第3話〜友情の決壊と限界のライフライン
前回、ハンスを絶体絶命のピンチから救い出したアルト。
男子高校生(中身はJK)としてのポテンシャルと、ドッジボールで鍛えた直感が冴え渡ります。
……が、問題は彼(彼女)の下腹部。
友情が芽生えた感動の裏で、アルトの膀胱はすでに限界を迎えていました。
漏らしたら男装女子とか以前の問題で「人生が終了」する第3話、スタートです!
「野郎ども、さっさと動け! 模擬砲撃開始だ!」
軍曹の怒声とともに、乾いた爆音が訓練場に響き渡った。容赦なく吹き飛ぶ泥。空気を震わせる衝撃波。
(ちょっと待って、まだおしっこ一滴も出せてないんだけど……!)
下腹部の絶望的な張りと、慣れない重い大胸筋のせいで、呼吸が驚くほど浅くなる。引きずり回されるように走り続ける中、私のすぐ隣を走っていた気弱そうな少年兵――ハンスが、泥に足を取られて派手に転倒した。
その頭上へ、訓練用とはいえ、直撃すれば骨が砕ける泥塊が容赦なく降り注ぐ。
「危ないっ!」
身体が勝手に動いた。ドッジボール回避率NO.1の直感が、飛来物の軌道を一瞬で弾き出す。私はハンスの襟元を力任せに掴んで強引に引き倒し、自らも滑り込むように泥の中を転がった。
次の瞬間、ハンスがいた場所にドスンと凄まじい音を立てて泥が激突する。
「だ、大丈夫……?」
「あ、ありがとう、アルト……! 完全に死んだと思った……!」
ハンスが泥まみれの顔で、羨望の混じった目を私に向ける。その距離、わずか数センチ。
かつての女子高生の感覚からすれば、あまりにも近すぎる男の体温と泥臭さに、心臓が跳ね上がった。
(近い近い近い! っていうか、ハンスを引っ張った拍子に、お腹にすごい力入っちゃったんだけど!? 漏れる、これ本当に大惨事になる……!)
「おい、そこ! 伏せてる暇があるなら進め! 敵は待ってくれんぞ!」
容赦ない軍曹の声が鼓膜を突き破る。
私は股間の致命的なタイムリミットと戦いながら、初めて得た「仲間」の手を強く引き、再び泥塗れの戦場へと駆け出した
第3話をお読みいただきありがとうございました!
命がけのバトルから一転、アルトが挑むのは**「人類共通の限界バトル」**。ドッジボールで培った体幹と直感が、まさかこんな形で役立つ(?)ことになるとは、本人も夢にも思っていなかったでしょう。
異世界ファンタジーでありながら、容赦なく襲いかかる生理現象。はたしてアルトは、男装女子の秘密とスッキリした未来の両方を手に入れることができるのか!?
次回、「聖域へのスプリント(※競歩)」。アルトの尊厳をかけた一歩に、ぜひご期待(生温かい目で見守って)ください!




