第53話 ×%#*€$<£€!
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
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ダークフロッギスは廊下の一番奥の部屋に入っていった。
ルナは忍び足で近づくと、ドア越しに耳を当て聞き耳を立てる。
廊下はしんと静まり返っている。
こういうとき、妙に心臓の音だけが大きく感じる。
中からダークフロッギスの甲高い声が聞こえてきた。
「今日のお布施はいくら集まったケロ」
「はい、ダークフロッギス様、本日は50万ゲイルですケロ」
「まだまだ少ないケロ! もっと信者を増やすのだケロ。このフロッグジュースを飲ませてな、ケロ」
(ん? フロッグジュース?)
すると突如、テンがわけのわからない言葉をわめいてルナに襲いかかってきた。
「×%#*€$<£€!」
「きゃっ⁉」
テンはルナに馬乗りになり、両手でポカポカと攻撃してくる。
拳というより、グーである。威力はあまりないが、数は多い。ちょっと強めの肩たたきだ。
だが、目は完全にイっている。
「どうした! テン! やめれっ……」
騒ぎを聞きつけたダークフロッギスとその手下たちが何事かと廊下に出てきた。
「な、なんだ、おまえたちは! ケロ」
言葉尻にどうしても『ケロ』が入る。もはや口癖というより直らない体質である。
「ダークフロッギス、……お、おまえの悪巧み、しかとこの耳で……聞き届けたりー!」
ルナは、暴れるテンを必死に押さえつけながら、時代劇さながらのセリフをなんとか言い放つ。
場面としてはかなり締まらないが、本人はいたって真剣だ。
「小娘! 見ない顔だなケロ。おまえたち、とっ捕まえケロ!」
手下たちが一斉に襲いかかる。
「ひえぇえええーーーっ」
テンにまとわりつかれていたこともあり、あっという間に、捕らえられてしまった。
部屋の中へ連れ込まれ、ドアには鍵をかけられた。万全を期すタイプらしい。
「おまえたちはこの村の者ではないケロ。何者ケロ!?」
「あたしたちは、ただの通りすがりの者よ」
「ただの通りすがりの奴がここで何をしているケロ?」
ダークフロッギスがフードを外して凄んできた。
その顔は緑色の肌に黄色い猫目のカエルに似たモンスターだった。いや、似たというより――ほぼカエルそのものだ。
そんな奴に凄まれても、ルナはまったく動じない。
なぜなら、どう見てもただのカエルなのだから。
「村人たちを洗脳して金儲けを企んでいることを暴露する。そしておまえの野望を打ち砕く!」
「ケロケロケロ! 笑わせるなケロ。おまえごとき小娘にこのダークフロッギス様がやられるわけないでケロ」
そう叫ぶと、おもむろにダークフロッギスは両手をテンの方へ向けた。
手の先から青白い稲妻光線が放たれる。
ビリビリビリーーッ
その光線がテンの体を包み込むと、ダークフロッギスはテンに向かって指令を出す。
「おい、てんとう虫のおまえ。この娘を痛めつけろケロ」
テンは虚な目でルナを見ると、また訳のわからない言葉を発してルナに襲い掛かっていった。
「#&#&+>=¥」
「うわっ! またか! おい、テン! しっかりしろ!」
テンは、ルナに覆いかぶさって両手でポカポカと叩く。
ただのカエルだと思っていたが、とんでもない奴だった。よくわからないが、催眠術みたいなものを使っているのだろうか……。
「……おまえ……テンにいったい何をした!」
ダークフロッギスは、ニターッと気持ち悪い顔をする。
それを見たルナは、生理的に無理! と潜在意識で思った。
「何をした? ケロケロケロ。何もしてないわ。ただ、こやつはフロッグジュースを飲んだケロ」
フロッグジュース? それって、さっきの抹茶のことだろうか。たしかにテンは飲んでいた。
「それがなんだっていうんだ!」
「あれには、デルモルフィンという特殊な成分が入っているケロ。このダークフロッギス様の皮膚から分泌される成分で、幻覚を見せたり、興奮状態にしたりできるケロ。それに……」
ダークフロッギスは、ニヤついたまま両眼を大きく見開く。
「洗脳も簡単にできるケロ」
そう言って、下卑た笑い声をあげるダークフロッギス。
「なんですって!」
たしか、テンはルナの分まで飲んでいた。だからこんなに効きまくっているのか。
「$#&〜¥@¥&%」
あいかわらずテンは目がイっている状態だ。
だがルナにいくら攻撃をしても、手が小さいせいか、たいしてダメージを与えられていない。
ただただ、ウザいだけだ。
「テン! 正気に戻って!」
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