第46話 だったら猫に――
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825
「やったー! これで帰れるねー!」
ルナとテンは抱き合って喜んだ。
元の世界に、――といってもテンのいた異世界だが――戻れるワームホールを知っているんなら何も心配はない。
早いとこ、こんな物騒なところから逃げ出すに限る。
ところが、マーヴェリックが、そんな二人に水を差す。
「いや、その前におまえたちにはやってもらいたいことがある」
マーヴェリックがタバコの煙を鼻から吐いた。
ルナとテンは同時にむせた。
「ごほっ、ごほっ。え? やってもらいたいこと? 皿洗いならあたし結構得意よ」
ルナが真面目な顔でブラウスの袖をめくり上げた。
「そうか……では、おまえは厨房で……って、皿洗いではないわ! ドアホが!」
またしても、マーヴェリックに恫喝された。
しかも今度は、ノリツッコミからのドアホ呼ばわりだ。
* * *
マーヴェリックの説明によると、現在この軍はアンドロイド軍との戦争状態にあるそうだ。
惑星エリシアンは、かつて戦争とは無縁の平和な星であり、ヒトビトは幸せに暮らしていた。
しかし二年前、突如、別の星からマザーシップが飛来し、この星の支配を試みた。
それに対抗すべく、ドッグソルジャーたちが中心となってレジスタンス部隊を結成し、日々戦いを続けている。
――という、かなり壮大な話である。
しかし問題は、その兵力差だった。
アンドロイド軍は圧倒的な戦力を持っており、ドッグソルジャーたちはかなり不利な状況に置かれているらしい。
「つまり、いまは猫の手も借りたい状況だ」
「犬なのに猫の手も、って……相当ピンチなのねブフッ」
ルナは、自分で言って、不謹慎にもつい噴き出してしまった。
マーヴェリックが、そんなルナを横目で睨みながらひとつ提案してきた。
「おまえたちの働き次第では、ワームホールの場所を教えてやってもいい」
マーヴェリックがタバコの火を灰皿に押し付けながら、再度ジロッと二人に視線を射る。
「わかりました。……して、皿は何枚洗えばいいんでしょうか?」
「そうだな、とりあえず皿は五十枚、そのあとフォークやらスプーンやらを適当に洗っといてくれれば、あとはこっちでやっとく……ちゃうわ! 皿洗いちゃうわ!」
司令官という肩書きの割に、言葉がわりと関西の居酒屋寄りだった。
「今回はノリんとこがやけに長かったな」
「そうね、本当に皿洗いやらされるのかと思ったわ」
さっきまで気高く振る舞っていた司令官マーヴェリックだが、急にキャラが変わったみたいだ。
「ほんなら、何したらええねん!」
テンも、なかなか核心を伝えない司令官に苛立ちを見せる。
マーヴェリックは短く言った。
「いっしょに戦ってもらう」
「……」
ルナとテンは、一瞬言葉を失う。
思考が止まる。
というより――理解が追いつかない。
「では、さっそく着替えてもらうぞ」
マーヴェリックが勝手に話をどんどん進めていく。
「ちょちょちょちょ、ちょっと待って。戦うって何と?」
「話を聞いていなかったのか? アンドロイドとだよ」
「いやいやいや、無理無理無理。だって銃でしょ? できっこないじゃん、あたし中学生だよ!」
「せや! なんで俺らがあんたらのために戦わなあかんねん!」
「だから、猫の手も借りたいって言っただろが」
「だったら猫に――」
「帰りたくないの?」
マーヴェリックは食い気味に痛いところをついてきた。しかもかなり急所だ。
「……くっ、くそ~」
noteにて「Monster PandemiX」の裏話を公開中!
https://note.com/kogamaru_mp/n/na6350cefe825




