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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

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ライト・スクルド

 僕はライトとフルイヤの洞窟へ向かい、数時間かけて目的地へ到着した。

 洞窟の中へ入ると、僕たちは奥へと進んでいく。道中に現れた魔物は、ほとんどライトが倒してくれた。

 そして、しばらく進んだところで、魔物も人もほとんどいない場所へたどり着く。

 その瞬間だった。ライトさんが突然、僕に剣を向けてきた。


「なんだ? 驚かないのか?」

「嫌だっていう殺気が漏れてましたから。それに、勇者パーティーにいた頃から思ってましたけど……ライトさんって、人を殺す時は殺すって感じで、殺意を出しまくってましたよね」

「……チッ」


 ライトさんは舌打ちすると、いきなり僕へ向かって剣を振り下ろした。僕は一歩横へ移動し、その攻撃を避ける。


「殺意が漏れまくりだぁ? 適当なこと言ってんじゃねぇよ!」


 ライトさんは怒鳴りながら、さらに剣を振る。


「お前は戦闘にも出てねぇ、ただの荷物持ちだろうが!」

「僕が戦おうとしたら、『荷物持ちは荷物を守れ』って言ったのはライトさんじゃないですか」

「当たり前だろうが!」


 ライトさんはニタニタと笑う。


「荷物持ちが目立とうとすんじゃねぇよ。荷物持ちの仕事は、パーティーの荷物をしっかり守ることだ。命懸けで荷物を守る。それがお前の仕事だろうが。違うか?」

「……」


 僕はライトさんを見つめる。

 この人は、僕に「成長する気がない」と言っていた。けど、本当に成長する気がないのは、この人の方なんじゃないだろうか。

 噂では、弱い者いじめが趣味だと聞いていた。

 勇者パーティーにいた頃は、まさかそんなことをする人だとは思っていなかった。

 でも、僕がパーティーを抜けてから、ライト・スクルドが弱い冒険者をボコボコにしているという噂は、どんどん広まっていた。


「ライトさん」

「あ?」

「噂を信じるのは、あまりよくないことだから聞きますね」


 僕はライトさんを見ながら尋ねる。


「噂は……本当なんですか?」

「噂だぁ?心当たりがねぇな!」


 ライトさんはそう言うと、再び僕へ向かって剣を振り下ろす。

 僕は体を横にずらして、その攻撃を避けた。


「弱い者いじめですよ」

「あ?」

「まだ冒険者になったばかりの人たちが訓練所を使っている時に、ボコボコにしているとか」


 僕は淡々と話す。


「しかも、だいたい二人組を狙って、一人をボコボコにしたあと、その原因をもう一人のせいにしているんですよね」

「何のことだぁ?」


 ライトさんはニタニタと笑う。


「俺は優しいから、身の程を教えてやっているだけだ。弱い者いじめ? 嫌だなぁ。勇者パーティーの俺が、そんなことをするわけないだろ?」


 そして、剣を構える。


「教育だよ。教育」

「……そうですか」


 僕は小さく息を吐いた。やっぱり、この人はどうしようもない。


「だったら、僕も教育してあげますよ」

「は?」


 僕は自分の足元にある影へ意識を集中させる。


「――異能」


 僕の影が大きく広がり、ライトさんの足元へ伸びていく。


「なっ……!?」


 黒い影がライトさんの身体へ絡みつき、そのまま手足を拘束した。


「な、なんだ!? 動けない! なんで……!」


 ライトは必死にもがく。だが、影の拘束はびくともしない。


「僕ね。荷物持ちだから戦うなって、ディアモさんとライトさんに言われたから……戦わないでいたんです」


 僕はライトを見つめる。


「でも、僕――異能持ちなんですよ」

「お前が……異能持ち?」


 ライトの顔から、初めて余裕が消えた。


「おいおい……嘘をつくのはやめろよ」


 それでも、ライトさんは強がるように笑う。


「荷物持ちの使えないお前が、異能を持っているなんて……そんな嘘、誰が信じるんだよ!」


 ライトは影の拘束を解こうと、必死にもがく。でも、いくら力を込めても抜け出すことはできないよ。


「ライトさん」

「……なんだよ」

「どうして急に僕を襲おうとしたんですか?」

「……」

「誰かに頼まれたんですか?」


 ライトの表情が、一瞬だけ変わった。


「何のことだ?」


 だが、すぐにいつものニタニタとした笑みに戻る。


「俺は、お前が最近調子に乗っているから、ちょっとこづいてやろうと思っただけだ」


「……」


 僕はライトさんを見つめる。

 この人は、何かを隠している。僕には、そんな気がしてならなかった。

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