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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

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サング組員

「何人かは、もう王都にいるらしい。奴らの目的は、まずこの王都で活動するための拠点を作ることだと思われる」


 サランドさんは手元の紙に目を落としながら説明する。僕は黙って、その話に耳を傾けていた。


「現状、こちらに来ている構成員は武闘派が三人。それと、舎弟が数名だ。武闘派三人の名前は――槍のチェイサー、剛力のカエンド。そして……」


 サランドさんが最後の一人の名前を口にしようとした、そのときだった。

 手にしていた紙が、微かに震える。


「……まさか。そんなバカな。奴が本当に来ているのなら……」


 サランドさんは慌てたように立ち上がると、僕の肩に手を置いた。


「ツブキ。一人は、すぐに殺さないとダメな奴だ」

「そんなに危険なんですか?」

「ああ。名前は――爆破のアキザ」


 その名前を口にした瞬間、サランドさんの表情が険しくなる。


「アキザは異能使いだ。触れたものを爆弾に変えたり、触れた瞬間に爆破させたりする。……いかれた野郎だ」

「触れたものを……爆弾に?」

「ああ。しかも、サング組の中でも扱いに困っているような男だと聞いている」


 それだけ聞けば、どれほど危険な男なのかは僕にも想像できた。

 もしそんな奴が王都で好き勝手に暴れれば、被害が出るのは間違いない。


「本来なら、こっちに来るときは組長も一緒だと思っていたんだが……」


 サランドさんは一度言葉を切ると、僕の目を真っ直ぐに見つめた。


「だから、頼む。私たちと一緒にアキザをやるのを手伝ってくれないか?」

「僕が?」

「ああ」


 サランドさんは頷く。


「奴らの狙いは、おそらくアキザを殺されたことへの報復だ。もし私たちがアキザを殺せば、サング組はそれを理由にタケイサ組へ抗争を仕掛けてくるだろう」


 なるほど、サング組としては、厄介者であるアキザを始末できる。

 そのうえ、アキザが殺されれば、それを口実にしてタケイサ組へ抗争を仕掛けることもできる。

 随分と都合のいい話だ。でもーー

 僕は少し考える。タケイサ組の人間が直接アキザを殺せば、抗争の理由を与えてしまう。

 だったら、タケイサ組とは関係のない冒険者を使うしかないんじゃないか?

 僕が考えていると、サランドさんが口を開いた。


「ミサキの護衛は、しばらくナグモに任せる」

「ナグモに?」

「ああ。だから、お前にはその間に私が呼ぶ冒険者たちと合流して、アキザを始末してほしい」


 サランドさんは真剣な顔で続ける。


「殺せなくても構わない。少なくとも、異能を使えない状態にはしてくれ。頼む」


 そう言って、サランドさんは僕に頭を下げた。


「ちょっ……そんな、頭を下げなくてもいいですよ」


 僕は慌てて手を振る。


「確かに、爆破の異能を持っているうえに、そんなに危険な奴となれば放っておくわけにはいきませんからね。わかりました。その依頼、引き受けます」

「……ありがとう」


 サランドさんは頭を上げる。


「色々とうちの組のことで迷惑をかけて、本当にすまないな」

「気にしないでください」


 爆破の異能を持つ奴が王都で暴れれば、困るのはタケイサ組だけじゃない。

 僕だって、巻き込まれる可能性がある。

 だから、さっさと片付けてしまったほうがいい。


「それで、アキザは今どこにいるんですか?」


「ああ。おそらく、ここだ」


 サランドさんは机の上に地図を広げ、その中の一点を指差した。


「ここはうちの事務所からも近い。おそらく、奴はそこを爆破するつもりなんだろう」

「なるほど……」


 もし本当に事務所を狙っているのなら、時間はあまりない。


「そこには私の仲のいい冒険者を二人ほど呼んでおく。お前はそいつらと合流してから、アキザを攻めてくれ」


「わかりました」


 僕は頷いた。それからギルドマスターの部屋を出る。

 まずは商店エリアに向かい、必要な道具を揃えなければならない。ナグモなら大丈夫だと思う。

 だけど、ミサキと二人きりでいる以上、やっぱり少し心配だ。だからこそ――。


「できるだけ早く終わらせないとね」


 僕は足を速め、急いで、商店エリアへ向かった。

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