アスベル・キンタ
バーの方に戻ると、身なりの怪しい男がバーに入ろうとしていた。
すると、アスベルはいきなりそいつを殴った。
え、問答無用?
「ここに入ってくる客はだいたい知っている。それに今の時間帯、バーはまだ本格的に開いてない。俺たちが情報をもらった後によく来るんだ。こういうバカが」
アスベルが僕に説明していると、身なりの怪しい男は頭にかぶっていたフードを外した。
すると、口元には黒いマスクをしており、顔の半分には狐のようなお面をつけていた。
「またややこしいやつか。お前は誰だ? 何のためにここに来た」
「俺は頼まれただけだ。お前らタケイサ組を探れと。サング組のやつに」
黒いマスクの男はそう言うと、腰に装備していた短い剣を抜き、アスベルに斬りかかる。
「お前のようなやつ、剣を抜かなくても平気だ」
アスベルは黒いマスクの男の攻撃をかわす。
そして、攻撃後の大きな隙をついて、男の腹部にパンチをくらわせた。
「がっ!」
「お前は誰だ? 何でサング組に協力する?」
「な、んで? お前ら、タケイサ、組は監視する、だけで、俺たちのような、貧民、を助けて、くれない、じゃないか。だから……」
「ふん。なら俺が個人的に助けてやる」
アスベルがそう言うと、黒いマスクの男は鼻で笑った。
「ヤクザが俺を助ける? ふん。そんなのありえ――」
「ありえないと思うなら、お前こそ何でサング組に協力する?」
「……言えない。だが、助けてくれるのが本当なら協力してもいい」
黒いマスクの男はアスベルに背を向ける。
「俺はザドン。ザドン・スカナー。今から大剣のヤシオって呼ばれてるやつのところまで案内する」
大剣のヤシオって、アマイを殺した男の一人か。
「大剣のヤシオに頼まれたのか?」
「ああ。娯楽エリアに入ったあたりで、お前をつけろって言われた」
ザドンがアスベルにそう言うと、アスベルはニヤリと笑った。
「なら行こうか。正々堂々ぶっ潰してやる」
アスベルがそう言うと、ザドンは「ついてこい」と言って歩き始めた。
僕とアスベルもザドンについていくき、娯楽エリアを出て、冒険者ギルドの近くまで戻る。
そこからさらに進み、ステイティアの森まで来ると、ザドンは足を止めた。
「大剣のヤシオ! 連れてきたぞ!」
ザドンが森の中で叫ぶ。
すると、森の奥から大剣を背中に装備した、ガタイのごつい男が姿を現した。
「アスベル・キンタ。お前とやれる」
「俺を知っているのか?」
「当たり前や。俺はサング組の大剣のヤシオや。お前とやりあいたくて、俺はこの南ステイティアに来たんやからな」
ヤシオは名乗ると、背中に装備していた大剣を抜く。
そして、アスベルに向かって斬りかかった。




