カイナ・アルナ 2
「何でそれを知っているんですか?」
「こちらにも情報屋はいるからな。下手なことをしようとは考えない方がいい。そんなことをしたら、君は綺麗に始末されるだけだ。それこそ、アマイより酷い目に遭う。君はもう、僕達と取引した時点で終わってるんだよ。それがヤクザだ」
チェイサーは私にそう告げ、私は軽く恐怖を覚えた。
リスクはあると思っていた。でも、まさかここまでとは……。
私は聖職者だ。下手なことをすれば、こいつらに利用されて終わる。
でも、そんなのはごめんだ。私がこいつらをうまく利用して、ヤクザを潰してやる。
「それで? 次の情報は?」
「しばらくは接触しないで。私は私で動くから。また必要な時に呼ぶわ」
「了解した。それじゃ、孤児院に一人、うちの組のもんを置いていく。そいつを通してくれ」
チェイサーはそう言うと、懺悔室から出ていった。
私は、ほっと一息つく。
……危なかった。あいつらは本当に油断できない。でも、これで一歩前に進める。私は絶対に、ヤクザを潰してみせる。
ーー僕、ツブキはカイナと話をした後、教会を出て、ミサキとナグモと共に冒険者ギルドへ戻っていた。
「教会って、あんな感じの場所なんですね」
ミサキが僕に言うと、ナグモが口を開いた。
「お嬢。教会の話は、あまりギルド内ではしない方がいいよ。冒険者ギルドと教会の人間は、基本的に仲が悪いからな。僧侶として依頼を受けに来てくれる人には優しいんだけど、教会内だけで仕事をしている奴らには、あまりいい印象を持ってないらしい」
ナグモがミサキに説明すると、ミサキは「へぇー」と返事をする。
確かに、冒険者ギルドであまり教会の人の話はしないなぁ。
「今日は何の依頼を受ける?」
ミサキが僕とナグモに尋ねる。僕とナグモはミサキを連れて、依頼の貼られている掲示板へ向かうと、掲示板の近くにいた冒険者がナグモの姿を見て声を上げる。
「あっ……」
「お前らか。まだレベルの低い依頼を探してるのか?」
ナグモは、僕の隣にいた二人組の冒険者に話しかける。
組の舎弟かな? いや、ヤクザは冒険者にはなれないし……違うのかな?
「い、いや、俺たちは……」
二人組の一人が、目を泳がせながら答えようとする。
すると、背中に双剣を装備している男がナグモに頭を下げた。
「この前は失礼なことをして、申し訳ありませんでした。私とザランクが悪かったです」
双剣を装備していた男が頭を下げると、ザランクと呼ばれていた男も慌てて頭を下げる。
「別にいいよ。態度を改めてくれたならな。それより、お前らはD級ならD級の依頼を受けたらどうだ?」
「いえ。私達はE級に下がりました。自分達の実力がD級には及ばないと思いましたので。それに、何より……」
双剣を装備した男はナグモに近づく。そして、真剣な表情でナグモを見つめると――
「私は、あなたに惚れました。兄貴と呼んでもよろしいですか?」




