表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

9 一堂、出立! あなたホントに聖女ですか?

ジン達一行は平和な旅を始めようとしていた。


馬が2頭。人は3人。

「それでは、シルビア、ジン殿に馬を譲って私と相乗りいたそう」ルーファス。


「ええっ!俺、馬に乗れませんよ!」ジン。


「体重を考えますと、、、仕方がありません。私が乗せましょう。ジン殿、後ろにどうぞ」シルビア。


シルビアがジンを引っ張り上げた。ジンがシルビアの後ろに跨った。

「ひっ、馬ってこんなに高い。落ちたら怪我するよな。怖い!揺れる!」

震えるジンがシルビアの細い腰に腕をまわし、抱きついた。

さらにジンの頭に、振り落とされまいと瑠璃猫もしがみついていた。


「まだ歩き出してもいません。しゃべると舌をかみます。口を閉じてください」

業務連絡のように淡々と言うシルビア。


「で、でも、怖いですぅ」

情けなく言うジン。


「我慢して、、、、変な所を触らないで下さい!落としますよ!」怒るシルビア。


「すいません!わざとじゃなくて!怖くて!、、、、ひいっ」

馬が走り出した。




ジンの尻が限界を迎えた頃、昼休息になった。

ぐったりなジンと瑠璃猫。


「昼食の材料を取ってまいります」

シルビアが森に入り姿を消した。


ルーファスが木の枝、枯れ葉を集めている。


『おい、ルリ。ジンの尻に癒しをしてやれ』聖剣。

「にゃーー。ニャニャンニャニャー」

(ええっ。男の尻、、、。触るのヤナンダケド。仕方ないか」


瑠璃猫がジンの尻に肉球を当てた。淡い光が生まれ、ジンの尻に吸い込まれた。

「あ、痛くない。ルリかー、ありがとう」ジン。


「少し良くなったので、食べれる野草を採って来ます!」ジンも森に入った。


シルビアが取ってきた鳥。ジンの採ってきた野草で昼食となった。


ルーファスが鳥を手早く捌いた。

「旅にしては豪華な食事だな」

「美味しいです!」

「そうですね」

「ニャーン」(うん、おいしー)


昼からも旅路を進めた。

「ちょっと!そこは胸!触るな!」シルビア。

「えっ?胸??」

信じがたいジン。

「胸よ!!」

ジンの手をはたくシルビア。


「抱きつきすぎ!耳元でハァハァ言わないで!気持ち悪い!」シルビア。


「怖くて息切れなんですー!」(シルビアさんいい匂い)


「だから、密着しないで!腕も胸に回すな!」シルビア。


「うわーん!ごめんなさいー!」


賑やかな、旅路だった。





夕刻には街に着いて宿に泊まった。


翌朝、シルビアはジンとの相乗りを拒否した。

「痴漢とは相乗りしません」


男二人なら頑強な馬のほうが良いだろうと、ルーファスとシルビアは馬を交換した。


しょんぼりしたジンはルーファスの後ろに乗った。


「なぁ、、、ルーファス様、男2人で馬って、なんかこう、虚しさがあるな」

硬い背中に顔を当て、汗臭い体臭を吸いながら言うジン。勿論腕をまわした胸板も厚い。


「気が合うな、ジン殿。私も今、全く同じ気持ちだ。男に密着されて、すまんが虚しい」


男女別で出立した一行。

シルビアの背中、カバンに入った瑠璃猫はゴキゲンだった。

しがみつくより安定している。

シルビアがタオルを入れてくれたので、気持ちよく眠れそうだ。


一方、男二人を乗せた馬は、ゴキゲンナナメだった。


一行は街を抜けて街道をパカパカ歩いている。


男二人を乗せた馬の気持ち。

美女シルビアちゃんを乗せていたのに。昨日はお邪魔虫な男もいたが。

今日は重い男と昨日のへなちょこ男の二人だ。

重い。そして、なんかイヤ。

汗臭い、男臭い、とにかくムサイ。

馬はイライラムカムカ、憤りが溜まり、突然うおおおお!と走り出した。

気持ちは「おまえら、むさ苦しいんじゃあ!」であった。


「うわっ?!とうした!とまれ!止まってくれ!!」ルーファス。

「うわわわわわん!怖いようー!」ジン。


ルーファスとジンを乗せた馬が走り去り、シルビア・瑠璃猫ペアは取り残された。


「いっちゃったわ」

あきれ声のシルビア。

「ニャー」

(うん、いっちゃった)


シルビアが1人になったタイミングで、森から野盗が10人程出てきてシルビアの馬を囲んだ。

棍棒やナタ、槍を持ち構えている。


「へへへ!お姉ちゃん、美人だねー。良い馬乗ってるし。もらってやるよー。大人しくおりてきな。そしたら怪我しないぜ。俺らが優しく遊んでやるぜー!」

「邪魔な野郎どもがいなくなって助かったぜ!」

男達はニヤニヤしている。

瑠璃猫は震え上がった。

「ニャーン」

(イヤー!こわいー!)


「きゃー、助けて!っと!」

シルビアは煙玉を勢いよく落とし、同時に暗器を投げた。

シュシュシュシュシュシュシュッパッ!

何かが当たり、切れる音が複数した。

煙が収まると、男達が全員倒れていた。

瑠璃が見た男の顔は、目に大きな釘のようなものが刺さっていたり、喉に短い刀身が刺さっていたりしている。


シルビアは馬を下りた。男を一人ずつ、蹴飛ばしうつぶせにして頭と首の境目辺りを剣で差していった。文字通り、トドメを刺している。順番に、躊躇なく、全員に。

瑠璃猫はその光景に震え上がった。


そうしてから、シルビアは男らの懐を探り、一人ずつ財布から金を抜き取った。そして、男らの遺体の足をつかんで引きずって、森へ運び、捨てた。


瑠璃猫は馬の上、カバンの中から、その様子を見ていた。震えていた。


「ふう、終わった。、、、そんな目で見ないでよ。怯えた猫ちゃん。、、、私が怖い?、、、アイツラは私に酷いことをしようとしたのよ?正当防衛よ。、、、それに、生かしたら次に誰かが襲われる。

、、、そしたら、誰かが死んで、私みたいな孤児ができる、、、。帰ってこない親を待つ子供が出来るから、、、私は人殺しだけど、それでいいの」

シルビアは虚ろな目で微笑んだ。その顔は、感情を失くしているけど、泣いてるように、瑠璃には見えた。


(この人、、、この人は、聖女なんかじゃない。暗器で人を殺せる、、、哀しい暗殺業の人??)

瑠璃猫は恐怖、驚愕、哀しみの感情が入り乱れた。


シルビアは馬を走らせた。ルーファスとジンを追った。


瑠璃はジンの底抜けにお人好しの笑顔を見たくなった。

、、、あの顔をみたら、安心出来るから。この震えが止まるはずだから。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ