カエンドとチェイサー
二人が出て行った後、カエンドは大きなため息をついた。
「カエンドの兄貴……すいません」
「チェイサー。お前が謝ることじゃねぇ。アキザのことは……残念だったな」
カエンドにそう言われ、チェイサーは拳をグッと握りしめる。
「僕達は極道です。それに、アキザも覚悟を決めていた。だったら、それを受け入れてやるのも同期の役割です。それよりも……」
「ああ。あの二人だな」
カエンドはチェイサーの言葉の続きを察する。
「お前のことを兄貴分として認めてないらしいな。口だけでも『兄貴』って言えばいいのに、それすら言わねぇ。今の親父になってから、色々と大変よな」
カエンドは頭をかきながら呟いた。
サング組の組長が変わったのは、つい最近のことだ。新たに組長となったバララは、突然タケイサ組への攻撃を決めた。
そして、その命令によってチェイサーやカエンドはここへ派遣されたのだ。
だが、今のサング組は一枚岩ではない。現在、組は二つの派閥に分かれている。
一つは、今の組長であるバララを慕う者たち――バララ派。
そしてもう一つは、前組長の考えを尊重する保守派ーーミントを中心としたミント派だ。
「ミントの兄貴は今、バララの親父に監視されていて、上手く動けない。俺たちは、バララの親父の言いなりってわけだ」
カエンドは苦々しい表情を浮かべる。
「俺は組の奴らを、はなっから見捨てる気なんてねぇ。だが、バララの親父は臆病者だからな。俺たちが裏切る可能性があると思ってるんだろう」
「そうですね、カエンドの兄貴。カシラもバララ派ですから……僕らは本当に身動きが取れない」
チェイサーがそう言うと、カエンドはチェイサーの肩に手を置いた。
「俺たちは俺たちで、やれることをしよう。できるだけブンドルとヤシオは見張っておくんだ。俺はヤシオを見張る。チェイサー、お前はブンドルを頼む」
「了解です。それじゃ、また調査に入りますか」
「ああ。頼んだぞ」
チェイサーは頷くと、カエンドと共にサング組の隠れ家を後にした。
僕、ツブキはセツの実力を見た後、冒険者ギルドでナグモたちと合流した。
それからしばらくの間、僕たちは四人パーティーで依頼をこなしていた。
「もう少しでEランクに昇格できそう!」
ある日の依頼終わり、ミサキが嬉しそうに僕たち三人へ告げる。
「お嬢。おめでとうございます」
ナグモが笑顔で祝福する。
「まだよ、ナグモ。それに……ツブキさんは冒険者ランク、Sですよね?」
「いや、どうだろう?」
僕は首を傾げる。
「勇者パーティーにいた頃はSランク扱いだったけど……今の僕って、どのくらいなんだろう?」
勇者パーティーを追放された今、僕の冒険者ランクがどうなっているのかは分からない。
「今度、サランドさんに聞いてみようかな」
そう思いながら、僕たちはその日も依頼を終えた。
そして翌日、僕は冒険者ギルドへ向かい、そのままギルドマスター室へ向かった。
扉の前まで来ると、僕は軽くノックする。
「サランドさん。僕です。ツブキです」
「分かった。入れ」
サランドさんの返事を聞き、僕は扉を開けてギルドマスター室へ入った。




