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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第一章 ツブキの新たな生活

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サング組

 ツブキとナグモが戦っている頃、勇者パーティーの一人、戦士のライト・スクルドは、冒険者たちが利用する訓練場でひたすら剣を振っていた。


「ふん!ふん!」


 ライトが一人で剣を振っていると、訓練場にいた冒険者の一人が恐る恐る近づいてきた。


「あ、あの……すいません」

「なんだ? 今、俺は忙しいんだ。話しかけるな」


 ライトはそう言うと、話しかけてきた冒険者の顔をいきなり殴った。


「ぐっ!」


 突然殴られた冒険者は、その場に倒れ込む。


「あんた、何してんだ!ただ話しかけただけで殴らなくてもいいだろ!」


 倒れた冒険者を見た別の冒険者が、ライトに詰め寄る。

 するとライトは、持っていた剣を反転させ、刃とは反対側の部分で男を殴りつけた。


「ぐっ!」

「俺は勇者パーティーの戦士、ライト様だぞ! その俺に気安く話しかけてくるなよ!底辺冒険者風情が!」


 ライトはそう吐き捨てると、男を何度も殴りつける。


「ぐっ……!」


 男はライトに殴られ続け、その場で気絶した。それを見た最初に殴られた冒険者は、恐怖に顔を引きつらせながら逃げようとしたがーー


「おい」


 ライトは逃げようとする男の前に回り込んだ。


「君?分かっているよなぁ?」

「ひ、ひぃ!な、何がですか!」

「これは君がやったんだ。そうだよなぁ?」

「ぼ、ぼ、僕は……な、何も……」

「あ?なんだ?こいつみたいになりたいのか?」


 ライトは、先ほど自分が殴り倒した男を剣の柄で指し示す。


「…………」


 逃げようとしていた冒険者は、恐怖で震えながら首を縦に振った。


「そ、そうです……僕がやりました……」

「そうだ。それでいい」


 ライトは満足そうに笑うと、そのまま訓練場を後にした。

 戦士、ライト・スクルド。

 彼は、自分より弱い者をいたぶることを何よりも楽しむ、最低な男だった。

 自分は強いから勇者パーティーに入れた。逆に、他の冒険者たちは弱いから勇者パーティーに入れない。ライトは本気でそう考えていた。

 だからこそ、冒険者ギルドにはほとんど顔を出さない。

 だが、訓練場には頻繁に姿を現す。

 自分より弱い冒険者が訓練場に現れると、理由もなく絡み、痛めつける。

 それがライトにとって、この上ない快楽だった。


「さて、これからどうするかな……」


 訓練場を出たライトは、歩きながら呟く。


「最近、ディアモは使い勝手のいい荷物持ちをパーティーに入れねぇからな。ツブキ以外は根性なしですぐに辞めるし……」


 ライトは大きくため息を吐いた。


「最近マジで退屈だなー」


 訓練場から出てすぐのところで、ライトに向かって拍手をする男がいた。


「パチ、パチ、パチ……」

「……誰だ?」


 ライトが睨みつける。

 男は緑色の長い髪に、赤いスーツ。そして、背中には一本の槍を背負っていた。


「お前は誰だ? 俺に何の用だ」

「僕かい?」


 男はニヤリと笑う。


「僕はサング組のチェイサー。君は勇者パーティーのライトさんで合ってるかな?」

「そうだが。それで?」


 ライトは警戒しながら、腰に装備していた剣の柄を握る。

 それを見たチェイサーは、両手を前に出してライトを落ち着かせる。


「まぁまぁ。悪い話じゃないよ。君には、いい話を持ってきたんだ」

「それは俺が判断する。早く話せ」


 ライトが苛立ったように言うと、チェイサーは、口元を吊り上げた。


「ツブキ君……気になってるだろ?」

「……!」


 その名前を聞いた瞬間、ライトの表情が変わる。


「彼を潰したくないかい?」


 チェイサーがそう言うと、ライトもまた、ニヤリと笑った。


「……面白そうじゃねぇか」


 こうして、ライトとチェイサーの出会いが始まった。

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