第49話 干支の戦士 ゾディアックウォリアーズ登場
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
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「もうだめだーー!!」
ルナの脳裏に、両親の顔がよぎった。
(パパ……ママ……)
そのとき――
空から一筋の光が差し込み、戦闘機の中を光で満たした。
眩い輝きがルナたちを包み込むと、次の瞬間、体がふわりと宙へ浮かび上がる。
重力が消えたような感覚……なんだかふわふわして気持ちがいい。
「あれ、死んだのかな?」
体はゆっくりと宙を舞い、大きな戦艦の甲板に横たわるように静かに降ろされた。
それは、先ほどの敵のマザーシップとは明らかに違う艦だ。
やがて光が霧散し、視界が晴れる。
すると目の前に複数の人影が現れた。
そこには、未知のスーツに身を包んだ十三人の戦士が立っていた。
「間一髪だったわ」
「ありがとう、フェニックス」
「ほんとだ、彼女がムーンサーベルを持ってるよ」
ルナたちを救った戦士たちは、ざわざわと何か話し合っている。
煌めく鎧のようなスーツを纏う謎の戦士たち。よく見ると動物の顔をしている。
ルナは、彼らの姿に視線を滑らせる。
「端っこのがネズミね。で、次は、えっと~牛。で、虎……次も虎? 虎は二人いるな~。
で、うさぎでしょ。あれは……龍ね。蛇、馬……馬に跨っているヒトがいるわ。
んで、羊で猿でしょ。あれは翼があるから鳥ね。そんで犬……かわいい! 最後は、イノシシだな」
ルナは、しばし考え込んだ。
そして、ぽんと手を打つ。
「まるで干支じゃん!」
そう、そのすべてが十二支の獣を象徴していた。
まるで「干支の戦士」と呼ぶべき十三人が、彼女の前に堂々と立ち並んでいたのだ。
虎にあたる戦士だけは、男女二人が対をなすように並んでいた。
全員が色鮮やかな金属光沢を放つメタリックスーツを装着している。
その姿は近未来的にも見えるが、どこか神々しさすら漂わせていた。
「あたし死んだのかな。ここは天国で、あれはきっと神様だな」
「なあ、ルナ。なんやねんこいつらは?」
「うわっ!」
死んだと思ってたら、いきなりテンが話しかけてきた。
「テン、あんたも死んだの?」
「え? 死んだ? 俺死んだん?」
すると、一人の女虎戦士が二人のところへ歩み寄ってきた。
「心配するな。きみたちは生きてる」
彼女のスーツは全身ゴールドのメタリック仕様。
顔にはメタリックマスクを装着しており、露出しているのは目・鼻・口・耳のみだった。
それでも虎とわかるデザインのメタルスーツだ。
「きみがムーンサーベルを起動させたんだな」
初対面でいきなり意味不明なことを言ってきた。
「へ?」
ルナは、なんとも気の抜けた声を出し、きょとんとしている。
何を言われているのか、さっぱりわからなかった。
「私はアムール。そのムーンサーベルは、私がなくしてしまって、ずっと探していたものなんだ。そして、きみがそれを使ったことでサーベルが起動し、私とつながった。そのおかげで、この場所の座標が特定できた」
「は~……?」
説明しているようだが、余計にわからない。
「きみ、名前は?」
突然名前を聞かれ、はっとする。
「ル、ルナです。ムーンサーベル? これのこと?」
そう言うと、背中にしょった鞘から、ムーンサーベルを抜き取った。
「そういえば、アンドロイドをやっつけるときに、月の鍔が光ったわ。これが起動……?」
「ルナ。ムーンサーベルは、誰でも起動させられるわけではない。手にした者が愛と勇気と希望を持ち合わせていなければ、決してサーベルは反応しない。
だが、本来の力を発揮すれば、鋼鉄すら断ち切る力を持つ。もっとも、その力をどこまで引き出せるかは、使い手次第だ」
アムールの説明では、特別な者でないとサーベルが本領発揮をしないと言っている。
「めっちゃすごい剣やん! おっさん、そんなたいそうなもん、よー拾ったなー」
隊長をおっさん呼ばわりするテンが、呆然と佇むベルマンの膝をペシペシ叩く。
「……か……彼らは……いったい何者だ?」
* * *
すると、一人の羊戦士が前に進み出る。
男は立派な白髭をたくわえ、銀色の兜を頭に被っていた。そこから、ダイナミックにうねる二本のシルバーの角が伸びている。
深緑の瞳は鋭い光を放ち、身にまとったスーツはグリーンメタリックの輝きに包まれていた。
「この星の者か?」
羊の初老戦士が隊長のベルマンに声をかける。
「あっ、は、はい、そ、そうです。レジスタンスとしてあの侵略者と戦っています」
ベルマンは思わず背筋を伸ばした。
一目でこの男が彼らのリーダーだと直感したのだ。
そのせいか、声がわずかにどもる。
「そうか。それは申し訳なかった」
羊戦士はゆっくり頷いた。
「我々は惑星連合宇宙警備隊に属しているゾディアックウォリアーズだ。そして私は隊長のシープ。宇宙の平和と治安を維持するために日々活動している」
その言葉には、長年戦い続けてきた者の重みがあった。
「あれはテクノデストロイヤー軍――アンドロイド傭兵を擁する危険な勢力だ。まさか、こんなところにまで侵攻しているとはな……」
宇宙警備隊は宇宙各所に配備されている。
そして、ゾディアックウォリアーズはその中でも特に精鋭の部隊だった。
彼らが乗っている戦艦の名は――
アニマライズ号。
宇宙警備隊の象徴とも言える艦である。
「あとは我々に任せたまえ」
シープ隊長が毅然とした態度で告げると、アニマライズ号は唸りを上げて敵のマザーシップへと進路を取った。
「ルナ、きみも一緒に戦うかい?」
アムールが手を差し出した。まるで、中学生のルナを放課後に遊びへ誘うような軽さだ。
「いやいや、あたしは戦い方を知らないし……」
「大丈夫だ。ムーンサーベルが導いてくれる。決して負けやしない。さあ、ついてこい!」
そう言うや否や、アムールは半ば強引にルナの手をつかみ、そのまま敵のマザーシップへと突入した。
彼らの動きには一片の迷いもない。戦士としての誇りを背に、堂々と敵陣へ飛び込んでいった。
「ルナ……」
アニマライズ号に残されたテンは、ただ祈ることしかできなかった。
強引に連れていかれたルナの生還を、心の底から願った。
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