11 仲良くなろう!
瑠璃はシルビアの正体が気になっていた。
さらっと盗賊を殺したシルビアにビビっていた。
「ニャンニャンニャンー、ニャニャーン?」
(ねぇ、セイケン、追手は無いみたいだし、私達がルーファスと旅する理由って、あるかな?)
『ルーファスらは魔王が西にいるから行けと言われておるのだろう。
我らはルーファスに旅費をまるっと払ってもらっておる。ルーファスと離れたら文無しではないのか?それから、俺様は聖剣様だ!聖剣様と呼べ!』聖剣。
「ニャーニャンニャン」
(お金かあ、そーだった)ガックリ。
『我らはあてのある旅ではない。アイツラと相性も悪くない。しばらく一緒でもかまわん』聖剣。
「ニャンニャーン」
(そーだよねー)
ジンは呑気に旅を楽しんでいた。
「ここらへんは良い薬草が多いなー」
ジンは道すがら、薬草を採取していた。時々、立ち寄った街や村で売っていた。コツコツ金を貯めていた。
「辺境に近くなると、珍しい薬草が多いですね!」
昼食の会話でジンが言った。
今日は鳥肉ゴロゴロ野菜スープだ。美味しい。
「そうか。私は王都の近郊しか出たことがなくてね。全てが珍しいよ。
母上と妹を王都に残しているから心配なのが心残りかな」
食べながら言うルーファス。
「え、王に王女様なんておられましたっけ?」
思い出そうとしながら、ジンが言った。
「いや、実は私は陛下の甥に当たるんだ。陛下は私の父の弟なんだ。
私の父は若くして亡くなってね。
陛下は私を養子にして第三王子にしたのだよ。
母上と妹は王都の離宮にいるのだ」ルーファス。
「ええっ。知らなかったです。すいません、疎くて」
申し訳なさそうに言うジン。
「貴族は皆、知っている事だ。民衆には発表していないから、知らなくて当然だ。
まぁ、そう言うわけで、私が王位に就くことはない。、、、この旅で亡くなっても王家に痛手はない。
だから、私に畏まらなくて良いのだよ、ジン殿」
ルーファスが爽やかに笑った。
シルビアは表情を変えなかったが、内心驚いていた。
そして、腑に落ちた。納得した。
「そうだったんですね。、、、俺にも妹がいるんですよ。ソフィアって言ってね。可愛いけど生意気で、賢くて、、、」
ジンは妹の話をした。
ルーファスも年に数回会う母と妹の話をした。
シルビアは2人の話を聞くだけだった。
話を振られても「私は神殿育ちなので、特に面白い話は、、」と濁した。
彼らは和やかに旅を続け、街道要所の街に入った。大きな街だ。
ジンとルーファスは友人くらいに親しくなっていた。
街は丁度、祭りの最中だった。
街の入り口近くで宿を取り、馬を預けた。
祭りの街並みに混じりこむルーファス、シルビア、ジン。
「今の時期だと収穫祭かな?」ジン。
「賑やかなのだな。街の祭りは初めてだ。おっ、あれは何だ?」
ルーファスはとても楽しそうに露天や広場の出し物に目を向けていた。
ジンもルーファスも瑠璃猫も、お祭りの中ではしゃいでいた。
王宮では、グオール王が密使の報告を受けていた。
「ルーファス王子と聖女が盗賊を狩りながら進んでいると各街から届いております。
盗賊被害が激減し、勇者と聖女への信仰のような支持が広がっております。
特に、極悪非道の盗賊団を改心させたらしいのは、聖女様ではないかと噂されております」
グオールの側近でもある宰相。
「盗賊が罪を自白して自主したとかいう、眉唾物の話か」
グオール王が忌々しげに顔を歪めた。
「王位簒奪を企む者の作り話だろう。
聖女とルーファスの輝かしい成功話を仕立て上げ、民衆を扇動しようとする者がいるのだ。 潰したはずの兄上の派閥が動き出したのかもしれん。探し出して滅せよ。
それと、、、、ルーファスの母親と妹の様子を知らせろ。あいつらは人質だ。監視を強化しろ。もし裏切りがあれば殺せ。
ルーファスらの噂は沈静化させろ」グオール王。
「はっ」
密使が深く頭を垂れた。




