ライト・スクルド 2
ライトは多少は戦闘ができるけど、こんな面倒なことはやらない。いつものライトなら。
ただ、誰かに頼まれたとなると、こういう面倒なことでもやる。それが僕の知っているライトだ。
「誰に頼まれたの?」
「だから俺は、誰にも頼まれてなどいない!」
ライトがいつまでも意地を張るから、僕は影をライトの腕に巻きつけ、思いっきり締めつける。
「ぐぁぁぁ!」
「僕はね。元仲間だから手加減してるんだよ、ライトさん。でも、いつまでも意地を張るようなら……腕の一本や二本、折らせてもらうよ」
「お、お前……本当にツブキか?ツブキの偽物じゃ……」
「僕は正真正銘、勇者パーティーで荷物持ちをしていたツブキ・ドゥンだよ。さぁ、早く誰に頼まれたのか言って」
僕が影にさらに力を込めようとした、その瞬間――。
「わかった!吐く!吐くから!」
ライトさんは悲鳴を上げながら叫んだ。
「サング組っていうヤクザの……チェイサーって男だよ!」
チェイサーという男は知らない。けど、サング組ってことは……もしかして。
僕はライトさんの拘束を解き、急いでフルイヤの洞窟の入口へ向かう。洞窟を出ようとしたところで、僕はふと後ろを振り返った。
その瞬間、ライトさんが僕の背中に剣を向けていた。
「俺より弱い奴が、調子に乗るんじゃねぇ!」
……残念だよ、ライト。僕にそこまでして勝とうとするなんて。本当に……残念だ。
僕は振り返ることなく、異能を発動する。
次の瞬間、地面から伸びた影の刃がライトさんの両肩を貫いた。
「がぁぁぁぁぁ!」
ライトさんの悲鳴が洞窟内に響き渡る。
僕はその声を聞きながらも、振り返らず、その場を後にした。
本当なら、洞窟の中で魔物に襲われないように、最低限は戦える状態で放っておくつもりだった。
けど、両肩を貫いてしまった。
これじゃあ、ライトには少し厳しいかもしれないね。僕にはもう関係ないか。チャンスはあげた。それを棒に振ったのはライトだ。
僕はライトのことを気にせず、急いで王都へと戻った。
――ツブキがライトとフルイヤの洞窟にいた頃。王都の冒険者ギルドでは、ナグモとミサキがガラの悪い冒険者たちに絡まれていた。
「よう。お前、ミサキって言ったか? 最近、調子に乗ってんじゃねぇか?」
「え?乗ってませんよ。私は普通に依頼をこなしているだけですけど」
ミサキがそう答えると、ガラの悪い冒険者は近くにあったテーブルを勢いよく叩いた。
「はぁ?お前のせいで、俺たちの受けられる依頼が減ってきてんだよ!このままじゃ生活できねぇじゃねぇか!」
「それはすみません。でも、依頼ならあそこにもたくさんありますよ?」
ミサキが指差した先には、まだ多くの依頼書が貼られていた。そこにある依頼の多くは、目の前の冒険者たちでも受けられるものだった。
「あ? 俺たちが自分のランクより低い依頼を受けちゃ悪いのかよ。あ?」
「別に悪いとは言いませんけど……でも――」
「うるせぇ!」
ミサキの言葉を遮り、冒険者は立ち上がる。
「表に出ろや!」
そして、仲間たちを引き連れながらミサキを睨みつけた。
「俺たちパーティー『カマクラン』が相手してやるよ!」




