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捜索と殺意2

もう、夕方になっていた。

あたりをつけて行った場所は、見るからに怪しかったが、戸を叩くと応対はあった。

「何か?」

中の男が、胡散臭そうにこちらを見る。


「ここに、封海里という男性がいませんか?」

青河が尋ねると、男の顔色が明らかに変わり、黙って戸を閉めようとする。

(怪しい。)

とっさに足を入れて戸を止め、そのまま無理矢理もう一度開けた。

「何しやがる!帰れ!」

立ちふさがる男の腕を素早く捻りあげて動きを止め、その間に碧龍とラウも侵入する。

(もう、とりあえず行くしかない。)

何もなかった場合は責任をとる覚悟を決め、青河もあとに続くと、奥の部屋に海里と翠花がいた。


・・最悪の状態で。


寝台に拘束されている翠花のそばに海里。

しかも、翠花は、

(服着てない!!)

シーツを引き上げているが、肩があらわになっている。

(まずい。)


碧龍のそばに長くいるおかげで、碧龍の動きには青河の身体が反射的に合わせる。動いたのはほぼ同時。

無言で氷点下の冷気を放ち、海里に斬りかかった碧龍の剣を、青河の剣が止める。


「・・邪魔するな。」

碧龍の殺気にぞくりとしながらも、ひくわけにはいかない。

「だめです。」

皇太子といえど、いや、だからこそ、むやみに人を傷つけてはならない。

碧龍の眼は本気だった。

とりあえず一太刀目は止めたが、まずい状況だ。

(くそ!どうしたら!)



がん!

その時、脳天から衝撃がきて、青河は頭が真っ白になりよろけてしまった。

「やめろ!可愛い翠花にトラウマ植え付ける気か?!」

見ると碧龍も頭を押さえてうずくまっている。

声の主は、ラウだ。

どうやら二人とも、思い切り頭を拳で殴られたらしい。


「何しにきたか忘れるな。姫の救出が最優先だろうが。目の前で流血沙汰起こしてどうする!!」

頭は痛かったが、ラウのおかげで碧龍も少し我に返ったようだった。

青河は剣を収め、唖然とした顔で腰を抜かしている海里を拘束し、碧龍に翠花のもとに行くよう素早く目配せする。

碧龍は寝台に駆け寄り、縄を切って拘束を解き、自分の上着を翠花に掛けた。

「・・っ翠花!君が何をされていても、僕は変わらず君を・・!!」

思い詰めて言葉につまる碧龍に対して、翠花は目を細め、泣きそうな顔で言った。

案外しっかりした声で。


「特に何もされてません!あの、申し訳ないのですが、誰か、私に眼鏡を・・。」


一時訪れる微妙な沈黙。


「あ、ああ、眼鏡・・これ?」

碧龍は、近くにあった眼鏡を渡してやる。

「ありがとうございます!なんとなく、何があったかは分かるのですが、全然見えなくて、つらかったんです!」


眼鏡をかけた翠花は、目をパチパチさせてお礼を言う。その声には、もう恐怖も悲哀も感じられなかった。



「・・見えてなかったなら、やらせてやれば良かったか。」

青河の背中から、ぼそりとラウの声が聞こえたが、青河は聞こえないふりをした。




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読みにきてくださった皆さま、本当にありがとうございます! なかなか更新できていませんが、一区切りするまでは頑張って書き進めようと思っています。 他にも送り出した作品があります。 良かったらぜひ、ご一読いただいて、感想をお聞かせください。 まだまだ続く彼らの物語を引き続きよろしくお願いいたします。 勇者様の溺愛が重すぎな件について https://ncode.syosetu.com/n5378gu/
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