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悪女、二周目はサッカー少年の夢に人生を捧げる  作者: 鳴嶋ゆん
第6章

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第71話 真の主役

これまで実在の人物がちらほら登場してきましたが、ここから先は基本的に、現実とは異なる世界線として、登場人物はすべて架空の人物とします。

国やチームなどについては、実在するものをモデルとし、名称もそのまま使用させていただきます。

ただし、今後の展開によっては、一部、実在の人物をモデルにしたキャラクターが登場する可能性もあります。

(マラドーナにあたる人物抜きでは、これからの世界のサッカーは語れないと思いますので)

 その少年を見た瞬間、わたしがずっと抱いていた謎の一つが、氷解した。


 なぜ、ユヴェントスは今年になって急にジュニアユースチームを作ることになったのか。


 わたしたちにとって、あまりにも都合がよすぎる話だった。

 もちろん、わたしたち二人のために用意されたものなんかじゃない。

 すべては――彼のためだったのだ。


 同じ年齢だったことを、すっかり忘れていた。

 何度も、その活躍を見てきたはずなのに。

 後に「ユヴェントスの魔術師」と呼ばれることになる男。


 ピエトロ・サヴィーニ。


 何歳の頃から注目されていたのか、わたしは正確には知らない。

 ただ、前世の記憶では、二十歳になる前にはすでにイタリア代表に選ばれていた。

 そんな地元出身の逸材を、他のクラブに渡したくない。


 だからユヴェントスは、急遽ジュニアユースチームを作ってまで、彼を抱え込もうとしたのだろう。

 そこへ、わたしたちが都合よく便乗できた。


 そういうことだったのだ。


「どうしたの?」


 隣から翔吾くんの声がする。


「ううん……」


 サヴィーニのことを、うまく説明できるはずがない。

 将来どうなるかなんて、言えるわけもない。


「なんか有名な子らしいね」


 それくらいが精一杯だった。


「ふーん」


 翔吾くんがサヴィーニを見る。


「ライバルか」


 その目が、キラリと輝いた。


 ……あ。

 これはまずい。


「いい、翔吾くん?」

「なに?」

「今日の目的を忘れちゃダメよ」

「忘れてないよ」

「試験に合格することだからね」

「わかってるよ」


 返事だけは素直だ。


 でも――。


 なんだろう。

 ぜんぜんわかってない気がする。

 たぶん翔吾くんの頭の中では、もう試験に合格することより、サヴィーニとの勝負のほうが大きな問題になっている。


 そんなことを考えていると、スタッフから声がかかった。


『集合してください』


「行こう!」


 翔吾くんが勢いよく駆け出す。

 イタリア語がわかってないくせに、どうしてあんなふうに反応できるんだろうか。


「ちょっと、翔吾くん!」


 慌ててその後を追う。


 さぁ。

 いよいよ、試験の始まりだ。

ここまで読んでいただいてありがとうございます!


少しでも「面白そう」と感じていただけましたら、『ブックマーク』や下の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価していただけますと嬉しく思います!


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