは驚いたように目を見開く。こんな異能を使う冒険者がいるなんて、普通は聞いたことがないだろう。僕が思う範囲でだけど。

 勇者パーティーにいた冒険者の中でも、僕の異能を知っている人は少なかった。


「勇者パーティーの冒険者の方は、ディアモさんがすごく強いって聞いたくらいでしたから」


 ミサキは少し嬉しそうに話を続ける。


「私は、そのディアモさんに憧れて冒険者を始めたんです」

「ま、まあ、よく聞く話かな」


 勇者に憧れて冒険者になる人は珍しくない。

 ディアモは確かに強い。勇者と呼ばれても問題ないくらいには。

 ……ただなぁ。性格、というか行動に難があるからなぁ。


「きっかけはどうあれ、そう思うなら強くならないとね」

「はい!」


 ミサキは元気よく返事をした。

 その後、僕とミサキはクロウルフの皮を少しだけ剥ぎ取る。

 そして、そのままスティティアの冒険者ギルドへ向かった。

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