↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/273

冒険者ギルド

 僕の名は、ツブキ・ドゥン。

 つい先日まで勇者パーティーの一員だった、荷物持ちの冒険者だ。

 見た目は黒髪のショートヘア。服装は、動きやすさを重視したラフな装備を身につけている。

 勇者パーティーにいた頃、僕は「荷物持ちが武器を持つな」と言われていた。

 だから僕は、戦うための武器を持つことすら許されなかった。

 それでも、一人で生きていくためには何か力が必要だった。

 そこで僕は、魔法を独学で覚えた。魔法は自分で編み出したオリジナルの魔法しか使えない。

 その効果は――自分が受けた致命傷を、五回まで耐えることができるというもの。簡単に言えば、五回までは死なない。痛みまで消えるわけじゃないけど五回も死なないってすごくない?

 この魔法は僕が一人で冒険者を続けるには十分な力だった。

 そして今、僕は剣を腰に装備し、王都スティティアにある冒険者ギルドの前に立っていた。


「……よし」


 これからは一人でやっていく。まずは依頼を受けなければならない。

 僕は冒険者ギルドの扉を開け、中へ入り、すぐに受付へ向かう。

 勇者パーティーにいた頃も、依頼を受けるのは僕の仕事だった。

 依頼を探し、受付で手続きをして、必要な道具を準備する。

 その後、ディアモたちと一緒に依頼をこなしていた。

 ……今思えば、依頼を受けるところまで僕がやっていたのに、よく「何もしていない」と言えたものだ。


「ツブキさん。今日はどんな依頼を受けに来たんですか?」


 受付にいた女性が、僕に声をかけてきた。

 彼女の名前は、アマイ・フォン。ピンク色の短い髪に、頭には黒いピンを二つつけている。

 僕が勇者パーティーにいた頃から、何度もお世話になっている受付嬢だ。


「アマイさん。今日は僕一人で依頼を受けに来たんだ」

「お一人ですか?」


 アマイさんは不思議そうに首を傾げる。


「勇者様――ディアモさんとは別行動するんですか?」


「い、いや……」


 どう言えばいいんだろう。できれば、あまり大きな声で言いたくない。


「すごく言いづらいんだけど……僕、勇者パーティーを辞めたんだ」

「…………」


 アマイさんの笑顔が止まった。


「……ん?」


 笑顔のまま、明らかに困惑した表情になる。


「ツブキさん」

「はい」

「こちらで少し待っていてください」

「え?」


 アマイさんはそれだけ言うと、受付の奥へと向かっていった。


「…………」


 僕は言われた通り、受付の端で待つことにした。

 何か問題でもあったのだろうか。

 数分後。アマイさんが戻ってきた。


「ツブキさん」

「はい」

「ギルドマスターがお呼びです。来ていただけませんか?」

「ギルドマスターが?」


 僕は首を傾げながら、アマイさんについていった。


 案内されたのは、冒険者ギルドの二階にある部屋だった。

 扉を開け、そこにいたのは坊主頭が特徴的で顔や腕には、いくつもの傷跡、服の上からでも分かるほど鍛え上げられた筋肉をもつ男だった


「……」


 僕は思わず固まった。


「ツブキ・ドゥンだな」


 男は低い声で言った。


「私はこの冒険者ギルドのギルドマスター、サランド・カサランだ」

「サランド……?」


 その名前を聞いた瞬間、僕は驚いた。

 サランド・カサラン。かつて冒険者として大きな功績を残し、名を上げた人物だ。

 僕も冒険者として活動している以上、その名前くらいは知っている。確か、すでに冒険者を引退したと聞いていた。

 まさか、今はこのギルドのギルドマスターをしていたなんて。


「……驚いているようだな」

「あ、すみません」

「構わん。それより聞きたいことがある」


 サランドさんは僕を真っ直ぐに見つめる。


「お前は勇者パーティーにいたと聞いている」

「はい」

「なぜ辞めた?」

「…………」


 どう答えればいいんだろう。

 僕は少し迷ってから口を開いた。


「えーと……これはディアモ達には言わないでほしいんですが」

「安心しろ」


 サランドさんは即答した。


「この部屋の話が外に漏れることはない」

「……分かりました」


 僕は勇者パーティーを追放されたことを話した。

 ディアモに言われたこと。アスタやライトに言われたこと。

 そして、最後に「自分からパーティーを抜けたことにしろ」と頼まれたことまで。

 サランドさんは、僕の話を最後まで黙って聞いていた。


「…………」


 やがて、腕を組む。


「ふむ」


 そして、短く息を吐いた。


「私は、お前のことを買っていたんだがな」

「……え?」


 思いがけない言葉だった。まさか、ギルドマスターが僕に言うとは思わなかった。


「僕のことを……?」

「そうだ」


 サランドさんは机の上に置かれていた一枚の紙を手に取った。


「お前は、自分が思っている以上に評価されているぞ」

「……どういうことですか?」


 サランドさんは、その紙を僕の目の前に置いた。


「これは……?」


 僕はギルドマスターが見せてきた紙を見ていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。