ディアモ
どうしよう。僕にはディアモさんを倒す決定打がない。
ディアモさんの攻撃は、一撃が強すぎる。だから、僕がどれだけ影の兵士たちに攻撃させても、一撃で倒されてしまう。どうしたものか。
「お前程度じゃ俺には勝てない。さっさと負けを認めて、大人しく俺に殺されろ!」
「誰がおとなしく殺されますか。僕はまだ生きたいんですよ!」
僕はシャドウトルーパーの弓兵を召喚し、矢を放たせながらディアモさんから距離を取る。
「ちょこまかとうっとうしい!」
「なら、こいつはどうですか。シャドウトルーパー、槍兵!」
新たに槍兵を召喚し、ディアモさんに攻撃を仕掛けさせる。
だが、ディアモさんは槍兵の槍をへし折ると、そのまま槍兵を斬り伏せた。
「そんなものか! ツブキぃ!」
「そんなものかって言われてもね!」
シャドウトルーパーが通用しないとなると、あとは奥の手しかない。
でも、できることなら一人のときには使いたくない。
使ったあと、しばらく体にかなりの負担がかかり、動けなくなってしまうからだ。
だが、もうそんなことを言っていられる状況ではない。
「とっておきを使ってあげるよ。いくよ、ディアモさん」
「とっておきだと? そんなもの、お前にはないだろ! さっさと死ね!」
ディアモさんが僕に向かって剣を振り下ろす。
僕はその剣を避けるのではなく、影の力をまとわせた腕で弾き返した。
「!?」
「奥の手――影纏い!」
影纏い。
僕の体を影が包み込み、身体能力を大幅に引き上げる異能。
そして――。
「影の剣!」
僕は影を凝縮させ、一本の剣を生み出す。
それを腕に装着した。
「気色悪いなぁ。全身真っ黒になりやがって。それに何だ、その黒い剣は?」
「これは僕の異能で作った剣だよ。ディアモさんの剣よりは、いい剣だと思うけどね」
僕はディアモさんに向かって、影の剣を振り下ろす。
ディアモさんは僕の剣を受け止めようとしたのか、自分の剣を盾にするように構えた。
「ディアモさん。受けない方がいいよ」
「お前の剣ごとき、受け止め――」
次の瞬間。
僕の影の剣が、ディアモさんの剣を真っ二つに斬り裂いた。
そのまま勢いを止めることなく、ディアモさんの体を深く袈裟斬りにする。
「がっ……!」
「ディアモさん。僕の作った剣は、異能で生み出した剣なんだよ。ディアモさんの持っている剣で、どうにかなると思ったの?」
「俺の……剣は……そんじょそこらの……なまくらなんかじゃ……ごふっ……!」
ディアモさんは片膝を地面につきながら、僕を睨みつける。
結構深く斬ってしまった。死ぬことはないと思うけど、もう戦える状態ではないだろう。
「俺は……お前を……殺して……勇者に……」
「ディアモさん。僕は別に、ディアモさんを殺したいわけじゃない。だから、もう無理はしないでくれ。頼む」
僕はディアモさんにそう告げる。だが、ディアモさんはまだ戦うつもりなのか、こちらを睨みつけたままだった。
「俺は……くさっても……勇者……なん……だ。お前ごとき……荷物……もちに……」
ディアモさんは、折れた剣を握りしめながら、なおも立ち上がろうとしていた。




