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Monster PandemiX(モンスター・パンデミックス)  作者: 古賀丸マシカク
エピソード XI 異次元ゲート

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第48話 戦争は作戦室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!

noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!


https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825

「よし、いくぞー!」


「おおー!!」


 マーヴェリックの気合いの入った合図で、いよいよ作戦が始まった。


「ひぇええええ、とうとう始まってもうたー」


「テン、バロン、あたしからぜったい離れないで!」


 ルナはサーベルを斜めに背負い、テンはピルピロットからもらった兜を被った。

 そして一斉に走り出す。バロンも全力疾走でついてくる。


 前線では、さっそく第一小隊と第二小隊がアンドロイド軍との激しい銃撃戦を開始。


 その隙をついて、ルナたち第三小隊は敵に気づかれぬよう、戦闘区域を駆け抜ける。

 ベルマンの合図で、一行は岩陰を次々と移動する。


 ルナは必死だった。


 なにしろ、さっきまで普通の中学生だったのに、いまは戦争のど真ん中である。

 人生、どこでどうなるかわからない。


 しかし、嘆いていてもしょうがない。大なり小なりこんなことは人生では起こり得る。

 それが人生というもの!


 などと、演歌歌手みたいなことを考えながら走った。


 敵陣に潜入すると、遠くに戦闘機の姿が見えた。白い機体が数機、並んでいる。


「よし、あれだ、いくぞ」


 ベルマン隊長の合図とともに突入しようとしたその瞬間――


 ガシャン!


 ルナたちの目の前に、アンドロイド兵が立ちはだかった。


 銀色の装甲。

 赤く光る目。

 そして――銃!


 その禍々(まがまが)しい銃口がルナとテンに向けられる。


「うわっ! やられる!」


 二人は思わずギュッと目をつむる。


 そのとき――


「バウバウ!」


 バロンが、そのアンドロイドに飛びついた。


 アンドロイドが、仰向けに倒されたと同時に二発の銃声が響いた。


 ガンガンッ


 恐る恐る目を開けると、アンドロイドは頭から煙を吹きながら崩れ落ちていた。

 ベルマンがとどめの弾を撃ち込んだのだ。


「うわー、ほんとにロボットだわ!」


 敵は撃たれても一滴の血すら流さない。

 たしかに、ベルマンが言うように相手は()()()()ではない。

 金属でできたロボットであった。


 司令室での作戦説明はやたら淡々としていたが、いざ始まってみると――


 普通に命がけである。


「戦争は作戦室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」と、叫びたい。


 ルナが、地面に倒れている人型のアンドロイドを見て驚いていると――


 ガチャッ


 と背後で音がした。


 振り向くと、別のアンドロイドが銃口をルナに向けている。


「ルナ! あかん!」


 テンが叫ぶ。


 その時、ルナの体が反射的に動いた。


 背負っていたサーベルを、(スキャバード)から引き抜く。


 瞬間、月型の鍔がわずかに光った気がした。


 そのまま思いっきりサーベルを振り下ろす。


 アンドロイドの右腕がスパッと切断された。銃を握ったままの腕が地面に転がる。


 バチバチバチ!


 切断されたアンドロイドの腕から、激しく火花が散る。


 ガンガン!


 ベルマンが再び銃でアンドロイドの頭に弾を撃ち込む。

 アンドロイドは、プシューっと浮き輪の空気が抜けるような音を出して動かなくなった。


「おまえいい腕してるな」


 ベルマンが感心した表情で口角を上げる。


 ルナはサーベルを握りしめ、じっと見つめていた。

 三日月の鍔が(おぼろ)げに光っている。


 ――なんだこれ?


 その不思議な光が気になり、ベルマンの言葉など耳に届いていなかった。


 *   *   *


 格納庫には、戦闘機が十機以上あった。


「こんなにあんの!?」


 ルナが目を丸くする。


 見た目はスターウォーズに出てくるXウイングにどこか似ている。

 違いは後ろの席にレーザー砲が二基搭載されていることだ。


 戦闘機の間からR2がピコピコ言いながら出てきても違和感はない。

 いや、むしろ出てきてほしいくらいだ。少しでも癒しがほしい。


 第三小隊は作戦通りに分散し、各々戦闘機に乗りこんだ。


「ルナ! テン! こっちだ」


 ベルマンが奪取した戦闘機から叫ぶ。

 二人が駆け寄ると、それに気づいたアンドロイドがレーザー光線を撃ってきた。


 ビビューン!!


「うわ!」


 レーザーは外れたが、アンドロイドはまだ銃を構えたままだ。


「ルナ、あかんで。また撃ってくるかもしれへん」


 すると、バロンが烈火のごとく走り、アンドロイドに飛びかかった。


「バロン!」


「二人とも、いまのうちに搭乗するんだ」


 バロンを気にかけるルナに、ベルマンはこのチャンスを逃すまいと急かす。


「バロン! あたしたちが飛び立ったら基地へ逃げるのよ!」


「バウ!」


 人間の言葉だと、了解! と言ったと思う、たぶん。


 バロンはしっかりとアンドロイドをねじ伏せている。


 ルナとテンは、ベルマン小隊長と同じ戦闘機に搭乗した。

 もちろん、ベルマンが操縦し二人は後部座席で援護射撃を行う役目だ。


「ルナ、テン、しっかり頼むぜ!」


「イエッサー、任せといてください!」


 ルナはヤケにテンションが高かった。

 急激に分泌されたアドレナリンが、体中を駆け巡っている感じだ。

 いわゆる、ランナーズハイならぬ――戦闘ハイ。


 エイシズ・ハイ! 


 ルナの頭の中ではイギリスのヘビメタバンド、アイアン・メイデンの名曲――エイシズ・ハイのイントロが鳴り響いていた。


 戦時下ではよくあることだ。知らんけど。


「おい、遊びやないんやで!」


 テンの言葉が耳に入っているのかいないのか、ルナは完全にゾーンに入り込んでいる。


 基地では、以前に鹵獲ろかくした敵の戦闘機を使って、援護射撃の手順を一通り教わっていた。

 とはいえ、実戦はまったくの別物だ。


 ウィィィィイン


 機体が低く唸りを上げ、ふわりと宙に浮いた。


 これから、敵になりすましマザーシップに乗り込むのだ。


 とはいえ、果たしてうまくいくのだろうか……。

 冷静に考えるとめっちゃ不安になってくる。


「どうか敵さんにバレまへんよーに」


 テンがコックピットの中で小さく手を合わせ祈る。

 そう、バレなければ戦闘にならないのだ。


 ルナたちの乗った戦闘機が飛び去るのを見届け、バロンは疾風のごとくその場を去った。さすがである。


 ベルマンは敵の戦闘機の死角を縫うように、慎重に機体を滑らせ、マザーシップへと近づいていく。

 いまのところ敵に気づかれている様子はない。

 背後には、仲間の戦闘機が息をひそめるように列をなしている。


「なんとかうまくイケそうやな」


「……そうね」


 しかし、マザーシップまであとわずかというところで、突如、レーザービームが襲いかかってきた。

 しかも、マザーシップからだ。


 敵が彼らの生体反応を感知したのだ。


「くそっ、見つかったか!」


 なんともお粗末な話だ。

 生体反応感知システムの存在まで、考えが及んでいなかったのだ。


 ベルマンは反射的に操縦桿そうじゅうかんを切り、戦闘機を鋭く旋回させる。

 ビームの雨を紙一重でかわしながら、迫る迎撃網をすり抜けていった。


 背後の味方機もすかさず散開し、ばらばらの軌道を描いて回避飛行に入る。


「ひえ~~」


 ルナとテンは、左右に体を揺さぶられている。


 周囲の敵機も、マザーシップから指令を受けたのか、一斉に攻撃を始める。


「あかんあかん、あかんでルナ!」


「やばいやばいやばい! テン! 銃で迎撃するのよ!」


 ルナは追ってくる敵機に狙いを定め、操作ハンドルのレーザートリガーを引く。


 ビビュー――ン!!


 レーザービームが勢いよく発射された。


「うわっ!」


 ルナは、反動で後ろにのけ反る。

 テンは、あたふたして操作ハンドルさえ握れていない。


 そして次の瞬間――


 ドカァァァン!!!


 凄まじい衝撃が機体を貫いた。

 敵のレーザービームが、ルナたちの乗る戦闘機の翼を直撃したのだ。


「うわぁぁぁぁ!!」


 機体は大きく揺さぶられ、警告音が耳をつんざく。

 制御は完全に失われ、黒煙を吐きながら地上めがけて急降下していく。


「もうだめだーー!!」


 ルナの脳裏に、両親の顔がよぎった。


(パパ……ママ……)

noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!


https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825

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