ミルト・ルト
ナグモが兄貴かー。本職はヤクザなのに、冒険者からも兄貴と呼ばれるなんて、それだけ慕われているんだな。
そんなことを考えていると、ナグモはミルトに言った。
「かまわんよ。好きにするといい。俺は気にしないからよ」
「それじゃあ、私たちと依頼を受けてもらえないでしょうか? あ、すいません。ちゃんと自分から名乗ってませんでしたね。私はミルト・ルトです。あらためて、よろしくです」
ミルトが名乗ると、ナグモは首を横に振った。
「悪いが、俺はこの二人と組んでるから、お前らと依頼には行けない。けど、何かあれば面倒くらいは見てやる」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
ミルトは嬉しそうに頭を下げる。
その後、ミルトが依頼のボードを見直していると、ザランクは気に入らなさそうな顔でナグモを見た。そして、一枚の依頼書を取る。
「ほら! ミルト、これ行くぞ」
「わかったよ、ザランク。それでは失礼します」
二人は依頼書を持って受付へ向かっていった。
僕は二人の背中を見ながら、ナグモに話しかける。
「ナグモは慕われやすいんだね」
「まぁ、男にはよく好かれるな。女には全然ダメだが。それより、俺たちも依頼はどうする?」
僕たちは再び依頼のボードを見る。すると、ミサキが一枚の依頼書を手に取った。
「ツブキさん!ナグモ!私、これに行きたい!」
僕とナグモは依頼書を確認し、ナグモが頷いた。
「お嬢が言うなら分かりました。それに行きましょう」
「うん。僕もそれでいいと思うよ」
僕とナグモが頷くと、ミサキは嬉しそうに依頼書を受付へ持っていった。
そして僕たちは、その依頼の場所へ向かった。
その後、依頼を無事にこなした僕達は、それぞれ別行動をすることになった。
ナグモはミサキと行動し、僕は一人で商店エリアへ向かう。
商店エリアに着いた僕は、ポーションや消耗品を補充する。
僕が影の異能でミサキを護衛しているとはいえ、ミサキは怪我をすることが多い。だから、ポーションは多めに買っておかないといけない。
「そこの人。少しいいかな?」
突然、誰かに声をかけられた。振り返ると、背中に槍を背負った、緑色の髪が特徴的で、赤いスーツを着ている男が立っていた。
「僕ですか?」
「そうそう、君君。僕、この王都に来てまだ日が浅いんだけど、この辺りを案内してもらえないかな?」
「王都の外から来たんですか?」
僕は槍を背負った男に尋ねる。この王都、ステイティア王都はかなり大きな街だ。
北ステイティア、東ステイティア、南ステイティア、西ステイティアと、東西南北に分かれている。僕が今いるのは南ステイティアだ。
「いや、僕は北の方の出身でね。用事があってこの街に来たんだが、やたら広くてね。案内してもらえないかな?」
「かまわないけど、君の名前は?」
「僕はチェイサー。よろしくね」
チェイサー?
その名前……誰かから聞いたことがあるような気がする。誰だったかな。
僕は少し考えたが、思い出せなかった。とりあえず、僕はチェイサーに南ステイティアを案内することにした。




