12 お祭りだー!!お茶を飲んだらハゲカラケ
祭りの雑踏の中、ジンは弾かれた様に勢いづいて言った。
「もしはぐれたら、いえ、きっとはぐれるので、待ち合わせはあの屋台で!」
雑貨売りの屋台を指さしてルーファスに言うと、雑踏の中に消えた。
ジンは路地裏へ行き、瑠璃猫に頼んだ。
「効果は程々でお願い!」
作っておいた薬草ブレンド茶葉の袋を取り出した。
旅の道すがら採取、乾燥させた薬草やハーブをブレンドした茶葉だ。
ジンの手作りブレンド茶葉は実家の店で昔から好評だった。
その茶葉に瑠璃猫が少し魔法をかけたら高値で売れるのでは?とジンは考えた。
「ニャーン?ニャンニャン!」
(えー、ま、やってみるか!)
瑠璃猫が肉球を茶葉の袋に当てた。
「ニャーンニャ!ニャーンニャーン!」
(美味しくなーれ!ちょっとだけ元気になーれ!、、、、、、!)
茶葉の袋がポウッと光った。
ジンが袋を開いて香りを嗅いだ。
「おおっ、いい香りだ。いいぞー。よし、行くか!」
上機嫌のジン。街のお茶屋を探しに歩き出した。
2軒目までは、茶葉を見てもくれず、追い返された。
3軒目の主人は追い返さずジンの話を聞いた。
「薬草ブレンド茶葉ねぇ、とにかく見せてみろ」
主人はトレイを出した。スコップで茶葉の袋を底から混ぜて茶葉をすくい取った。
トレイに出して眺める。
「説明してみな」
お茶屋の主人が、ジンを促した。
「コレがクヌの実で、こっちがハシヌの葉、コレはカミュの根、カナンの実、ナユリの根、カヌラの葉」ジンが次々と指差していく。
「ふむ、知識はきちんとしてるな。それに、、、ちゃんと乾燥、焙煎済みだな。、、よい香りだ。何か入れたか?」お茶屋の主人。
「えっ、わかります?でもそれは特別なんで、秘密なんですよー」ジン。
「まぁ、見たところ普通の薬草茶に見える。、、害がなければ良いんだが。湯を入れて飲んでからだ」主人。
主人がポットに茶葉を入れ、湯を注いだ。
「やはり、よい香りが立つ。あとは味が良ければ買い取ろう」主人。
主人がカップに注ぎ、香りを堪能し、茶を口に入れた。
ジンも恐る恐る茶を飲んだ。
「なにこれ、美味っ」ジン。
「なんだこれは、、、おい!麻薬でも入っているのか?!」
「そんなもの入れてません!物騒なこと言わないで下さいよ!」ジン。
「しかし、腰の痛みがスッと消えた。おかしいだろ」主人。
「わかりました。買い取り不可で良いです。お邪魔しました」帰ろうとするジン。
「馬鹿者!買い取る!麻薬特有の高揚感は無い。
ブレンドの仕様と、お前の言う秘密の何かの作用なのだろう。、、、、これでどうだ?」
お茶屋の主人が銀貨5枚を出してきた。
「はぁっ?」ジン。
「駄目か、なら倍だ!」
銀貨10枚がテーブルに置かれた。
「ええっ」ジン。
「くそぅ!これでどうだ!長年の腰痛が、目のカスミが無くなった!奇跡の茶葉の値段だ!」主人。
金貨3枚追加された。
「ヒィッ、十分です!」ジン。
「よし、取り引き成立だ。
見ない顔だが、また寄ってくれ。買い取る」お茶屋の主人。
「ありがとうございます!」嬉しそうなジン。
(あっ!やばい!)
その奇跡の光景に、ジンは慌てて店を出ようとした。
主人の背後で驚きの声が上がった。
「あ、あんたぁ!ハゲから毛!」
「なんだ?ハゲカラケ?ハゲカラケとは?」主人。
主人は妻が驚きワナワナと指さす自分の頭部に手をやった。
ふさっとした遥か昔の感触。
「ハゲから毛ーー!!!」
その感触に、主人も叫んだ!
「私にも、そのお茶飲ませてえ!」妻の狂喜の声。
「飲め飲め!飲んで痩せろ!」
「なんだとお!」スパコーン!
「全然痛くないいい!!」
ジンは扉の向こうの夫婦の驚愕の声を聞いて走り出した。
近くの店の前に待たせていた瑠璃猫を抱いて頭に乗せ、駆け出した。
「また効きすぎ!程々はどこいったー!」ジン。
「ニャニャニャンー」
(そんなこと言われても?!)
『、、、お前も俺様より詐欺をしておるではないか、、、』
聖剣が呆れつぶやいた。
祭りの中を歩きながら、ジンのつぶやきを聞いた瑠璃猫。
「びっくりした。ハゲた頭から毛が生えてきた。なんでだろう??」
「ニャ?、、、、、ニャ!」
(はあ?、、、、、あ!)
路地裏で茶葉袋に肉球を当て、願った時に、表通りを歩く人の頭がピカッと光った。
まぶしい!日光を受けたハゲが光って、暑そう、ハゲかわいそう、と瑠璃猫は思った。
まさか、それが?それで?
ハゲから毛??




