「流星という少年」②
「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、
各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。
*本編のネタバレ満載の内容になりますので
未読の方はお気をつけください。
さて、主人公なのでまだまだあります。
流星も2回に分けてお送りします。
流星は、後宮内では玄曜管轄。
星鈴と偽名を使い、女装をして働いています。
ちなみに、玄曜は嘘を見破る龍霊雨器を身につけているので、
出会ってすぐにバレています。
(玄曜はありとあらゆる攻撃から身を守るため、
守護の龍霊雨器をいくつも身につけています。
そのうち本編で明かしたいな〜)
流星の倉庫での仕事は主に、工芸品の整理整頓、掃除。
倉庫には龍霊雨器をはじめ、普通の工芸品も
数多く収納されています。
後宮内で起きた龍霊雨器トラブルで回収した工芸品も
倉庫に保管されています。
玄曜が適当に置いたまま、分類されていないものばかりなので、
流星は日々、目録片手に分類しています。
大体途中で、龍霊雨器達に邪魔をされます。
話し相手になっていると、あっという間に夕方。
なので、あまり仕事は進みません。
玄曜からすれば、適当でいいみたいです。
倉庫の整頓や掃除より、龍霊雨器達の相手をしてくれればいいそう。
玄曜管轄なので、給料も結構いい。
うーん……いい職場ですね。
メインの仕事は、玄曜との龍霊雨器トラブル対応。
後宮内には多種多様な龍霊雨器たちが存在します。
龍霊雨器にも階級があり、その能力も様々。
詳しくは龍霊雨器メインの回でお話しします。
あと、離れでの家事全般も流星の仕事……というか、
流星が勝手にやっています。
午前中に洗濯や片付けなどの家事を
終わらせてから倉庫に向かいます。
お昼ぐらいから倉庫で働いたり、時々、後宮で用事を済ませたり。
夕方に夕食を作りに離れに帰ります。
流星と玄曜はご飯は朝晩2食。
昼頃お腹が空くので、流星は袖の中にお菓子を忍ばせています。
玄曜は基本、仕事中は食べません。
最近は、流星が袖の中に勝手に入れてくるので、
一息つきたい時に食べるようになりました。
玄曜は流星手作りの胡桃の菓子が入っていると
少し機嫌がよくなります。
現在、恋に恋する流星。これから先どうなるのか。
恋愛の悩みも、ごく普通の悩み。
——そんな“普通の恋”に、きっと共感してもらえると思います。
*
流星SS「遠い記憶」
倉庫の奥に、古い手炉が保管されていた。
そっと触れた瞬間、
あたたかな記憶が、ゆっくりと流れ込んでくる。
――雪の降る庭園。
白い息を吐きながら、小さな男の子が駆けていた。
寒さで赤くなった鼻。
転びそうになりながらも、楽しそうに笑っている。
誰かに呼ばれて、男の子は顔を上げた。
声のする方へ、ぱたぱたと走っていく。
――お母さん、かな。
「こんなに冷たくなって」
困ったように微笑みながら、女の人が男の子を抱きしめる。
その手に、そっと手炉を握らせた。
包み込むように、優しく。
二人は顔を見つめ合い、くすっと笑う。
少し離れた場所には、もう一人。
静かにその様子を見守る男の人。
――お父さん、かな。
顔ははっきり見えない。
けれど、その空気だけでわかる。
そこにあるのは――確かな、幸せ。
やがて、記憶は静かに途切れた。
⸻
「……いい記憶だな」
ぽつりと呟く。
あの男の子、今も――
笑ってるといいな。
*手炉:小型の火鉢のようなもの。中に炭火をいれて手や身体を暖めるために使われていた暖房器具。現代でいうカイロのようなもの。
※作者より
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『龍霊雨器』裏話+SSは、5/25〜6/2まで毎日20:30頃更新。
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