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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第二章 サング組編 始

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大剣のヤシオ

 ツブキたちがステイティアの森を離れて数十分後。

 ヤシオの死体のもとへ、一人の男が近づいていた。


「バカやろうが……。なんでお前みたいな若い奴が、こんな早死にしてるんだよ、ヤシオ」


 ヤシオの死体を見下ろしていたのは、サング組の男――カエンドだった。

 カエンドは以前からヤシオを追っていた。

 そして、ヤシオが一般人に迷惑をかけるところを目撃した後も、あえて助けなかった。

 ヤシオがどんな結末を迎えるのか――それを見届けるために。


「俺は、お前が仁義外れなことをしなければ助けていた。だが、お前はカタギに迷惑をかけた。それに……なんとなくだが、お前はこの状況を望んだんだろ」


 カエンドは、ヤシオの死体に向かって静かに語りかける。

 大剣を振るっていたヤシオは、サング組に入ってまだ一年ほどしか経っていない。

 本来なら、こんなふうに鉄砲玉として扱われていいような男ではなかった。ミントの兄貴のもとにいれば、きっとこんなことにはならなかっただろう。

 俺は、ヤシオが組に入ったばかりの頃、こいつを鍛えたことがある。当時のこいつは大剣なんて持っていなかった。

 他の武器の扱いも大したことはなく、銃もまともに使えなかった。

 だから、すぐに組を辞めると思っていた。だが、こいつは違った。


『自分がどこまで行けるか、試してみたい』


 そう言っていた。

 だから俺は、俺が構ってやれる時にはこいつを鍛えてやった。だが、こいつは結局、バララの方についた。


「いずれは、こうなると分かっていたはずだ。お前は不器用な奴だった。だから……俺といればよかったのにな」

「それじゃあ、ダメなんですよ。カエンドの兄貴」

「――ッ!?」


 突然、カエンドは背中に何かで刺されたような激痛を感じた。


「ぐふっ……!」


 背中に手を当てる。手には大量の血が付着していた。


「誰……だ。こんな……こと……」

「冥土の土産に教えてあげますよ」


 背後から聞こえてきた声。カエンドが振り返ると、そこには一人の男が立っていた。

 黄色いスーツを身にまとい、細長い顔。そして、背中まで伸びた長い髪を垂らしている。


「お前……は……バルトス……」

「早く死んでくださいよ、カエンドの兄貴」


 バルトスは薄く笑う。


「あなたはここで、ヤシオと共に死んだという筋書きになっているんですから」

「く……そがぁ!」


 カエンドは残された力を振り絞り、バルトスへ殴りかかる。

 だが、バルトスが指を鳴らし、次の瞬間、カエンドの真横に何かが現れた。


「――ッ!?」


 それがカエンドの首元を横薙ぎに首を斬り払った。

 ドサッ。

 カエンドの身体が、その場に倒れ込む。


「さて。私のお仕事は終わりました」


 バルトスは倒れたカエンドを見下ろしながら、平然と呟く。


「あとは、ブンドル君がうまくやるだけですね」


 そう言うと、バルトスはカエンドの首を蹴り飛ばした。


「ほんと、この人は目障りでしたよ」


 バルトスは、楽しそうに笑う。


「目障りすぎて、すぐに殺したかったくらいです。でも、寛容な私ですからね。今まで我慢してあげたんですよ」


 そして、ヤシオの死体へ視線を向ける。


「ヤシオと一緒に逝けてよかったですね、カエンドの兄貴」


 それだけ言うと、バルトスはステイティアの森を後にした。

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