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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第二章 サング組編 始

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チェイサー

 僕はチェイサーを連れ、娯楽エリア、商店エリア、最後に冒険者ギルドエリアを案内した。

 一通り案内を終えると、チェイサーが周囲を見渡しながら口を開く。


「あれ? ここには教会はないのかい?」

「教会なら冒険者ギルドから少し離れた場所にある。案内しよう」

「ああ、頼むよ」


 僕はチェイサーを教会へ案内する。

 そして教会へ向かう途中、人の気配がほとんどない通路へ差しかかったところで、僕は足を止めた。


「……急で悪いけど、なんでそんな殺気を放ってるの?」

「……あれ? わかるんだ」


 チェイサーは驚いたように目を見開き、口元をニヤリと歪めた。


「やっぱ親父の言う通り、強いんだね。ツブキ・ドゥン」


 チェイサーは槍を抜き、僕の背中へ向かって突き出した。

 速い!

 僕は咄嗟に身体を捻る。それでも槍は僕の身体を貫いた。


「ぐっ……!」


 普通なら致命傷だけど、僕には五回までなら致命傷を受けても死なない魔法がある。それがなければ、今ので死んでいた。


「あら。今のでやれたと思ったんだけど」


 チェイサーは槍を構えたまま、楽しそうに笑っている。

 僕も剣を抜き、チェイサーへ向けた。


「お前……思い出した。ライトを僕にぶつけてきた奴だね」

「なんだ、あいつ俺のことを言ったのか」


 チェイサーは肩をすくめる。


「それにしても、そこまで役に立たないなんて拍子抜けだなー。勇者パーティーも落ちたもんだ」

「……お前の目的はなんだ?」


 僕が問いかけると、チェイサーは槍を構え直した。


「俺? 俺の目的は、この南ステイティアの極道――タケイサ組をなくすことだよ」


 チェイサーは笑みを浮かべる。


「そうして、ここを俺たちサング組のシマにするのさ」

「……なるほど」


 僕は剣を握り直す。

 こいつは最初から、僕を狙ってここへ来たんだ。


「なら、僕が邪魔ってことか」

「そういうこと」


 チェイサーが槍を構え、僕も剣を構える。


「だったら――!」


 僕は一気に距離を詰め、チェイサーへ斬りかかった。

 ガキィン!

 僕の剣をチェイサーの槍が弾き飛ばす。


「っ!」


 僕は一旦距離を取ろうとしたがーー。


「逃がさないよ~」


 チェイサーの槍が僕の胸部を狙って突き出された。


「これくらい、なんともないよ!」


 僕は剣で槍を弾き飛ばし、異能を発動させる。


「シャドウトルーパー。剣士!」


 僕の影から、黒い剣士が姿を現す。

 その手には、一本の剣が握られていた。

 影の剣士はチェイサーへ向かって駆け出した。


「無駄だよ」


 チェイサーは冷静に槍を構える。


「俺には効かない」

「何……?」

「俺も異能を使おうか」


 チェイサーは影の剣士の懐へ一瞬で入り込んだ。

 ズブッ!

 槍が影の剣士の胸を貫くと、影の剣士は黒い霧のようになって消滅した。


「なっ……!」


 影の剣士を一撃で……。こいつの異能は、かなり厄介だ。

 チェイサーは僕から距離を取る。


「この人けのない通路を選んだのは、俺が異能を使いやすいからだよ」


 そう言うと、チェイサーの手から何かが溢れ出した。

 白い何かが、徐々に周囲へ広がっていく。


「周囲が見えなく……。まさか、霧か?」

「ご名答」


 チェイサーの声が霧の中から聞こえる。


「俺の異能――霧で、お前を見えないところから突き殺してやろう」


 その言葉を最後に、チェイサーの声が聞こえなくなった。

 どこにいる……?目の前は真っ白だ。このままでは、いつどこから攻撃されるかわからない。


「……だったら、僕も迎撃するしかない!」


 僕は再び異能を発動させる。


「シャドウトルーパー。防御兵!」


 僕の周囲から、複数の黒い兵士が姿を現す。

 彼らは影の鎧に身を包み、盾を構えて僕を囲んだ。


「これなら、どこから攻撃されても――」

「なかなかやるな」


 霧の中からチェイサーの声が聞こえた。


「それじゃ、俺が一撃でお前を殺さないと、俺がどこにいるのかバレそうだ」

「……!」


 急に、周囲を包んでいた霧が、一瞬で晴れた。


「何……!」


 霧が消えた!?そんなことまでできるのか!

 そして僕の目の前には、槍を構えたチェイサーが立っていた。


「不意打ちしても意味ないなら、使う要素ないからな」


 チェイサーはニヤリと笑った。


「これでもくらっときな!」


 チェイサーが一気に踏み込んだ。槍が防御兵の身体を貫く。だが、それでも止まらない。

 槍は防御兵を次々と貫き――。そのまま、僕の身体へ向かって突き出された。

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