愛の巣解体事件
俺がもといた自宅のリビングに帰還しても、時間は流れてないです、ということでいいんだろうか?
それなら、すごく困窮している村のようだし、ボランティアをしてから帰っても安心なのだろう。
こっちは、勝手に呼ばれてきたわけだし。
アニメか何かで、そういう場面を見たことがある。
魔法があるなら、ありえるのかも。
ところで俺の嫁さんはプログラマーである。
在宅だ。
デバッグとか修正とか、そういうことをしているそうだ。
なんだかこの魔王様が吐いた紙は、嫁さんの仕事道具に似ている気がする。
嫁さんにこの紙を見せたら
「よかったね、これなら大丈夫、きっと帰ってこれるよ!」
と、言ってくれるかどうか考えた。
ダメだ、なんだかわからない。
そもそも俺の嫁さんは、コリャダメだと思っていても、大丈夫と言い張るほうなのだ。
みなちゃん愛してる。
大丈夫って背中をバンバン叩いてほしい。
村長の家族は、いつの間にか村長宅の外に行列していた村人たちにフライドチキンを配った。
俺から湧いた調理器具一式にはゴザをかけていた。
ないものとしてくれ、ということだろう。
大人と政治と田舎のにおいがした。
村長は俺を村はずれの廃屋に案内した。
「空き家ですが、まあまあ広くて、いい家です。」
ゲル(パオ)
キャンプだと思えばすごく、大変、魅力的ではあるが、
ワンルームのその物件は、地面にゴザをサッとしいて、おしゃれなおばあちゃんが首に巻いてるやつのようなスケスケ掛布団で寝るらしい。
やっぱり隙間風がすっごいし、なんなら壁の隙間から外が完全に見えている
村長さんの家よりすっごい
俺は毒ニワトリが唐揚げのもと一式になったことを思い
布団に向かって「レストア」と言ってみた
するとどうだ
めちゃくちゃな量の白い光が放たれ
俺を中心として、木材が山と積まれた。
また、金属の部品とか接着剤みたいなものもチラホラと出てきている。
うちで使ってる寝具の新品っぽいもの、も出た。パジャマ付きで。
家、ナイ。
空、アル。
「わ、わああああああ」
俺と村長さんとタヌーサさんは絶叫した。
村長さんは
「すんごい木材だべえええええ」
と言った。
タヌーサさんは
「すんごいお布団だべええええ」
と言った。
俺は
「なんか出たああああああああ」
と言った。
なぜか魔王様は来ない。
全然来てほしくないけれど。
木材は村の財産になった。
俺は家をもう1軒もらった。使い終わったらレストアしてから帰ってほしいと言われた。
布団も帰るときに置いてってほしいとすごく念を押された。




