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『龍霊雨器 創作裏話+SS集 ― 語られなかった物語と、その裏側 ―』  作者: 麻倉ロゼ
キャラクター編

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3/9

「慎言という補佐官」

「龍霊雨器」本編では語りきれなかった設定や裏話に加えて、

各回の最後には、ここでしか読めない限定SSもあります。


*本編のネタバレ満載の内容になりますので

未読の方はお気をつけください。

龍霊雨器に欠かす事ができない人物、慎言。

苦労人だけど結構人気があってびっくり。



周慎言しゅうしんげん

26歳。身長175cm。

(玄曜より少し背が高い)

玄曜の補佐官。右腕であり、参謀。

すべてを一人で担う男。

 

玄曜の幼少期から現在までを見守ってきた

玄曜の過去を知る唯一の存在。


傍若無人、人の言うこと聞かない玄曜の

ありとあらゆる理不尽を受けこなす。

玄曜の、おはようから、おやすみまでの世話をする。

万能にして有能な男。それが慎言です。


……そりゃあ胃も痛くなるわけです。

よく今まで無事だったなぁ。


コメディに変更した際に、胃が痛い設定を追加したせいで

余計に苦労をかけていますね。

本当に申し訳ない。


普段、後宮内では玄曜がカリスマ過ぎて影が薄い存在ですが、

仕事は出来るし、部下にも上司にも上手く渡り歩いています。


周家は後宮内では名の知れた家なのですが、

それを鼻にかける訳でもなく、誰に対しても紳士的。

「推すなら玄曜様だけど、結婚するなら慎言様だよね」と、

後宮内の乙女達の初恋を奪う男。

なんとも美味しいキャラだなぁ、と作者は思っています。



慎言は玄曜が生まれる前から、玄曜にお仕えする事が

決まっていました。

なんでも、慎言の祖父が現皇帝の最初の正妃に

大変お世話になったらしく……。

その恩返しだそうで。

ある意味、慎言も天命に縛られた人生なのかもしれません。


玄曜はあまり公にできない出生だったため

初めて顔合わせをしたのは、慎言13歳、玄曜5歳の頃。

その時からずっと主従であり、兄弟のような関係。

玄曜は慎言の前では、より傍若無人な態度で俺様で、

子供っぽくなるように意識しています。


玄曜の前に流星が現れてからは、さらに胃が痛くなる事ばかり。

心配するのはあるじの事ばかりです。


でも、玄曜が自分以外の存在に気を許しているのを見るのは

嬉しいみたいです。肩の荷が降りたように思っているのでしょうね。


慎言も中々、個性的な龍霊雨器を従えさせています。

出番がかなり先になってしまいますが……

早く登場させてあげたいところです。


 


 

慎言SS「ただ一人のもの」



 流星が離れに戻ると、慎言が玄曜の髪を切っていた。


「えー! 玄曜様の髪って、慎言さんが切ってるんですか!?」思わず声が上がる。


「はい」

慎言は穏やかに答えた。


慎言は慣れた手つきで、迷いなく鋏を入れる。

チョキ、チョキ、と小気味よい音。

切り落とされた髪が、はらり、はらりと床に落ちていく。


流星は思わず見入っていた。


「ふわぁ……すごい……」


(玄曜も多才だけど、慎言さんの方が何でもできるんじゃないか?

仕事も家事も完璧で、剣の腕もあるし)


「でも、後宮なら専属の髪結がいるんじゃ……」

流星が言いかけた、その時。


「誰が好き好んで、他人に首元へ刃物向けさせるんだよ」

玄曜がぶっきらぼうに言った。


「……まぁ、玄曜様は他人に髪を触られるのがお嫌いですので」

慎言は櫛で整えながら、静かに続ける。


「私が切っている、というわけです」


切り揃えた髪を一度眺め、満足げに頷いた。


玄曜は鏡で軽く確認し、


「……これでいい」とだけ言った。



他人はダメで、慎言さんはいい。

主従関係なのは知っているけど――

きっと、長い付き合いなんだろうな。


でも。


(玄曜に仕えるのって、大変そうだよな……)

流星は、ひそかに同情した。



全てを捧げてお仕えする方がいる、と。

そう言われて、私は育てられてきた。


それが、私に与えられた天命だと。


不思議と――嫌ではなかった。



初めてお会いした日を、今でも覚えている。


「お前が慎言か」


真っ直ぐに私を捉える、天青色の瞳。

これほど美しい色を、私は他に知らない。


「“僕”は玄曜だ。今日からお前の主だ」


私は深く頭を下げる。


「慎言と申します。この身、この命、すべてを玄曜様に」



「髪を切れ」


玄曜様が七歳になり、しばらく経ったあの日。

長く伸ばされていた髪が、ためらいなく落とされた。


「“俺”はここを出ていく。慎言、お前もついてこい」


「仰せのままに」

私は、深く頭を下げた。


――あの日からずっと。


私は、あるじと共にいる。


この身も、この命も――

お仕えするのは、ただ一人だ。

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