教会のこと
僕はサランドさんに報告を終えると、ここへ来た本題に入る。
「サランドさん。教会についてですけど、前に勇者パーティーにいたカイナと話してきました。でも、多分大丈夫だと思います」
「大丈夫?それはないと思うが……簡単にはボロを出さないということだな」
確かに、カイナは教会について何か知っているようだったけど、ボロは出していなかった。
教会は怪しい。だけど、しつこく探れば敵に回すことになる。
教会を敵に回すのは面倒だ。まずはサング組からだ。
「それと、昨日僕はサング組のチェイサーという男に襲われました」
「そうか。お前が狙われたのか」
サランドさんは少し考えるように黙る。
「ナグモの方にも色々と聞いているが、ミサキを狙っている奴はまだいないらしい。そこは一安心だが、これがずっと続くとも思えん」
「……そうですね」
「それに、こちらは南ステイティアを守りながらになる。こちらから攻めることはできん。どうしても後手に回るが、奴らが来たところを殺して止めるしかあるまい」
サランドさんは険しい表情で続ける。
「もしくは、南ステイティアにいるサング組の奴らを見つけ次第、殺すかだ」
物騒な話だけど、今の状況なら仕方がないのかもしれない。
サング組は僕たちを狙っている。なら、こちらも覚悟を決める必要がある。
僕はサランドさんに頷いた。
「じゃあ、セツのことは頼む。あと、教会の件は助かった」
「いえ。それじゃ、失礼しました」
僕はギルドマスター室を出る。すると、セツも僕についてきた。
……あれ?もしかして、もう一緒に行動する感じなのか?
「もう一緒に行くの?」
「サランドさんは動かないから、ついていきます。姉さんの仇を討てるのがいつになるか分かりませんから。それまでに、私は少しでも強くなりたいんです」
セツは真剣な表情で僕を見る。
……まあ、そういうことなら仕方ないか。
僕はセツと一緒に冒険者ギルドへ向かい、ナグモとミサキに合流する。
「げ。ナグモじゃん」
「なんだ、セツがいるじゃねえか。どうしたんだ?」
ナグモがセツを見ると、ミサキがナグモに尋ねた。
「ナグモの知り合い?」
「そうそう。お嬢、俺の知り合いだ」
ナグモがそう答えると、僕はセツに小声で話しかけた。
(あの子はサランドさんの大事な人だから、護衛でナグモと僕がついてるんだ)
(護衛? ふーん。まあ、話を合わせておけばいいのね?)
(話が早くて助かる。それで頼む)
僕がそう言うと、セツはミサキに近づいていく。
「私はナグモの知り合い! だからよろしくね、ミサキちゃん」
セツはミサキの手を握り、握手をすると、ミサキも笑顔で握手を返した。
「お嬢にあの態度はあまりよくねえけど、今は極道の決まりとかは関係ねえからな。それに、お嬢にはちょうどいいかもしれんな。このパーティーは男二人に女一人だし。バランス的に考えてもな」
それは確かに言えている。
セツがミサキと仲良くなれば、ミサキも少しはやりやすくなるに違いない。
……まあ、セツにその気があればだけど。
「サランドさんから、セツはまあまあやるって聞いたけど、実際どうなんだ?」
僕はナグモに尋ねると、ナグモは、なぜか親指を立てた。
「かなりやるぜ」
その自信満々な顔を見て、僕は少しだけ期待する。
……これは、頼もしい仲間が増えたのかもしれない。




