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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

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影の異能

「ぐっ!」


 アキザが胸を貫かれ、血を吐く。

 その瞬間、後方にいた弓兵たちが一斉に矢を放った。

 何本もの矢がアキザの身体に突き刺さり、その身体が大きく揺れる。


「は、はは……。俺様が……まさか、冒険者ごときに……」


 アキザは力なく笑いながら、僕を見る。


「お前……名前は?」

「僕はツブキ。ツブキ・ドゥン」


 僕はアキザとある程度の距離を取ったまま答える。

 同時に、影の兵隊の剣士二体をアキザの近くへ移動させ、盾兵たちは、僕の近くまで戻しておく。


「ツブキ……か。なるほど……俺様が負けるのも……うなずける」


 アキザは苦しそうに息を吐く。


「カシラが……要注意人物だと言っていた……やつだからな」

「僕が……要注意人物?」


 僕の事を知っている?

 それに、カシラという人物まで僕を警戒している。いったい、どういうことなんだ?

 今はそれを考えている場合じゃない。


「やるなら……さっさとやりな」


 アキザは僕を睨みながら、力なく笑う。


「お前に殺されたなら……そこら辺のやつに殺されるよりは……ましだ」

「……分かった」


 僕は短く答えた後、影の兵隊の剣士二体に命令を出した。

 次の瞬間――二本の剣がアキザの胸部を貫いた。


「……」


 アキザの身体から力が抜け、そのまま地面へ倒れた

 そして二度と動かなくなった

 アキザは死んだ。

 僕はしばらくその遺体を見つめたあと、サニカとガマルの遺体へ向かう。

 二人とも顔は失われている。

 二人が僕のために戦ってくれたことに変わりはない。


「……ちゃんと埋葬してあげないと」


 僕は二人の遺体を運び始め、アキザの遺体はその場に残しておく。

 僕は人の気配がほとんどない道を選び、ギルドの近くまで移動した。

 二人の遺体を人目につかない場所へ隠してから、サランドさんのもとへ向かう。


 ギルドマスターの部屋に着くと、僕は扉をノックした。

 ……けれど、返事を待たずに扉を開ける。


「いきなり開けるなよ。ノックの意味がないだろ」

「すいません」


 僕は頭を下げる。


「ただ、サランドさん。あなたに残念なお知らせがあります」

「残念なお知らせ?」


 サランドさんの表情が変わる。


「そういえば、私が向かわせた二人はどうした? あいつらは強い。きっと役に立ったと思うんだが」

「……」


 僕は一度、息を吐く。

 そして、ゆっくりと口を開いた。


「サニカさんとガマルさんは……亡くなりました」

「…………」


 サランドさんは何も言わず、しばらくして、重い口調で呟く。


「……そうか」


 その声には、明らかな悲しみがあった。


「二人は……やられたのか」

「はい」


 僕は拳を握る。


「僕がいたのに……二人を守れませんでした」

「お前は悪くないさ、ツブキ」


 サランドさんは静かに首を横に振った。


「あの二人に申し訳ないのは、この私だ」

「サランドさん……」

「冒険者時代、ガマルとサニカには何度も助けられた。だから……あの二人なら生きて帰ってきて、今回のことを頼めると思っていたんだがな」


 サランドさんは俯く。

 僕は何も言えなかった。本当に申し訳ない。

 勇者パーティーにいた頃、僕たちが戦っていた相手のほとんどは魔物だった。

 魔物相手なら、僕の影の兵隊でも十分に戦えていた。

 今回、僕が戦ったのは異能を使う人間だった。

 しかも、自分の異能を極めているような相手だ。

 僕の異能が強いからといって、すべての相手に通用するわけじゃない。


「……異能を極めた人間相手だと、やっぱり難しいな」


 思わず、そんな言葉が口から漏れた。


「何か言ったか?」

「いえ……なんでもありません」


 サランドさんは僕を見て、少しだけ間を置いてから口を開いた。


「あの二人の仇を討てないのは悔しい。だが……二人の墓は、責任を持って私が作ろう」

「……ありがとうございます」

「今回のことは本当に助かった。これは報酬だ」


 そう言って、サランドさんは金の入った封筒を僕に差し出し、それを受け取る。


「……ありがとうございます」


 封筒を握りしめながら、僕は二人のことを思い出していた。


 サニカさん。ガマルさん。

 二人が命を懸けて残してくれたものを、僕は無駄にしたくない。

 『カシラ』という人物が、僕を要注意人物として警戒している。

 いったい、そいつは何者なんだ?

 僕は、嫌な予感を抱えたままギルドマスターの部屋を後にした。

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