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『龍霊雨器 創作裏話+SS集 ― 語られなかった物語と、その裏側 ―』  作者: 麻倉ロゼ
キャラクター深掘り編

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7/9

「玄曜の天青色の瞳について」

「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、

各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。


*本編のネタバレ満載の内容になりますので

未読の方はお気をつけください。

玄曜の瞳の色。天青色。


玄曜のビジュアルを考えていた初期の頃。

瞳の色を何にするか悩んでいました。

中華らしいのは翡翠だけど……。

なんか他にないかなぁ〜と、「美しい中国の伝統色と文様」をパラパラ眺めていました。


そこで見つけた“天青色”

いい名前!だけど少し色が薄いなー。

どうだろう……。

でも何故か惹かれる。よし、候補の一つにしておこう。

 

その後、美術品の資料を読んでいた時に

汝窯じょよう青磁と出会い、そこに天青色の文字が。

えー!天青色!!


しかも、この天青色、中国の皇帝が理想の青磁の色を表現した、

「雨過天青雲破処」

 (雨上がりの空の青さ。それも、雲が破れるようにして

晴れ始めた、そのあたりの青さ)という

ことばから来ていると説明書きが。


嘘でしょ!!?雨上がりって!

龍霊雨器そのものじゃん!!!

感動するぐらい衝撃でした。

玄曜の瞳に、これ以上の色ある??

こんなにも相応しい色、他にないでしょ……!

その日以来、玄曜の瞳の色は天青色となりました。

 

あまりにも気に入り過ぎて、作中でもよく

瞳を揺らめかせたり、煌めかせたりしています。





SS「天青色」

 

……あ! また変わった。


離れの厨房にて。


オレは鍋の汁物をかき混ぜるふりをしながら、

こっそり玄曜の瞳を盗み見ていた。


玄曜は食卓のいつもの椅子に座り、竹巻に目を落としている。


外から差し込む光が、その横顔を照らした。


――その瞬間。


瞳の色が、薄い水色から、深い翡翠へ変わった。


光の加減で揺らぎ、煌めき、

まるで生きているみたいに色を変えていく。


(綺麗……)


思わず、見惚れてしまう。


なんで、あんな色してるんだろう。


淡くなったり、深くなったり。

揺らいだり、きらめいたり。


まるで宝石みたい――

いや、宝石よりずっと綺麗だ。


「おい」


「!!?」


ふいに声をかけられて、思わず肩が跳ねる。


「見たいなら、こっちに来い」


「えっ!? な、何を……?」


戸惑いながら近づくと――


ぐい、と手を引かれる。


「ふわっ!?」


気づけば、玄曜の膝の上だった。


「ちょっ……!」


抗議の声を上げる暇もない。


ぐっと引き寄せられて、逃げ場がなくなる。


顔を上げると――すぐ目の前。


天青色の瞳。


さっきまで遠くから見ていたそれが、今はすぐそこにある。


光を受けて、ゆらりと揺れる。


その瞳の奥には――

自分だけが、映っていた。


「見たいなら――近くで見ろ」

低く、囁くような声。


「……っ!」

――言葉が、出なかった。


ただ、目の前の天青色に囚われたまま。


何も言えず、動くこともできず。


オレは、その場に固まっていた。

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