第50話 ギャラクティカ・クラッシュ!
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
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マザーシップに乗り込んだルナは、ムーンサーベルの導きに従い、襲いかかるアンドロイドを一閃ごとに斬り伏せていった。
青白い軌跡を描く刃。その光は闇を裂く流星のようだった。
サーベルが振るわれるたび、アンドロイドが倒れていく。
「すげ~」
ベルマンが想像以上の戦いぶりを見せるルナに驚愕する。
「ルナー! 負けたらあかんでー!」
テンは声の限界を越える声援を送る。
やがて戦士たちは、マザーシップの心臓部へと到達する。
巨大な機械が唸りを上げる場所。そこが――
コアエンジン。
「ルナ、ムーンサーベルをあのコアエンジンに向けて!」
アムールの声にうながされ、ルナは強くうなずいた。
両手で剣を握りしめ、刃先をコアへと向ける。
他の戦士たちも次々に武器を構えた。
「みんな、準備はいいか!」
シープ隊長の声に、全員が力強くうなずく。
「――ギャラクティカ・クラッシュ!」
このド派手な名前は、きっとゾディアックウォリアーズの必殺技なのだろう。
シープが叫ぶと同時に、十三本の武器から閃光が放たれた。
光の奔流が一点に収束し、やがて眩い球体を形成する。
それはみるみる黒く染まり、巨大な渦を巻きながら膨張していった。
「えっ!? なにが始まるの??」
「これはブラックホールだ」
「ブラックホール!?」
ルナの質問に、アムールがあたかも当然のようにしれっと答えた。
コアエンジンは抗う間もなく吸い込まれていく。
重力が乱れ、空間が軋む。
ゴゴゴゴゴ……!
轟音とともに、マザーシップ全体が悲鳴のように揺れた。
「よし、急いで退散だ! 爆発するぞ!」
シープ隊長の合図とともに、戦士たちは一斉に踵を返す。
ルナもムーンサーベルを握りしめ、全力で駆け出す。
背後では、空間そのものが崩壊していくような音が響いていた。
なんて恐ろしい技を使うんだ、とルナは背筋を冷やした。
そして全員がアニマライズ号に飛び乗ると、艦は猛烈なスピードで離脱を開始する。
「ルナ! 無事でよかった!」
テンが小さな体でルナにしがみついた。
その温もりに、ルナの胸にようやく安堵が広がった。
「うん、ムーンサーベルの力なのか、不思議と怖くはなかったよ」
背後では、ブラックホールが猛烈な勢いでマザーシップを飲み込んでいった。
船体がねじれ、バラバラに砕ける。
そして――
ドオォォンッ!!
マザーシップは跡形もなく消え去った。
それと同時に地上にいたアンドロイドたちも次々に倒れていった。
まるで、糸を断たれた操り人形のように――
* * *
ついに長年にわたる戦争が終わった。
惑星エリシアンは、ようやく平和を取り戻したのだった。
「これ、ありがとうございました」
戦いが終わり、ルナはムーンサーベルをアムールに返そうとした。
しかし、アムールは静かに首を横に振る。
「ルナ、先ほどの戦いを見て、きみの勇気と戦いぶりに感銘を受けた」
「あれはムーンサーベルが導いてくれたから」
「それは違う」
アムールはルナをまっすぐ見つめ、優しく微笑んだ。
「言っただろう? サーベルは、持ち主次第でその力を発揮するかどうかを決める。つまり、ルナはムーンサーベルに認められたということだ」
サーベルを見ると鍔がキラリと光った。まるでアムールの言葉を肯定するかのように。
「ムーンサーベルは、きみに授けよう、ルナ」
「えっ?」
驚いたルナはアムールとムーンサーベルを交互に見る。
「いやいや、でももともとあなたのだし――」
「話はテンから聞いている。これからの旅路でも、きっと役に立つときが来るだろう」
その横でテンが腕を組んでうなずく。
「ルナ、くれるん言うてるんだからもらっとけばええやん。おまえのフライパンじゃ心許ないねん」
「あんた何話したのよ!」
ルナはテンを睨みつけた。どうやらフライパンの件も、きっちり説明されていたらしい。
アムールはそんな二人のやりとりを見て、くすっと笑う。
「じ、じゃあ、ありがたくいただいておきます」
ルナは深くお辞儀をして、ムーンサーベルを鞘に収めた。
「これを持っていれば、ルナ、きみの居場所はいつでもわかる」
アムールは、意味深にウインクする。
ルナは少しだけ首をかしげる。どういう意味なのかは、よくわからなかった。
だが、なんとなく――
またどこかで会う気がした。
「ルナ、困ったことがあればいつでも助けに行くぞ! 達者でな!」
シープ隊長が別れの挨拶をすると、仲間の戦士たちも一斉にうなずいた。
巨大な船体が低く唸りを上げ、戦艦アニマライズ号は空を切り裂くように上昇する。
眩い光の尾を残しながら、やがて漆黒の宇宙へと消えていった――。
* * *
「ルナ、テン、見事、役目を果たしたな」
マーヴェリックに褒められ、二人は思わずガッツポーズを取る。
マーヴェリックは満足げにうなずき、目を細める。
猫の手どころか、犬以上に働いてくれたという顔だった。
その隣で、ベルマンが腕を組みながら言う。
「司令官にも見せたかったですよ。あのサーベルを持ったルナを」
「いやいや、そんな大したことあらへんて」
なぜかテンが照れくさそうに顔の前で手を振る。
「だからあんたが謙遜してどうすんのよ、いつも!」
ドッグソルジャーたちは、二人に深く感謝を述べ、約束どおりワームホールの在りかを教えてくれた。
ルナとテン、そしてバロンは、基地を後にして、その場所へ向かう。
道中、ルナは気になったことを口にした。
「だけどドッグソルジャーは、みんな犬そのものだったね」
「それって、犬そっくりやってことか? そんなもん、ルナの世界にもおるやろ?」
「いるわけないじゃない。そりゃあ、犬っぽいとか猫系の顔とかはいるけど」
「ふ~ん。こっちはぎょうさんおるで。あいつらそうやん。猫の忍者」
「あっ、にゃんこニンジャー? たしかに。忘れてた。あれは猫そのものだわ。猫のまんま」
「ねこまんまや」
「うまいね!」
などと、どうでもいい話に花を咲かせていると、ついにワームホールが現れた。
腰の高さの空間に、ぽっかりと黒い穴が浮いている。
直径は、わずか一メートルほど。
「なんやねんこれ。いっつも浮いとんのか?」
「よし、テン、バロン、準備はいい? 行くよ!」
ルナたちは息を合わせ、一気にその穴へ飛び込んだ。
ドシン――。
ルナとテンは、またもや尻から地面に落ちる。
バロンはうまく着地した。
「いたたたたた……」
二人が悶絶しながら尻をさすっていると――
「姫様~!」
聞き覚えのある情けない声が響いた。
その呼び方だけで、ルナには誰かわかった。
「シマシマ!」
駆け寄ってきたシマシマに、ルナは思わず抱きついた。
「元の世界に戻れたのではないのですか?」
「いや、なんか違うところに出ちゃって……」
少し残念そうに答えるルナに、テンが横から口を挟む。
「まあ、あれやな。あれはあれでスリルあったんちゃうか?」
テンが、せめてものフォローを入れる。なんだかんだで優しい。
「まあ、たしかに……あれはあれでね」
ルナも苦笑する。
「えっ、何があったんですか? 聞かせてくださいよー」
「どうしようかなー」
置いてけぼりのシマシマに、ルナはわざともったいぶった笑みを返す。
「ええ~、僕だけ仲間はずれですか~?」
その様子が可笑しくて、ルナとテンは笑った。
一行は笑い声を響かせながら、再び東の地を目指して歩き出す。
ムーンサーベルを背に、しっかりと携えながら――。
エピソード XI 異次元ゲート 「了」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今回は、まさかの異次元へ!
犬の軍隊に、アンドロイド軍、宇宙戦艦、そしてゾディアックウォリアーズまで登場しました。
かなり盛りだくさんな回になりましたが――
**今回、一番笑ったところはどこでしたか?**
笑いのツボは人それぞれ違います。
そこが知りたい! おしえてくれ!
次のエピソードも、ぜひよろしくお願いします!




