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19 俺は勇者?私は聖女?

先頭のジンが開いた扉を抜けて、一堂は広大な空間の部屋に入った。

途端にジンが叫んだ。


「ギャー!あんた、誰だよ!」

見知らぬ騎士がジンの横にいた。壮年の立派な風貌の男である。

銀髪に翠の目、実装的な騎士の装備をしている。腰にはあの聖剣が携えられていた。


「相変わらずうるさい男め。俺様がわからぬか。マヌケ」

男がジンをジロリと見て言った。


「その口調、俺様人称、、、まさか、セイケンか?!」

無茶苦茶驚くジン。


「ウニャーー!」

聞き覚えの無いようなあるような、女の子の悲鳴があがった。


「な、な、ルリが!女性に!」

ルーファスのうろたえ、驚いた声。


ルーファスはくるっと後ろを向くと、上着を女の子に投げた。


女の子は、裸だったからだ。


ジンも驚いた。ルーファスにならい、女の子から目を背けて、上着を投げた。


シルビアが荷物から慌てて自分の着替えを出した。


瑠璃は混乱しつつ、とにかくシルビアに教えてもらいながら、服を着た。


「ここは、どこなんた?なぜ猫が人に?その男は誰だ?」

戸惑うルーファス。


「夢で見た美少女、実在?、、って、ルリ?ルリなのか?!」

混乱のジン。


「ここは聖なる空間。

偽りの姿は消え去り、真実の姿となる。

当たり前でしょ」


知らない女がいつの間にか、部屋にいた。長いうねった黒髪の色香ある美女だ。


「マジョリカ!」

聖剣だった?男が駆け寄り、美女を抱きしめた。


「遅いわよ!ケン!」

美女マジョリカも男をぐっと抱きしめた。

「待ちくたびれたんだから!」

文句を言いつつ嬉しそうなマジョリカ。


ジン、瑠璃、ルーファスとシルビアは立ち尽くしていた。

ジンが口を開いた。


「あのー、ここはどこですか?

そして、あなたがたは、誰ですか?」


「あら、今代の勇者は優しげね。私はマジョリカ。初代の聖女よ。こっちは初代勇者ケン。聖剣よ」

男から身を離し、マジョリカという聖女が言った。


「マジョリカは私の妻だ。永遠のな。

私はマジョリカが眠りについた後、聖剣となり聖樹と共にあった。この地を守る鍵として永い時をこの国を守って眠っていた。

愚王の世になり、目覚める時が来た。勇者を選んで世に出でたのだ」聖剣ケン。


「は??悠長に旅してましたよね?」

信じられないジン。


「次代を育てるためだ」

聖剣ケン。


「ジダイ?何のことですか?」ジン。


「そこにおる、次代の王と王妃だ」

聖剣ケンはルーファスとシルビアを指した。


「えええ!?ルーファス様が、次の王様?シルビアさんが、王妃様?」ジン。


「我らは、そのような器にございません」

戸惑うルーファスとシルビア。


「伝説の時が訪れた。

愚王は廃さねばならん。ルーファス、シルビア、覚悟を決めよ。そなたらが王と王妃となる。民のための王となれ」聖剣ケン。


戸惑いながらも、ルーファスとシルビアが騎士姿の聖剣ケンの前に跪いた。


「聖剣ケン様、ふつつかな身にございますが、ご神命、承りました。

元より、死ぬ運命を受け入れておりました。一度死んだ身でございます。頂いたこの命、国に捧げます。

オウンドゴール国の再興に力を尽くす所存にございます」

ルーファスが深く頭を垂れた。


「聖剣様とは知らず、数々のご無礼、申し訳ございませんでした。

私も、聖剣様のご指令、しかと承ります。

ただ、願わくば、弟達の命をお救い下さいませ!ルーファス様のご家族の命も、お守り下さいませ!」

シルビアも土下座せんばかりに床近くまで頭を下げた。


「ははははは!やっと俺様を敬う者が現れたか!よいよい、無礼は許してやる」

ゴキゲンになった聖剣ケン。


「はい!質問です!何故私は猫になってたんですか?」

瑠璃が元気よく手を挙げた。


気分の良い展開を邪魔されて、めんどくさそうに瑠璃をみた聖剣ケン。


「そなたが人間の姿で召喚されておれば、愚王グオールに捕らわれ、利用されておっただろう。

ジンと出会うために、大いなる女神が仮の姿にしたのではないか?」


「そ、そうなの?かな?」

訝しげな瑠璃。


「はいっ!俺も質問です!

えっと、その、あの、聖剣様は本当に、お化けとか、祟りの剣じゃなくて、あの伝説の神殿の聖剣様?」

ジンが迷いつつ、聞いた。


「最初からそう言っておったろうが!旅の途中にも何度も言ってやったろうが!」


「いや、だって、お化けのついた祟り剣だと思って、、、っていうか、俺が聖剣を抜いたの?ホントに?なら、俺、勇者???」

まだ疑わしげなジン。


「お前は勇者だ!間違いない。聖剣である俺様と聖樹が選び、呼んだ。

聖女である瑠璃も選ばれたのだ」


「えっ!私も、ホントに聖女なの?聖なる肉球じゃないの?」


「なんだそれは?聖なる肉球?

全く、お前ら、、、何度言えば信じるのだ。

ルリ、お前は何度も奇跡を起こしていただろう」

ケンは呆れ顔で言った。


「だって、言われても、聖剣らしくなかったし!」ジン。

「うんうん、詐欺を提案したし!」瑠璃。

「そうそう、やたら偉そうだし!」ジン。


「俺様は偉そうでなく、偉いのだ!いい加減にしろ!

さあ、もういいだろう!行くぞ!」聖剣ケン。


初代聖女マジョリカが床に手を当て、瞬く間に魔法陣を作成した。


「乗って!」マジョリカ。


初代聖女マジョリカ、聖剣ケン、ニセモノ勇者ルーファス(次代王予定)、ニセモノ聖女シルビア(次代王妃予定)、今代勇者ジン、聖女瑠璃という総メンバーを、魔法陣が包んだ。


どこへ行くかも知らず、ジン、ルーファス、シルビア、瑠璃は光に包まれていた。





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