23 最終回
最後までページを開いて頂き、ありがとうございます。
本編最後のお話です。よろしくお願いします。
「ジン、ルリ、そなたらがおらねば、今の私は無い。
どれほど感謝しても足りない働きをしてくれた。
ジンは私の大切な信頼出来る友だ。
出来れば私の側にいて支えて欲しい。
もちろんルリも、そして、シルビアも」ルーファス。
ルーファスがシルビアに跪いた。
「シルビア、私と結婚して欲しい。心優しく、そして強い私の女神。私の隣で、共に生きて欲しい」
ルーファスがシルビアの手を取り、甲に口づけした。
「でも、私は、私はあなたを、、、」
ルーファスにしたことを思い、ためらうシルビア。
「私はあなたに生命を与えることに躊躇はない。これから先も」
ルーファスがシルビアを熱く見つめ、微笑む。
「そんな事言われたら、断れないわ」
一筋の涙をこぼして答えるシルビアが、頬を染めた。
「じゃ、オッケーだね」
笑って立ち上がったルーファス。
「私を王として認めてくれた諸君、こちらが私の聖女である女神、シルビアだ。私の妻となる!」
ルーファスが宣言した。
ガルファ伯爵や他の貴族臣下らは、シルビアにも跪いて頭を垂れた。
「おめでとう!ルーファスさん、シルビアさん!良かったよお、、、」ジンが泣いて喜んだ。
「ジンもルリも、私の治世を側にいて見守り助けて欲しい。
2人は私の大切な友人だ。」
ルーファス。
「ええっと。俺、ただの田舎者だし。ルーファスさん、いや、ルーファス陛下の役に立つかなぁ?」
自信なさげなジン。
「もちろん、ジンは役に立つ!
ルーファスと呼んでくれ。ジン」
ルーファスがジンの両手をガッシリ握った。
数カ月後。
王都は最大の熱気に満ちていた。
あの怒涛の自白の日から。
愚王グオールや神官長、多くの自白貴族達の悪行はしっかり取り調べられた。
裏付けを取り、調べて、一人一人の罪が明らかになった。
多くの貴族が捕らえられた。爵位を剥奪、牢屋に入った。
多くの領主が領地を取り上げられた。
あの審議の間でルーファスの臣下となった貴族達が必死で働いた。
もちろんルーファスとシルビアも。
混乱したオウンドゴール王国を立て直すため奔走した。
王国に善政を敷く準備を整え、先ずルーファスの即位の儀と結婚を行う日が来た。
正された伝説は広まり、伝説の王の即位に国中が沸き立った。
その王の即位式と結婚式。
澄み渡る晴天の日。
新たな神官長ジン(臨時)がガタガタ震えながら、ルーファスの即位の儀の、宣誓書を読み上げた。
「神聖なる、オウンドゴール王国は、新たな王、ルーファス・オウンドゴールを王とす。
ルーファス王こそが神聖なる聖剣が認め導いた正統なる王として宣言する。
ルーファス・オウンドゴール王とシルビア王妃に神の加護と祝福を!」
ジンの声に続き、聖剣が発した。
『伝説の聖剣はルーファス・オウンドゴール王の即位を祝福する!並びにシルビア王妃との結婚も祝福する!
オウンドゴール王国民の幸せのため、2人で力を合わせ、国を導いてゆけ!』
聖剣の厳かな祝いの声が集まった国民の頭に響いた。
とたんに、大歓声が起こった。
「伝説の聖剣様の声だ!」
「ルーファス王、万歳!」
「シルビア王妃、万歳!」
「オウンドゴール王国、万歳!」
大歓声を聞いて、ジンは「俺、やっぱり必要なくない?」とつぶやく。
「ジンは自信を持て。
私は何度でも言うぞ。ジンは必要な俺の勇者だとな」
ルーファスの隣のシルビアもジンに言う。
「ジン様は私達の恩人です。必要に決まってます!」
シルビアはかつてのトゲトゲしさが無くなり、柔らかく微笑んでいる。
手入れされた銀髪は結い上げられてティアラを乗せている。
優しいアイスブルーの瞳、柔らかな微笑みの美女だ。
国民はシルビアの微笑みに魅了された。
「お優しそうな聖女様が、王妃様になった!」
「我らの王国の王妃様は優しい美人!ルーファス王と美男美女でお似合いだ」
新たな王と王妃を得て、オウンドゴール王国は再興の日々へと進んで行った。
ジンは審議の間での自白捕縛の日から、ルーファスに頼まれた仕事をしていた。
ジンはルーファスの最側近、審議官となった。記録係と共に、大忙しの日を送っている。
ジンは王宮の者たちに一人一人挨拶して周った。
その時に瑠璃猫の肉球で自白を促し、悪事を自白した者たちを捕らえたり、王宮から追放したりの「掃除」だ。
さらに主要な貴族、地方の実務官達も同じように「掃除・選別」する出張旅。
それから帰ったら、ルーファスに即位の儀で神官長として宣言して欲しい、と頼まれた。
神殿の神官達も掃除が行われた。
ジンは神官長(臨時)の地位を次代に譲った。次の神官長は聖剣が選んだ人物だ。
孤児院育ちの神官見習いの青年。
新神官長の側近も選ばれ、神殿の経営と孤児院の経営を任せた。
シルビア王妃は孤児院運営と平民学校の設立に意欲を示していた。
「ソロソロ良いでしょ!」
マジョリカ。
「あとは励めよ」
聖剣から人の姿になったケン。
「ニャー、、、、ニャニャン?」
(私、私は猫のまま?)
ジンの頭に乗った瑠璃猫。
「えー?瑠璃ちゃんは、いつでも人に戻れるわよ?」マジョリカ。
「ンニャ??」
(えっ)
「しかし、聖女とわかると、人々が殺到するぞ」ケン。
「あー、そうね。治せ癒せの嵐、感謝されても次第に当たり前扱い。死んだものまで生き返らせろとかで罵られて、心が折れるわよ」マジョリカ。
「ニャー、ニャンニャ」
(そうかー、じゃやめとこ)
「人の苦しみ悲しみは、辛いが受け入れて生きるしかない。
理不尽を乗り越えて苦しみ生きることが、人生でもある」ケン。
後にジンは宰相としてルーファスの治世を支えることとなる。
オウンドゴール王国一の歴史に残る名宰相ジン。
何故か頭にブルーグレーの毛並みの猫を乗せていたという。
ジンとは、人を守る刃。
思いやりの心。人を愛する心の仁。
塵のような臆病さ。
ルーファスの治世の中、ジンは人の痛みに寄り添う、情に厚い政策や法令を整えた。
ジンの言葉が伝えられている。
「私は困っている人に当然の事をしただけだ」
「誰もが腹がすけば苦しい。家族を飢えさせたくない。
人は弱く、間違う。道を踏み外すこともある。
道を踏み外さず生きていける様にする手助けをしているだけだ」
名君ルーファス、賢妃シルビア、名宰相ジンの治世はオウンドゴール王国の長い歴史の中で、最高に栄えた時代と讃えられる。
名宰相ジンの妻、ルリも陰ながら夫を支えたと伝えられている。
ジンの愛猫ブルーグレーの猫の名前も、夫人と同じルリという名だと伝わっている。
おしまい
お読み頂きありがとうございました。
励みになりますので、お星さまやブックマーク頂けたら、とてもとても嬉しいです。




