ブンドル
僕はギルドで数時間休んでいた。
おそらくギルドマスター室でサランドさんと話をしていたアスベルが、用事を終えたのか、二階から降りてきて僕のところへ近づいてくる。
「ツブキ。もう動けるか?」
「なんとか、ね。戦えとか言われたら無理だけど」
影纏いの反動は大きい。
今の僕は、影纏いを使えば一日はまともに戦えない。それでも、数時間休めば歩けるくらいには回復する。
僕は再びナグモたちと別れ、アスベルと一緒にギルドマスター室へ向かった。
部屋に着くと、アスベルがドアを開ける。すると、天井からギザルドが吊るされていた。
「アスベル。ご苦労だったな」
「いえ。それで、ツブキを連れてきましたが、彼に何か用でも?」
アスベルがそう言うと、サランドさんは僕の方を見た。
「ツブキ。こいつを連れてきてくれて非常に助かった。サング組で殺すべき対象がよくわかった」
サランドさんは、淡々とした口調で続ける。
「まずは、南ステイティアにいるサング組の男、ブンドルをやる。ブンドルをやった後は、ブンドルの所属する派閥……もとい、現サング組組長バララを殺す」
それは大変だな。だが、冒険者の僕にそこまで話してもいいのだろうか?
「この話をしたのは、お前にも手伝ってもらうかもしれないからだ。ちなみに、ナグモとセツにはブンドルを殺す仕事を任せる」
サランドさんは、セツの方を思い浮かべるように言った。
「セツに仇討ちをさせてやらないとな。それに、ナグモにも組としての仕事をさせねばならん。護衛以外にもな」
サランドさんは僕にそう告げる。すると、僕はサランドさんに尋ねた。
「なら、僕はミサキの護衛をすればいいんだね?」
「そうだ。ブンドル襲撃時にEランク昇格試験を行う。その間、ミサキのことを頼む」
「了解。それじゃ、僕はこれで」
僕がギルドマスター室から出ようとすると、サランドさんが声をかけてきた。
「待て待て。いつやるかくらい聞いていけ。ブンドル襲撃は三日後だ。Eランク昇格試験もな」
「三日後……」
「昇格試験の方は、Fランク冒険者たちにはすでに伝えてある。それと、部屋を出たらナグモとセツを呼んでくれ」
「了解。それじゃ」
僕はギルドマスター室を出た。
そして、ナグモとセツにギルドマスター室へ行くよう伝えると、二人はすぐに部屋へ向かった。
その後、僕とミサキはギルドの一階に残った。
「今度はナグモたちが呼ばれたんですか?何かあったんですか?」
「いや、何もないよ。それより、昇格試験のことを聞いたよ」
「あ、そうなんですか? 実は三日後なんですよ。昨日、急に言われたので驚きました」
ミサキはそう言った。僕は彼女の装備を見て、少し心配になった。
この装備で行くのか?
ミサキの装備は、細身の長剣と皮の小手。そして、体には鉄製の鎧のような防具を着けていた。
「えっ、これじゃダメなんですか?」
「僕からダメとは言えないけど……もう少し重装備の方がいいんじゃないかな」
「いやいや。この方が動きやすいので、これでいいです」
ミサキはそう言って、自分の装備を軽く叩いた。




