表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大坂騒擾異聞・鼠たちのカクメイ(The Revolution of Rats.)  作者: 真夜航洋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/37

第35話 「鼠の仕事」


 上司に命令されたのか、弓隊が恐る恐る中雀門に歩み寄ってくる。

 カイは門を飛び出して、弓隊の前に己の姿をさらした。


「射!」 


 好機とばかりに隊長の号令。

 弓隊が弓を引いた瞬間、カイは地面に倒れこむ。

 射られた十数本の矢は頭上を通り過ぎ、忠邦の足元に突き刺さった。


「ヒイイ」


 悲鳴を上げる人質をよそに、カイは匍匐前進を始めた。

 弓は立ってなきゃ撃てない。

 だがオイラの相棒はオイラと寝てくれるんだぜ。


 パン、パン。


 地面に伏せたまま弓の射手の足元を狙撃していった。

 槍に続き弓隊もドミノ倒しに崩れていく。

 最後方の白兵隊は上級武士たちなのであろう、一目散に退却し本丸の中へ引っ込んでしまった。

 立ち上がったカイは拳銃を構えたまま、馬と忠邦のもとへ戻った。


「あんたは、ここでいいよ」


 鞍に差しておいた意義の遺品、小刀を抜いて忠邦の縄を切ってやる。

 

「人質が私では不足、と申すか?」

「不足だね。だって、あんたに命を預けるやつなんか、どこにもいねえじゃん」


 誰も追って来ないことを確かめて、拳銃を肩から掛けた革袋にしまう。


「大塩平八郎には、三百人いたぜ」


 屈辱的な言葉だ。

 忠邦は何とかこの若造を論破したい、と思う。


「革命なぞと申しておったな。お主のような者にはわかるまいが、この国は急激な変化は求めておらんのだ。まずは『改革』なのだ!」


「それがあんたの仕事なら、好きなだけやればいいさ」


 馬を繋いだ縄を、逆手に持った小刀でバッサリ切る。


「今見せたろ? 最新の武器があれば、刀も槍も弓も役に立たないんだって。つまりは武士っていう階級もな。ちなみにオイラは百姓上がりだ」     

「か、革命なぞ、この国では起きんのだ!」

「だから心配すんなって。そっちは……」


 小刀を腰に差して、カイは馬に跨る。

 不意に決起の時の「天誅、天誅!」という群衆の叫びが耳に蘇った。

 テンチューテンチューって、鼠かよ。

 あの緊張感の中で、オイラは場違いな含み笑いをしたっけな。


「そっちは、鼠の仕事さ」




つづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ