日曜日を返して
アキラは髪も整えず、ショートパンツ姿でケイコの前に立っていた。不機嫌そうに。
「日曜日よ、ケイコ。日曜日」
「はいはい、文句言わないで。私だってここにいるんだから」
「そうだけど、あんたの方がずっと稼いでるでしょ」
「出勤手当、払ってあげるから……」
ケイコはため息をついた。
「あの鍛えられた体との生活はどう?」
「それ言わないで! ただでさえ、恥じらいってものを知らない猫を家に置いてるのは大変なんだから」
「使った分は払うし、泊める場所を提供したことへの手当も出すから」
「別にいらないけど……それ、なんで今言うのよ」
「見てほしいものがあるの」
ケイコがノートパソコンを回した。アキラは首をかしげ、読まないことに決めた。
「今日呼んだの、記録の手伝いをさせるため?」
「読んで、アキラ」
ため息をつきながら、画面にある二つの名前を読んだ。表情が変わっていく。最初は眉をひそめ、それから目を見開き、やがて顔全体に不安が広がった。
「これ……ありえない」
「私もそう思った。二回確認したの。間違いないわ、アキラ。月見さんの能力が、真情在を二人認識してる」
「なんで気づかなかったのよ」
ケイコはアキラの目を見た。
「最初の登録は、最初のイベントの後よ」
「なんで登録が二件もあり得るのよ!?」
「わからない。一番気になるのは、片方には元の名前がちゃんと記録に残ってることなの」
アキラは、真情在の下にある名前を見た。片方には「???」の記号。
もう一方の登録には、フルネームが書かれていた。源 裏。
「これはおかしい。ありえない」
「アキラ」
「嫌! それって、在が……」
「それはまだわからない。いろんな意味があり得るの」
「例えばどんな!?」
「叫ばないで……頭が痛くなる」
「治して、それから説明して!」
ケイコの目つきが鋭くなった……それを見て、アキラは座った。
「私は頭痛薬じゃないの。痛みを取れないって知ってるでしょ」
「うん……ごめん」
ケイコは薬を取り出し、一錠飲んだ。
「よし……仮説が二つあるの」
アキラは座ったまま、椅子を二回引きずるように動かした。
「そんな顔しないで。正しいかどうかはわからないんだから」
指を一本立てた。
「真情さんと源さんは、同一人物として生きていた。もしかしたら、違う時代に同じ体を使っていたのかもしれない」
アキラは頷いて、続きを待った。
……
「もう一つは?」
ケイコはもう一本指を立てた。
「名前が偶然一致しただけで、私たちが大げさに考えすぎてる」
……
「それのために呼んだの!?」
「正しいかどうかわからないからでしょ」
「日曜日なのよ、ケイコ」
ケイコは再び画面を見た。在:ただの暗殺者。裏:闇糸暗殺者。
同調率:裏は50%。在は70%。
「クラスは似てる。同調率もそこまで違わない。能力もほとんど同じ」
「月見さんのところに行って、説明してもらわないとね」
「あんたを行かせようと思ってたんだけど」
「いやいやいや。あの人に食べさせるだけで給料全部飛ぶわよ。あんたが行って」
「嫌……車のローンがあるの」
「ぐぬ……」
ケイコはゆっくりと息を吸った。
「いっそ、直接ギルドに入れた方がいいのかもね」
「ダメ。あの子が自分の人生を思い出して、栞が情報を更新する頃には、もう学園で同世代のリターナーたちとの生活があるはずだから」
「ずいぶん大人な答えね。あんた誰?」
「私は再導入部隊で一番優秀な捜査官よ。それに、手当てまであと少しなの」
「そう……アキラね」
ケイコは立ち上がり、コーヒーを淹れに行った。アキラには、なぜそうしているのかわかった。
「じゃあ……もう行かないと。遅くなるし、やることがあるの。休みを楽しむとかね」
「ねえ、アキラ。真情さんは学園に行く準備、できてる?」
「準備万端よ」
「源さんを栞のところに連れていったのは、あんただった?」
アキラはもう立ち上がっていた。
「坂上だったと思う。今すぐメッセージ送るわ」
「もう一回、写真を見て」
それで帰れると思い、アキラは少女の写真を見た。肩までの茶色い髪、真剣で、うんざりしたような表情。
でも、その金色の瞳には、どこか見覚えがある気がした。
「うん……坂上だった」
「記憶力の悪さで有名なうちの捜査官が言うことね」
「こんな目、忘れるわけないもの」
ケイコはすでに、コーヒーを注いだカップを二つ持って歩いていた。
「へえ、もうその目つき、見覚えあるんだ?」
「当然でしょ。この二日間で、何度も見たもの」
「ねえ……二人が出会ったら、どうなると思う?」
「なんでそんなこと言うの」
「彼女、真情さんが入るのと同じクラスにいるから」
アキラはコーヒーカップを受け取った。
「別にいいでしょ。何か魔法みたいなことが起きるとは思えないし」
「それ、どういう意味?」
ケイコは記録のこと、似ている点のこと、あちらの世界での同じ名前のことを考えていた。
「私、あの子にホットドッグ教えたの」
ケイコの瞼が見開かれた。アキラのその、とてつもなく誇らしげな表情を見た。
「玉ねぎたっぷりの、あれ?」
「そう。今日も連れていくつもり。昨日は三つ食べたのよ」
ケイコは微笑んだ。異常事態について話し続けるつもりだったのに、結局ホットドッグの話を聞かされることになった。
その頃、アキラの部屋では、在がこの世界について学ぶために彼女が置いていった本を読んでいた。
世界の仕組みは少しずつわかってきていたが、意味の通じない言葉もまだ多かった。
用語は無視してページをめくった。わからないことはアキラに聞くと、すでに決めていた。
瞼がわずかに痙攣すると同時に、視線がドアへと向いた。
空気を乱すことすらなく、本を下ろした。
あまりの速さに、まるでドアの脇に瞬間移動したかのようだった。
コンコン。
「いる?」
在はすでに短剣を手にし、背中を壁に押しつけていた。
コンコン。
「アキラ! 開けて、チケット持ってきたの」
(アキラの知り合いか。何が目的だ? 排除するか? チケット。三階。出て行って情報を引き出すべきか?)
「まだ寝てるのかな……アキラ、チケット置いていくよ、今夜公演があるんだ!」
二枚の紙がドアの下から滑り込んできた。
「ケイコを連れてきてもいいぞ! いや……連れてきてほしいんだ」
最後の一言は小声だったが、在の耳には届いた。
「絶対来てくれよ! いい席なんだから!」
足音が一階まで遠ざかるまで、在は動かなかった。
ナイフを投げ、チケットに突き刺した。
(罠はないな)
しゃがみ込み、指で紙をなぞると、それを舐めた。
(毒もない)
その人物がもう近くにいないことを確かめるため、目を閉じてから、それを拾い上げた。
「台風蟹よりも大きな爆笑ライブ」
イベント名を読み返した。今度はより真剣な表情で。
(台風蟹とは何だ?)
リビングのテーブルにそれを置き、また座って読書を続けた。本を読み終える頃になっても、台風蟹についての記述は見つからなかった。
ちょうどその時、アキラが部屋に入ってきた。最初に目に入ったのは、床にある小さな穴だった。
「それ何?」
「暗殺道具らしきものを確認した」
……
「知りたくない。聞かなかったことにする」
「危険なものではなかった」
アキラはただ手を上げただけで、ドアを閉めた。
「用事は片付いたのか」
「ううん……片付かなかった……」(食べ物の話で盛り上がっちゃった)
彼女は冷蔵庫まで歩いていき、炭酸飲料の缶を取り出した。
「夜、ホットドッグ食べに行く?」
「いいのか」
「行きたいの行きたくないの、どっち?」
「反対はしない。だが、お前が行けるのかわからない」
大げさな飲み方で炭酸飲料をあおった。
「当然できるわよ、歩き方くらい忘れてないから」
在はテーブルを指差した。
「どうやら、誰かがお前を待ち伏せするつもりらしい……それか、演劇の催しに招待されたか、だ」
「演劇?」
アキラはテーブルまで歩いていった。チケットを手に取り、読んだ瞬間、完全に固まった。
ようやく反応できるようになると、それをテーブルに戻し、離れていった。
「昨日と同じ三つでいい、在?」
(無視したのか? 脅威かどうか確認しておいた方がいいんじゃないのか?)
「男が置いていったものだ。あのプロを連れてきてほしいと言っていたが」
「まあ、すごく美味しいハンバーガーの店に連れていってあげてもいいけど」
「いい席だと言っていた」
……
「他に何て言ってた?」
「必ず来い、それと、お前はまだ寝てるはずだと」
「そう……あいつのはずね」
「その場所を調べようか」
「いらない! あんたのクラス見てから、何を考えてるかもうわかってるんだから!」
「誰も排除しないと約束する」
「なおさらダメ」
「だが、俺が言っているのは……」
「ダメ……」
アキラはテーブルに戻り、もう一度チケットを手に取った。
「台風蟹よりも大きな爆笑ライブ」
網膜を焼くような黄色で書かれたタイトルのすぐ下に、もう一つ何か書かれていた。
「VIPアクセス。夕食付き」
一度瞬きをして、もう一度読んだ。
「夕食付き」
「嫌」
「わかった。調べには行かない」
「あんたに言ってるんじゃないから」
指でチケットを一枚ずつ分けた。
「二枚あるの。あそこの料理は美味しいし。そんなに……お金もかからないはず」
在は腕を組んだ。
「なら詐欺だな」
「どっちに驚けばいいのかわかんないわ。詐欺だと思ってることに、それとも詐欺だって知ってることに」
「詐欺だと知っている。何度もやったことがあるからな」
「それを警察に言わないでよ!」
「この世界でのことじゃない」
アキラはチケットを見せるように腕を伸ばした。
「お金はかからないから」
「理解できない」
「すぐわかるわよ」
「まだ理解できない」
「理解しなくていいの、二時間後に出るから」
「それが理解できないと言っているんだ。そのチケットは、お前とあのプロのためのものだろう」
「ああ……そう、あの人はケイコを連れてきてほしいの。こっちを苦しめる気なら、私もあいつを苦しめてやるわ」
在は立ち上がり、武器の点検を始めた。
「何してるの」
「もう理解した」
「いや、してない」
このイベントで「苦しむ」というのは、拷問される予定があるという意味ではないと在に説明したあと、アキラはいくつかのルールをはっきりさせた。
誰も殺さないこと。
誰も攻撃しないこと。
武器は持っていかないこと。これは彼女の負けだった。
在は少なめにすることに同意した。アキラは金属探知機があると説明した。在は落ち着いた様子で三つを選んだ。
一本は、溶かして圧縮したベリルで作られた長い短剣で、その製法を在が説明しても、アキラには一言も理解できなかった。その刃はあまりに透明で、光が通り抜ける際、まるでそれの存在を認識していないかのようだった。
そしてもう二本は、チタンとオニキスを組み合わせて鍛えられた双子の剣だった。生まれた合金には「アンブラ」という名がついていた。刃はくすんだ暗色で、目的はただ一つ、夜の中で気づかれないことだった。
アキラは、それらがどうして存在するのかを考えるのをやめた。ただ、起こりうる問題だけが見えていた。
短剣を持たせてほしいと頼むと、驚いたことに、在はそれを渡した。
「これが結晶ってこと?」
「普通は脆い。だが、もう違う」
指を曲げ、刃を二度軽く叩いた。
「これ、硬いんだけど……」
在は双子の剣をコートにしまった。
「それが見つかっても、私、あんたのこと知らないからね」
二時間が過ぎた。アキラは、きちんとしすぎでもだらしなくもない格好をしていた。ジーンズに、ブラウス、控えめなネックレス。赤毛は整えられていた。
在はいつもと同じ格好だったが、隠している武器の数だけが違った。
二人は部屋を出て、会場へと向かった。
着いてまずアキラが気づいたのは、本当に行列ができていることだった。
チケットを見て、それから入り口の真上にある垂れ幕を見た。
「台風蟹よりも大きな爆笑ライブ」
「うん、ここで合ってる……」
二人は列に並び、やがて彼女がチケットを渡した。
チケットを受け取った女性は、開いている穴をじっと見つめた。
「あの、何かあったんですか?」
「ああ……うん、うっかりナイフの上に落としちゃって……」
「次回からは、チケットの取り扱いにお気をつけください」
「そうします」
中に入ると、アキラは金属探知機がなかったことに、ほっと息をついた。
二人は自分たちの席まで歩いた。
彼女は時間を無駄にせず、すぐに料理を注文し始めた。
「ここの料理、気に入ると思うわよ……しかも最高なのは、タダだってこと」
「だからこんなに頼んだのか」
「いろいろ食べてほしいの」
(全部二人前ずつ頼んだくせに)
料理が届いた。肉が二皿、味噌汁が二杯、鶏肉とねぎの串焼きがいくつか。そこで一人の男がステージに上がった。
「皆様、本日は特別な夜へようこそ。ご来場、誠にありがとうございます」
一礼した後、ステージの端へと腕を伸ばした。
「それでは、本日の宴の幕開けです。異世界をまたぐ笑い、渡辺!」
司会者がステージを去るのと同時に、渡辺が登場した。アキラはすでに両手で顔を覆っていた。
渡辺はステージのちょうど中央に立った。頭には紙製の王冠をかぶっていた。
赤毛の巻き毛。その顔。
アキラがオフィスで机に叩きつけていた、あの写真の中の男と同一人物だった。
「ようこそ、我が臣民たちよ。今宵が特別な夜なのは、今日スライムが私にこう言ったからだ。『ブロップ』」
奥の方で小さな笑い声が上がった。
在は目を見開いた。アキラは、まるで液体になってしまいそうだった。
(料理が「タダじゃない」理由が、もうわかってしまった気がする。よくないことだが)




