「玄曜の天青色の瞳について」
「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、
各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。
*本編のネタバレ満載の内容になりますので
未読の方はお気をつけください。
玄曜の瞳の色。天青色。
玄曜のビジュアルを考えていた初期の頃。
瞳の色を何にするか悩んでいました。
中華らしいのは翡翠だけど……。
なんか他にないかなぁ〜と、「美しい中国の伝統色と文様」をパラパラ眺めていました。
そこで見つけた“天青色”
いい名前!だけど少し色が薄いなー。
どうだろう……。
でも何故か惹かれる。よし、候補の一つにしておこう。
その後、美術品の資料を読んでいた時に
汝窯青磁と出会い、そこに天青色の文字が。
えー!天青色!!
しかも、この天青色、中国の皇帝が理想の青磁の色を表現した、
「雨過天青雲破処」
(雨上がりの空の青さ。それも、雲が破れるようにして
晴れ始めた、そのあたりの青さ)という
ことばから来ていると説明書きが。
嘘でしょ!!?雨上がりって!
龍霊雨器そのものじゃん!!!
感動するぐらい衝撃でした。
玄曜の瞳に、これ以上の色ある??
こんなにも相応しい色、他にないでしょ……!
その日以来、玄曜の瞳の色は天青色となりました。
あまりにも気に入り過ぎて、作中でもよく
瞳を揺らめかせたり、煌めかせたりしています。
*
SS「天青色」
……あ! また変わった。
離れの厨房にて。
オレは鍋の汁物をかき混ぜるふりをしながら、
こっそり玄曜の瞳を盗み見ていた。
玄曜は食卓のいつもの椅子に座り、竹巻に目を落としている。
外から差し込む光が、その横顔を照らした。
――その瞬間。
瞳の色が、薄い水色から、深い翡翠へ変わった。
光の加減で揺らぎ、煌めき、
まるで生きているみたいに色を変えていく。
(綺麗……)
思わず、見惚れてしまう。
なんで、あんな色してるんだろう。
淡くなったり、深くなったり。
揺らいだり、きらめいたり。
まるで宝石みたい――
いや、宝石よりずっと綺麗だ。
「おい」
「!!?」
ふいに声をかけられて、思わず肩が跳ねる。
「見たいなら、こっちに来い」
「えっ!? な、何を……?」
戸惑いながら近づくと――
ぐい、と手を引かれる。
「ふわっ!?」
気づけば、玄曜の膝の上だった。
「ちょっ……!」
抗議の声を上げる暇もない。
ぐっと引き寄せられて、逃げ場がなくなる。
顔を上げると――すぐ目の前。
天青色の瞳。
さっきまで遠くから見ていたそれが、今はすぐそこにある。
光を受けて、ゆらりと揺れる。
その瞳の奥には――
自分だけが、映っていた。
「見たいなら――近くで見ろ」
低く、囁くような声。
「……っ!」
――言葉が、出なかった。
ただ、目の前の天青色に囚われたまま。
何も言えず、動くこともできず。
オレは、その場に固まっていた。




