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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

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新しいパーティー

「ミサキ。よく来てくれた。こいつがお前と組んでくれるツブキ・ドゥンだ」


 サランドさんは、ギルドマスター室に入ってきた女性冒険者――ミサキに声をかける。

 赤い髪が印象的な女性で、背中には細身の長剣を装備している。


「また新しい人? 今度の人は大丈夫?」

「大丈夫だよ。なんせ勇者パーティーにいたくらいだからな」


 サランドさんがそう言うと、ミサキはキラキラと目を輝かせながら僕を見る。


「勇者パーティーって、あの勇者ディアモさんがいたパーティーですか!?」

「う、うん。そうだよ」


 僕が答えると、ミサキは僕の手を握り、ぶんぶんと上下に振り始めた。

 この子、何気にテンション高いな。握力も強い。


「私、ディアモさんを尊敬してるんです! あんなにたくさんの魔物を倒している人なんて、なかなかいませんよ! それに、どれだけ強い魔物でも簡単に討伐するらしいじゃないですか!」

「そ、そうだね……」


 なんか、ディアモのことは喋りづらいなぁ。とりあえず、苦笑いしておこう。


「まあ、顔合わせも済んだことだしな。お前たち二人には、この依頼を頼む」


 サランドさんは、僕に一枚の依頼書を渡してくる。


 冒険者の依頼にはランクがあり、FからSランクまである。

 僕が勇者パーティーにいた頃は、よくAランクの依頼を受けていた。

 ただ、Sランクの依頼は敢えて受けないようにしていた。


 そして、今回渡された依頼は――


「魔獣、クロウルフの討伐。これを任せる」


 Cランクの依頼だった。これくらいなら簡単かな。


「え? 今までEランク依頼しか受けちゃダメって言っていたのに、いいの?」


 ミサキは僕の手を離し、嬉しそうにサランドさんへ尋ねる。


「ツブキがいるなら安心だからな。それじゃあ、行ってきなさい」


 サランドさんは笑いながら僕たちを送り出した。


「よし! それじゃあ行きましょう!」


 ミサキは再び僕の手を握ると、急いで依頼場所へ向かおうとする。


「ミサキ! 待って! まだ準備してないから!」


 僕が慌てて声をかけると、ミサキは「え?」とでも言いたげな顔で振り返った。

 まるで、「なんで準備なんて必要なの?」と言っているような顔だ。


「私たち二人なら大丈夫ですよ。えーと……」

「ツブキ。ツブキ・ドゥン。ツブキでいいよ」

「分かりました! ツブキ。私たちなら大丈夫です!」


 どこからその根拠が出てくるのかは分からない。クロウルフくらいなら大丈夫かな。

 ……とはいえ、ポーションくらいは持っておきたい。


「待ってくれ。ポーションを買ってくるから、ここで待っていてくれ」

「んー。分かりました。クロウルフって戦ったことないですけど、勇者パーティーにいたツブキがいれば安心ですよね!」

「……」


 僕、勇者パーティーでは荷物持ちだったんだけどな。まあ、今さら言っても仕方ないか。とりあえず、ポーションを買ってこよう。

 僕は一旦ミサキと別れ、市場へ向かった。そこで必要な分のポーションを購入し、そのまま依頼場所である悪夢の森へ向かう。


「お待たせ」

「遅いですよ、ツブキ!」


 僕は悪夢の森の入り口で、ミサキと合流した。


「じゃあ、行きましょう!」


 ミサキはそう言って、悪夢の森の中へと足を踏み入れた。僕もその後を追う。

 こうして僕とミサキの、初めての依頼が始まった。

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