3 異世界へ 瑠璃猫誕生
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大学4年生の織部瑠璃は公演のベンチに座り、落ち込んでいた。
「また、お祈りメール、、、。これで15社落ちた。
私、このままどこにも就職出来ないのかなぁ」
リクルートスーツを着た瑠璃。
「あー、、、、ここ、良い感じだったのに。採用するつもりだよ、って言ってくれたのに。
三次面接で、また落とされた」
瑠璃から溢れた呟きを聞く者はいない。
瑠璃の言葉は、カサカサと風に舞う落ち葉の音にかき消された。
リクルートスーツの膝の上で、瑠璃はギュッと拳を握りしめた。悔しい。情けない。
瑠璃は、産まれてすぐに親に捨てられた。児童養護施設で育った。
「やっぱり、、、親なしの身元保証人無しじゃ、どこも採用してくれないのかなぁ。
産まれてすぐ捨てられて、就職先もない。これから先、奨学金も返して、1人で生きてかなきゃいけないのに。どうしよう、、、」
言葉にすると、余計に情けなくて不安で、ジワジワと涙で視界が滲んだ。
「私、、、世界中の誰にも、必要とされない、なんで?なんで?
私はずっと1人で、要らない子なの?」
ポロポロと涙がこぼれ落ちた。
カサリ、と音がした。
近くの植え込みが揺れた。
瑠璃はそこに目をやった。そこには、じっとこちらを見る猫がいた。
「えっ?、、、猫?、、にしては、不思議な色」
その猫は見たことがない毛色をしていた。深いブルーグレー。青光するツヤ。瞳は金色。
「すごいキレイな色、、、。猫ちゃん、どこから来たの?」
瑠璃はその猫をよく見ようと、茂みに近寄った。
その時。
瑠璃の足元に光る円が広がった。瑠璃の足から広がった魔方陣は、マンホールほどの大きさにシュッと広がると、瑠璃を回収し、消えた。一瞬の出来事だった。
瑠璃の居なくなった公園は、普段通り。何かあったなど誰も気がつかない。
瑠璃は魔法陣の上に立って暗いエレベーターの様な、トンネルの様な空間を移動していた。筒に入れられた感じで、移動を感じても風は感じない。
「なにこれ!怖いんてすけどー!!」
「、、、来たれ、我が国を救う聖女よ!祈り通じてココに現れん!来たれ!聖女よ!聖なる光をまといて顕現せよ!」
神殿の地下。召喚の間で儀式が行われていた。
聖なる文字で描かれた円形の魔法陣が光った。魔方陣が光りを放ちながらグルグル回り始めた。魔方陣にあった聖なる文字がフワリと立ち上がり、円を描き回り始めた。同時に円柱の竜巻が起こり、竜巻の周囲を聖なる文字が囲った。
竜巻の風が儀式の部家を吹き荒らした。
「ウワー!!」
「どうだ!来たか!」
「来てください!聖女様!」
神官達が期待に満ちた目で魔法陣の上の竜巻を見つめていた。
やがて風が収まり、光も消え失せた。
魔法陣があった場所には、ぽつんと一匹の小動物がちょこんと座っていた。
ブルーグレーの毛並みの、きんいろの瞳の猫だ。
「な、なんだこれは、、、!?猫、、、?」
「なんで、ココに猫が?」
「おい、聖女様は?」
「失敗だ!聖女召喚は失敗だ!」
「なぜ失敗したのだ?!」
大騒ぎする神官達。
当の猫、瑠璃はパニックになっていた。
(なになになにー!??ココドコですかー!??っていうか、私の声が、『ニャア』って聞こえるんですけど!?どーなってるの!?ヒィィィ!私の手が、手に肉球!?ってか、毛が生えてるし!いやーーー!!)
混乱と恐怖のあまり、瑠璃猫は変な服を着た変なオッサンたちの集う部屋を走り出した。
廊下を走り抜け、兵士の足の間をすり抜け、外に飛び出した。
そのまま、王宮を飛び出し、荷馬車や馬にビビり、泣きながら王城の橋を渡った。
そこに広がるのは、見たことのない西洋風の異国の街だった。
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