アマイ・フォン
僕は、ギルドマスター室から出た後,冒険者ギルドの一階へ降り、受付へ向かう。
ミサキとナグモが依頼を受けているのなら、受付の人に聞けば分かるはずだ。
「すいませーん」
「はーい。なんでしょうか?」
声をかけると、金髪で肌が黒く焼けた、ギャルっぽい見た目の受付嬢が僕に声をかけてきた。
なかなか個性的な受付嬢だな。
「ミサキとナグモは、何か依頼を受けていますか?」
「ほかの冒険者様の情報をお伝えするのはよくないことですので、どの依頼に向かっているのかなどはお伝えできません」
ギャルっぽい見た目なのに、口調はかなり丁寧だ。
「じゃあ、依頼を受けているか、受けていないかだけ教えてもらえますか?」
「それなら大丈夫ですよ。お二人は依頼を受けていません」
「分かりました。ありがとうございます」
僕は受付嬢に礼を言うと、ミサキとナグモを探すことにした。
――私はアマイ・フォン。
冒険者ギルドの受付嬢をする傍ら、ギルドマスターが所属している組、タケイサ組の手伝いもしている。
一応、ギルドマスターからは組員として扱われているけれど、私としては本職は情報屋と思ってる。
そして、情報を集めるのに都合のいい受付嬢でもあると思っている。
今日は受付嬢としては非番。タケイサ組のために情報を集めているところだ。
私が集めた情報が、サランドさんの役に立てばいいんだけど……。
私は買い物をするふりをしながら、街の中を歩き回っていた。
そのとき、黒いローブを着た怪しい男が近づいてきた。
「見つけたぞ。お前がタケイサ組に、我々の情報を流しているんだな」
男は私とすれ違いざまに、そう言った。
私は男から距離を取ると、そのまま逃げるように人通りの少ない場所へ向かった。すると、男は私を追いかけてきた。
「あなたはサング組の人かしら?」
私は振り返り、男に問いかける。
「私はあなたたちでいうところの、カタギというやつですよ」
「そうか。我は確かにサング組の男だ」
男はそう言うと、黒いローブを脱いだ。
現れたのは、髭が濃く、黒い長髪をした普通体型の男だった。
「我はブンドル。ブンドル・ランガ。今から貴様を始末する男の名だ」
「生憎ですけど、私は死ぬつもりはありません。まだ受付嬢の仕事を続けたいですから」
私は護身用の武器である、剣よりも短い忍者刀を抜いた。
「ほう。我に歯向かうか。よかろう! ならば、ことごとく死ぬがいい!」
ブンドルは私に向かって殴りかかってきた。私は忍者刀で攻撃を受け止めようとする。
「うっ!」
ブンドルの拳を受け止めた瞬間、凄まじい衝撃が腕に伝わってきた。
私は攻撃を受け止めきれず、そのまま後方へ弾き飛ばされる。
「我の異能は、一瞬にして力を放つ異能だ」
ブンドルは拳を握り直しながら、私を見下ろす。
「我が普通体型だからといって、なめてかかると死ぬぞ、貴様」




