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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第二章 サング組編 始

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カイナ・アルナ

 私、カイナはツブキさん達と別れた後、教会の中にある懺悔室へ向かった。

 懺悔室。そこは日々、自らの罪を告白し、神に許しを乞う者が訪れる場所だ。

 私は別の目的でこの場所を使うことがある。

 懺悔室に入れるのは、教会の人間と悩みを抱えた子羊――つまり、一人の客人だけ。

 だからこそ、ここは人目を避けて話をするには都合がよかった。

 私は懺悔室に入ると、すでに中で待っていた男に声をかける。


「……合言葉は?」

「神など信じない」

「よろしい。では、私が頼んだ仕事はしてくれたの?」


 懺悔室にいたのは、黒いスーツを着た男、サング組の構成員、チェイサーだった。

 チェイサーは口元を歪めながら答える。


「してあげたよ。僕達サング組にとっても、いい話だったからね。情報屋――いや、アマイ・フォンを殺せって依頼は」


 チェイサーは肩をすくめる。


「しかし、あんたも汚いよな。教会の僧侶のくせに、こんな汚れ仕事を僕達ヤクザに頼むなんて」

「より良き世界のためです」


 私は淡々と答える。


「私はあなた方など信用していません。ヤクザなんて、ゴミとしか思っていませんから」

「……言ってくれるじゃないか」


 チェイサーは目元に手を当て、響かない程度の声で笑った。


「まぁいいけど。僕も自分の組の人間で信用しているのなんて、親父くらいしかいないしね」

「サング組のチェイサー。アマイはちゃんと丁寧に処理したの?」


 私は背筋を伸ばしたまま、彼に問いかける。

 するとチェイサーは、悪びれる様子もなく答えた。


「僕はやってないから知らないな。僕の舎弟にやらせたし」

「……」

「僕が頼まれたのは、アマイを殺すこと。それだけだよ。後のことは知らない」


 その言葉を聞いた瞬間、私は背中に手を回し、ダガーを抜く。冷たい刃先を、チェイサーへと向けた。


「私は、ちゃんと丁寧に埋葬するところまで頼んだはずですが?」

「ふん。僕らにそこまでする義理はないよ」


 チェイサーは刃を向けられているというのに、動じる様子がない。


「あくまで僕達は、こちらに得があれば動く。それがサング組ってものだからさ」

「……」

「君のパーティーのライトだってそうさ」


 チェイサーは楽しそうに笑う。


「彼にツブキの情報を与えて、共倒れさせる――だったかな?」

「それも、できていなかったわね」


 私はダガーを握る手に少しだけ力を込めた。


「驚きましたよ。ツブキさんが私のもとへ来た時は」


 ライト・スクルドーー。

 彼は勇者パーティーにいるには、あまりにもふさわしくない人間だった。

 私が殺そうとも考えましたが、僧侶は人を救う仕事。

 人の命を奪うことなど、本来なら許されることではない。

 だからこそ、彼にはライトと共倒れしてほしかった。それなのに――


「ライトはクズだったから、死んで当然だと思いますが」


 私は静かに呟く。

 ツブキさんのせいで、今の勇者パーティーは残念な状態になっている。せめてライトと共倒れしてくれればよかったのに。

 まさか、ツブキさん自身が私のもとへ来るとは思わなかった。


「あんたも、ひどい僧侶だよな」


 チェイサーが口元を歪める。


「アマイは、あんたの幼馴染だったんだろ?」

「……」


 私は一瞬、言葉を失った。

 ――なぜ、こいつがそれを知っている?私とアマイが幼馴染だったことを知る人間は少ない。

 幼い頃、私とアマイはよく一緒に遊んでいた。  

 それも幼少期だけの話。それ以来、私達が顔を合わせることは一度もなかったが、久しぶりに彼女を見かけた時は驚いた。

 まさか、アマイが、情報屋としてヤクザに情報を流す仕事をしているなんてーー幼い頃の彼女を知る私には、とても信じられなかった。

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