セツの異能
セツは僕の攻撃を避けると、持っていた銃を別の銃へと変えた。
「悪いけど、少し本気でやるわね。ツブキ、相当強いから」
「そんなことはないよ。でもいいよ。セツの実力も見てみたいし」
セツは銃を構えると、僕に向かって連射を始めた。
あの銃は……マシンガンタイプかな?無数の弾丸が僕へと飛んでくる。
僕はそれを紙一重で避け続ける。
「これを避けるなんて、やっぱりツブキは強いわね。姉さんでも一発は当たっていたわよ」
「まあ、ギリギリだけどね」
僕がそう答えると、セツはマシンガンを撃つのをやめ、異能を使ってマシンガンを消す。
「こんな感じかな。私の実力、どうだった?」
「予想外だったよ。なかなか強いじゃないか」
「そう? ならよかったわ。ただ、近接戦は苦手だから、そこだけは覚えておいてね」
セツはそう言うと、僕へと近づいてくる。
「姉さんの復讐までは、よろしくね」
「ああ。こちらこそよろしく」
僕は差し出されたセツの手を握り返した。
ツブキとセツが訓練場で戦っている頃、南ステイティアのとある場所では――。
「チェイサー。お前、ぬりぃことやってんな」
サング組の隠れ家。そこに集まっていたサング組の一人、チェイサーに向かって、一人の男が言った。
「君こそ、ずさんなことをしてくれるよね。あんなところに死体を残すなんてさ。ブンドル」
「ずさんだと? やめてくれよ。我は処理に関しては、そこの大剣バカに頼んだんだからな」
チェイサーにそう言い返した男――ブンドルは、壁にもたれかかっているヤシオへ視線を向ける。
「は? ちゃんと処理しただろ。道端に捨てるっていう、画期的な処理をな」
「頭、大丈夫かい? 君。あんなの、怒ってくれと言っているようなもんさ。ヤシオとブンドル。君らは真っ先にタケイサ組の奴らに狙われるよ」
チェイサーがそう言うと、ヤシオが口を開く。
「狙われてなんぼさ。俺はタケイサ組を潰して、サング組で知名度を上げんのさ。いつまでも舎弟扱いするインテリ兄貴たちに対してな」
「我はサング組……いや、バララの親父のためになれば、それでよい。チェイサー。貴様はどうなんだ?」
ブンドルがチェイサーを睨む。
するとそこへ、青い長袖の服に白い上着を羽織った、一人の男が二人の会話に割って入った。
顔には、縦に走る剣の傷がある。
「二人とも喧嘩をするな。組のためにならん」
「カエンドの兄貴」
チェイサーは、顔に傷のある男――カエンドの名を呼び、カエンドはブンドルを睨みつける。
「カエンドの兄貴。そんなことを言って、我を睨むのはやめてくれないか?」
「ブンドル。親父の方針は変わったかもしれんが、人道を外れたことだけはするなよ。俺たちヤクザは、後ろめたい仕事も多い。だが――」
「わかった、わかった。全く……我は調査に出るから邪魔をするなよ。ヤシオ、行くぞ」
ブンドルはカエンドの言葉を遮ると、ヤシオを連れてサング組の隠れ家を出ていった。




