サング組 アキザ
ツブキが商店エリアへ向かった頃。
サング組の事務所付近で、事務所を不満そうに睨みつける一人の男がいた。
男の名はアキザ。緑色の髪に赤いTシャツを着ており、服には「×」の文字が描かれている。下にはダメージジーンズを履いているのが特徴的な男だ。
「ったくよぉ。チェイサーの奴、俺様にこんな面倒なことを頼みやがって。後で爆破してやる」
するとーー
「まあまあ、そんなこと言わずに」
アキザのいる拠点に、一人の男が訪れる。
「ちっ。何しに来やがった、チェイサー。俺様はイカれた男――爆破のアキザだぜ」
「僕はね。アキザのこと、結構気に入ってるんだよ?」
チェイサーは笑みを浮かべながら続ける。
「君がわざとイカれた奴を演じて、組の連中から嫌われようとしていることも知ってる。そうやって自分を嫌われ者にすることで、組の奴らに迷惑をかけないためだろ?」
チェイサーの言葉に、アキザは笑った。
「俺様が組に対して、そんな殊勝なことを考えているとでも思っているのか?」
アキザは鼻で笑う。
「俺様は気に入らねぇ奴を爆破する。それだけだ」
「でも、それは外道や敵対組織の奴らだけだ。それは僕も知っているし、組の中で君を理解している奴も分かっている」
チェイサーはアキザを見つめる。
「君のことをよく思わない奴らが、君のことを悪く言って『ヤバい奴』扱いしていることもね」
「……ふん」
アキザは顔を背けた。
「そんなくだらないことを言いに来たのか?」
「違うだろ?」
チェイサーは静かに言葉を続ける。
「君は組の指示に従ってタケイサ組に侵入し、そこで暴れる。そして――」
「わざとタケイサ組の奴らに殺される」
チェイサーが言い終える前に、アキザが言葉を引き継いだ。
「……それでいいの?」
チェイサーの問いに、アキザは笑った。
「今、笑うようなことを言ったつもりはないけど?」
「あぁ、悪い悪い」
アキザは笑いながら頭をかく。
「いや、俺様はサング組じゃ嫌われていたし、今の組長はどうやら俺様が嫌いらしいからな。まあ、俺様もあの組長は気に入らねぇが」
アキザは一度、事務所の方へ目を向ける。
「このままだと、外道の集まる組にもなりそうだ。だから俺様は、先に降りさせてもらう。それだけだ」
「僕は、君より特攻するならもっと適任な奴がいると思うけどね」
「……それはダメだ」
アキザの表情から、笑みが消える。
「俺様はヤクザとしては長くやってる。本来なら若手を育てなきゃいけねぇ」
アキザは拳を握る。
「若手をヒットマンに使うなんざ、許されちゃいけねぇんだ。若い奴には今後、組を変えてくれるやつもいるかもしれねぇ」
「……」
「だから、もう行かせてもらうぜ」
アキザはチェイサーの横を通り過ぎる。
そして、すれ違いざまにチェイサーの肩へ手を置いた。
「サング組は任せたぜ」
「……」
「お前は上手いことやる奴だからな」
アキザは背を向けたまま続ける。
「俺様は、お前のそういうところが気に食わなかった。だが、お前の上手いやり方は俺様にはできねぇ」
アキザはチェイサーから手を離す。
「だから、組のことは頼んだぜ」
「……バカな奴」
チェイサーがそう呟くと、アキザは振り返ることなく、拠点から出ていった。
そして、タケイサ組の事務所へ向かう。しばらくして、アキザはタケイサ組の事務所へと辿り着いた。
「ここがタケイサ組の事務所か……」
門番がアキザに気づく。
「おい! 何者だ!」
「俺様か?」
アキザはニヤリと笑う。
「俺様は――爆破のアキザだ!」
次の瞬間。
ドォンッ!爆発音が響き渡った。
アキザは爆破の異能によって、門番を殺害する。
「邪魔すんなよ」
アキザは倒れた門番を一瞥すると、そのまま事務所の中へ入ろうとしたがーー
「止まれ!」
「ここから先へは行かせねぇぞ!」
複数の男たちが、アキザの前に立ちはだかった。
「……へぇ?」
アキザは口元を吊り上げる。
「俺様を止めるってのか?」




